私たちの地域の仲間である福島医大の村上克彦技師が大会長をつとめられ、三田の笹川記念会館で開催されました。「低線量CT」という素晴らしい企画で大成功の会でした。低線量CTは今、大いに注目されている領域です。
私は特別講演演者としてご招待いあただきました。たくさんの技師さん方と交流でき、ありがたい機会でした。
講演要旨「動態CT」
生体はdynamicに機能しており、その機能を動的に把握することで、静止画像からは得られない情報を瞬時に理解できる場合がある。X線透視や超音波検査では動態観察は日常診断で行われている手法である。
CTは簡便さと生体計測の信頼性から呼吸器画像診断において広く活用されている。しかし、多くの呼吸器診断は静止した一時相のCT画像でなされており、生体内でも特に大きな位置移動と形態変動を伴う臓器でありながら、動態情報は活用されていない。
そこで、本レクチャーでは呼吸器領域における高分解能CT読影法を概説したのち、呼吸動態CTの撮影技術と解析技術について述べたい。
1. 高分解CTの読影法
小葉構造の分析に基づいた肺読影の基本を概説したのち、現在の自動計測技術について述べる。肺のLAA(Low Attenuation Area)の自動抽出とその面積・体積・割合の解析。カラー表示した3D画像は禁煙の動機づけに有効である。気管支解析では、目的までの気管支のパス作成をワンクリックで行うことができ、CPR、ストレートビュー、短軸像で気管支の壁厚の計測なども可能になる。仮想気管支鏡画像は実気管支鏡のガイドマップとして実用化されている。
2. 320列ADCTによる呼吸動態撮影
320列ADCTは寝台を固定したまま16cmの範囲を連続撮影できるため、動態撮影が可能である。しかし、dynamic撮影のため被曝の増加が避けられないため、撮影条件の調整が必要である。近年の逐次近似応用再構成やvoxel-to-voxel registration法による画質改善技術により超低線量撮影が可能となっている。
3. Voxel-to-voxel registration法による呼吸機能の定量評価
複数時相のデータから構造物の移動情報を解析し、解剖構造の立体的な動きを定量表示で
きる手法である。解剖構造の位置を固定したMPR・CPRによる呼吸に伴う形態変化・呼
吸動態の局所的な定量表示が行える。DynamicROIやdynamicVOIにより、LAAや気
管支解析が動態データに対して行える。
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