一昨年ショーケンが亡くなって、DVDが発売され、久々に見ることができました。 最初に観たのは学生時代、自分たちで開催した上映会でです。
青春の蹉跌は1968年4月から9月まで『毎日新聞』に連載され、単行本化された石川達三の小説です。「蹉跌」:「つまずく」・「物事がうまく進まず、 しくじること。挫折」。セオドア・ドライサーの『アメリカの悲劇』の日本版と言われましたが、1966年に佐賀県で起きた事件をモデルとしたそうです。70年安保終焉の虚無感を背景に、出世欲に駆られたひとりの法学部学生の犯罪を描いています。
映画は1974年6月29日公開。監督:神代辰巳。脚本:『濡れた荒野を走れ』の長谷川和彦、音楽:井上尭之、主演:萩原健一・桃井かおり。『キネマ旬報』日本映画第4位、萩原は最優秀主演男優賞を受賞。女性関係のために出世の階段から転落するという陳腐なストーリーを、早熟すぎた大学生を主人公にして、みずみずしい映像表現で描いています。エンヤートットとつぶやきながら、人生の階段を上っていく主人公の、平凡な階段に収まりきらないエネルギー、情欲と孤独、自惚れと裏切り・・・。単なるピカレスクストーリーではなく、主人公の揺らぎや軋みが描かれ、長谷川和彦の今村昌平ゆずりの実際の事件の取材手腕も活かされているのでしょうか? スタイリッシュなシーンと即興的に撮影されたように思えるシーンの混在も新鮮でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿