2012年2月21日火曜日

日本画像医学学会

教育講演 胸部CTの基礎 を担当させていただいた。
30分にまとめるのは骨が折れましたが、過去のプレゼンテーション材料を整理すること自体が、自分の知識の整理になり、楽しい作業でした。
内容は以下の6項目に絞って話をしました。
胸部CTの基本
内容
1.技術的な基本知識
2.肺のCT解剖
3.造影
4.呼吸
5.経気道感染と腫瘍
6.結節
はじめに.  CT読影の前に理解しておくべきこと
 装置の能力:分解能の理解
 肺の既存構造の理解
 病態(病理・生理)の理解
 単純X線写真から概観を理解する・過去のX線写真から経過を理解する
 X線写真とCTとの対比・病理との対比
1.    技術的な基本知識
 スライス厚・再構成関数 アーチファクト MPR(多断面再構成) HRCT(高分解能CT)
 腹部縦隔関数 FC15  肺野関数 FC52 縦隔条件と肺野条件
 スライス厚  Partial volume 効果(厚みによる平均化) 薄いスライス厚は微細構造を描出できる  胸肋関節のpartial volume  無血管野と葉間胸膜
 HRCT 薄いスライス(2mm以下) 小さなFOV(拡大) 高周波強調関数(輪郭強調) 肺野の既存構造(小葉構造)の解析が可能 
 薄いスライス厚の利点
  細かな構造が描出される
  体軸方向の空間分解能が向上する
  Voxelが小さな立方体となる
  MPR・3次元画像へ利用:立体形状の把握
2.    肺のCT解剖
 3次元画像と胸部単純写真の対比 肺野の立体的広がりを読影する上での目印
 胸郭 胸腔  胸壁腫瘍 Extrapleural sign 胸壁構造の理解 肺癌胸壁浸潤
 肺葉・気道
 肺の機能  換気 ガス交換 循環
  血流:動脈 ⇒ 静脈
  気流:気管支 ⇔ 肺胞
  気道:外界へ開放
 下気道 Small airway 2mm以下 対流と拡散
 肺胞 拡散  じん肺
 血流 末梢まで流れる  粟粒結核 結核菌による敗血症
 HRCT(高分解能CT):小葉構造の認識 HRCTで描出される肺構造
  肺動脈・気管支は伴走する
  肺動脈・気管支は小葉中心へ入る
  肺静脈は末梢肺では小葉間を走行
3.    造影
 経静脈造影の方法と造影時相
 装置の撮影能力(時間)を勘案する必要あり 
 テスト注入のTDCを用いたシムレーション
 胸腔鏡下肺葉切除術前CTにおける診断項目
  T因子
   腫瘍の大きさ・存在部位
   腫瘍性状:スリガラス濃度と充実濃度・輪郭・虚脱・内部の気管支拡張・胸膜陥入など
   腫瘍の造影効果 胸膜との関係・呼吸移動
  N因子・M因子
  切除肺葉の評価 分葉不全 静脈走行 動脈走行
4.    呼吸
 呼気CT:air trappingを強調する
 呼吸CT:動きの評価(320列ADCT)
5.    経気道感染と腫瘍
 小葉構造を基本にした病巣の広がりの考え方
 経気道感染の場と起因菌
  大葉(肺胞性):肺炎球菌・クレブシェラ・レジオネラ
  小葉性・気管支:インフルエンザ桿菌・黄色ブドウ球菌・マイコプラズマ・緑膿菌
  肉芽形成:結核・NTM・クリプトコッカス
 小葉構造を破壊する病変 / 経気道性に波及する病変
 adenocarcinoma
  複数の動脈・気管支の関与 肺静脈の関与 胸膜陥入 輪郭不整 内部高濃度 スリガラス濃度の輪郭明瞭 外方へ突出する形状
 中枢気道病変による末梢の変化 気道内腫瘍 末梢肺虚脱 粘液栓
6.    結節  含気を有する結節影の鑑別
 スリガラス濃度とは
  肺野濃度と水濃度の間の濃度
  病変内に微細な空気が残存した状態
  陰影内に充実濃度(血管)が透見できる
 肺腺癌のスリガラス濃度  緻密さ 均質性・濃度勾配 輪郭が明瞭か 輪郭形状(外方への突出があるか)

2日目のランチョンセミナーでは、逐次近似法を用いた低線量CTの話をさせていただいた。
zioさんにお願いしていた新しい画像処理が直前に出来上がっていたので前日夜にプレゼンのストーリーを組み直しました。


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