2012年11月18日日曜日

松本清張の残像

藤井康栄著、文春新書。文藝春秋でながらく松本清張を担当した編集者による思い出。主に「昭和史発掘」での取材活動について記されている。特に、松本清張という作家の姿勢(在野の学者としてのプライド、アカデミズムへの挑戦、商業的損得にとらわれず大切なものは世に還元する)が数々のエピソードを通して魅力的に記されている。
現代史の取材は現存する人間から聞き出すことである。その泥臭い地道な作業に敬服する。著者の心情としては、二二六事件の関係者への取材に特に思い入れが強いようである。
板谷の五色温泉での共産党創立集会の件など、身近なところで取材が行われていることにも驚いた。

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