2019年7月13日土曜日

人を食った話

文字通り、人肉食いの話がトマスハリスのベストセラー「ハンニバル・レクタ―」シリーズです。最近、人物設定を借りたスピンオフのTVシリーズを見ました。スタイリッシュで気取った映像ですが、内容はどぎつく、生生しい犯罪描写とグラハム目線の幻覚が入り乱れて困惑させられます。でも、おそらくストーリーの辻褄は合っているのだと思います。シリーズ1が「レッドドラゴン」の前日談に当たると思って見てしまいますが、実際にはプロットのところどころが関連している程度であり、オリジナルストーリーです。
昔、「羊たちの沈黙」が封切られた時に、「凶悪犯罪者であっても職業倫理感が勝る」 旨の映画エッセイを書きましたが、今回のハンニバルレクタ―は「職業においても、犯罪においても、卓越した知識と技術をしまいこんでおけない」タイプです。このシリーズではどうも職業倫理感はかけらもなさそうです。ですが、知識と技術をさらに研ぎ澄ませたいという思いを非常に強く描いています。マッツ・ミケルセンのストイックで感情を押し殺した演技は強烈です。「羊たちの沈黙」のレクタ―もオリジナルははそういう描き方だったのかもしれませんが、ジョディフォスターとの関係から欲目で見てしまうのかもしれません。
ともあれ、一般の方が、このTVシリーズにのめりこむと、医者不信になるのではないかとちょっと心配です。

0 件のコメント:

コメントを投稿