2013年5月6日月曜日

クリストファー・ノーラン

雑誌 ユリイカ のバックナンバー(2012/08    クリストファー・ノーラン)を読んで、この映画監督の映像に非常に興味を持ち、結果的に今まで「インセプション」を除く6本を観ました。
予算の大小にかかわらず、統一された空気を作ることにこだわり、独自の世界観に引きずり込まれます。特筆すべきは「ダークナイト」のジョーカーの造形でしょうが、「メメント」「プレステージ」「インソムニア」など、いずれも善悪の混沌がテーマとなっています。正義の根拠をテーマとし、被害者の記憶やトラウマがはたして根拠として許されるのかを繰り返し問うているようです。正義と比較して悪の根拠はさらに複雑(あるいは希薄)であり、正義の存在によって生み出される影のようにも思われます。
繰り返し、(過剰なる)復讐・911をテーマとしながら、近作「ダークナイト ライジング」では環境を守るべき装置としてウェイン財団が秘密裏に開発していた核融合装置が、冷却炉から露出した途端、一転して大量殺戮装置としてカウントダウンをはじめるなど、正義の具体的手段を保有すること自体が許されるのかという、311テーマも加わっています。

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