低被曝CTに関する執筆記事が雑誌に掲載されました。 呼吸器CTに関しては臨床上、支障なく用いています。概ね、従来の被曝量の1/4~1/2で撮影できます。以下、執筆内容の抜粋です。
月刊 新医療 2011年12月号 Special Report]Global Standard CT Symposium 2011
AIDR 3D が拓くCT 画像の可能性
胸部領域におけるエリアディテクタCTとAIDR3D導入のインパクト
大原綜合病院附属大原医療センター 放射線科 森谷浩史
大原医療センターでは、Area-detectorCT Aquilion ONEを用いて胸部領域の撮影を行っています。本年9月初旬から低線量画像再構成技術AIDR 3Dを導入し、低線量撮影を始めました。
1.Volume scanの有用性
Area-detector CTの優位性の一つは、160cmの範囲を等時相で撮影できるVolume scanです。当施設は、胸部領域の取り組みとして多施設共同研究に参加していますが、その前向き臨床比較試験で、Helical scanに対するWide Volume scanの肺野画質の優位性が証明されています。
Area-detector CTは動態撮影において、肺野の動き・変化を捉えられる優位性があります。しかし、反復撮影では被ばくの低減が必要です。最近は、福島第一原発の事故に伴う報道で「被ばくのものさし」としてCTスキャンが取り上げられたことに加えて、福島県県北地域が比較的放射線汚染が高いことから、受診者の被ばくに対する不安が一層高まっています。被ばくについては一層留意しなければならなくなっています。
2.パイロットスタディで評価されたAIDR 3Dの性能
AIDR 3Dの呼吸器臨床への導入としては、一般臨床撮影時の被ばく低減効果、そして低線量Dynamic撮影における画質改善効果が期待されていることから、AIDR 3Dによるパイロットスタディを実施しました。
初期評価として、臨床運用上支障はありませんでした。当施設のCT撮影はAquilion ONE1台で行っていますが、導入前とスループットに変化はありません。撮影操作上の支障もなく、読影・結果説明まで迅速に行うことが可能となっています。
AIDR 3D低線量画像の印象は
・PACS上で読影する3~5mm厚の画像は、従来の画像と遜色ない
・20mAs~30mAs以上の画像は概ね許容できる
・肺野の均質性の劣化に対してはビューワでの強調・加算・MPRで画質が改善する
3.AIDR 3DはAquilion ONEの優位性を活用するための重要な基盤技術
このAIDR 3Dを用いることで、胸部領域においては、被ばく低減を目的としながら臨床上も支障のない画像取得が十分可能と思われます。なお、設定可能なパラメータも多く、どのような設定が個々の臨床上適切なのかを試してみることをお勧めします。
臨床応用としては、放射線に対して不安を抱いている受診者や経過観察における被ばく低減、肺がんCT検診や通常撮影時の画質改善などに使用できるでしょう。また、Dynamic volume scanなどの動態撮影では、画質が大きく改善できると思います。
現在、放射線被ばくに対する漠然とした不安が広がっています。AIDR 3Dを用いた低線量撮影は、その不安に対するひとつの解決法になるのではないかと考えます。
AIDR 3Dは、Aquilion ONEの優位性を活用するための基盤であり、Dynamic volume scanをこれからさらに活用していくための、非常に重要な基盤技術であるといえるでしょう。
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