2019年4月15日月曜日

第78回日本医学放射線学会総会 パシフィコ横浜 2019年4月12日~14日


 2019411日(木)~14日(日)、パシフィコ横浜にて、第78回日本医学放射線学会総会が開催されました。例年通り、第75回日本放射線技術 学会総会学術大会、第117回日本医学物理学会学術大会および国際医用画像総合展(ITEM 2019)との合同で、JRC 2019として開催されました。
私は山下大会長と同世代です。福島県立医科大学の放射線科に入局してから40年になりますが、その間、CTMRIPETなどの画像診断の発展をまのあたりにしてきました。次々と登場する新しい技術を乗り換えながら、常に目の前の患者へ最善の医療を提供することに放射線科医としての喜びを感じていました。大会長が基調講演の際に述べられた、「革新的な画像診断学の多くを常に放射線科医が先導してきました。今後も、放射線科医は革新的であらねばならないと考えております。」という思いに私も共感します。
しかし、その一方で、現場から離れ、薄暗い小部屋に閉じこもってモニターばかり見ているような「患者や他の医師との接触をいやがる」放射線科医が出現しています。このような放射線科医を揶揄してinvisible radiologistというそうです。ブラックボックスの一部品になってしまった放射線科医もいるかもしれません。他科の医師から見たら、ブラックボックスの中身がAIに置き換わっても気づかれないかもしれません。もしかしたら、AIのほうが良いと言われるかもしれません。
でも、患者の幸福と革新的画像を目指していれば、そこに我々の喜びがあるのではないでしょうか。きっと、AIは喜びを感じないでしょう。技術の進歩の最終的な目標は“患者の幸福”であること、日々の読影においても画像の向こうに患者がいることを忘れないことが何よりも大事です。このような姿勢がなければ日々の画像の改善もなく、ひいては将来の放射線医学の発展もあり得ません。
革新的な放射線医学をー患者に寄り添ってーInnovative Radiology close to the Patients)という主題は、「患者の幸福のために革新的画像を目指そう」という、モニター画面しか見れなくなっている若い世代の放射線科医への未来へのメッセージと感じました。

本大会では、認定機構による講習システムが導入されたため、運転免許の更新のような雰囲気です。とにかく行列に並ぶ必要があります。更新申請時に出席証明書があれば何とかなるというレベルではなくなった様子です。講習を受けなければという意識と、聞き始めた以上、最後まで聴講しようという思いが強く、「レッドを3つ集めたので1段階レベルアップ」てな調子で、ポイント制に翻弄させられている感じがしました。とはいえ、今までになく、ヴァラエティにとんだジャンルの講義が聞けました。新システムになって、多くの会員に何らかのリフレッシュ効果があったのではないかと思います。
更新のためのポイント認定がインセンティブとなり、終了時の混雑~モノによっては大混乱がありますが、だんだんに洗練されていくでしょう。いずれにしても、ほぼすべての放射線科医が参加せざるをえない会です。この誘導が生涯教育には必要でしょう。放射線学会はこのシステムが浸透している会だと思います。

開会式では、技術学会大会長が、AIの講演の聴講者に診療放射線技師の参加が少ないことを残念がっていました。技術学会との温度差はこのインセンティブの違いから生じていると思います。技師さんの参加は発表・研究が多く、業務の標準化についての組織的体制はまだ十分整っていないように感じます。
感染症のレクチャーで、診療放射線技師会から2019年31日に「診療放射線分野における感染症対策 ガイドライン(Version1.0)」が作成されていたことを知りました。こういう情報が各病院へ伝わらないと組織としての具体性がないように感じます。これは、学会の問題ではなく、個々の放射線技師や施設の中心的技師の考え方・姿勢の問題が大きいと思います。わが国のわが国の放射線科医師数は約1万人、ほぼ学会会員でしょう。技師数は5万人から6万人で学会会員が2万人から3万人ほどでしょうか? 相当数の技師が学会入会のしていません。せっかく、ガイドラインを作っても会員技師が少なければ現場へ普及しません。入会者を増やし、定期的更新など他の専門認定職種に準じたシステムが必要かもしれません。専門医システムと比較すると放射線技師さんのシステムは、社会的な必要性が基盤になっていないと感じます。現場の環境を見ていても、悪循環から好循環にチェンジさせるには、どこかで、定期的に参加させるような強制力もしくはインセンティブが必要と思います。
開会式で始まったばかりのTVドラマが話題に上がりました。しかし、技師の描き方が酷すぎるとの感想が多かったようです。いくらなんでもあんなに酷くはない。と言いながらも「あるある」というシーンも随分あったようです。

ユキティこそ熊坂由紀子先生の新しい著書が発売になっていました。今回は救急MRIです。たいへん分かり易く記述されており、さらりと読める良書です。会場でお会いしましたので、ご赴任後はMRI関連についてもご指導をいただくよう、お願いしました。画像診断セミナーでシリーズ化するのもよいかと思いました。「臨床MRI基礎講座」などと銘打ち、本の内容に沿って脳・骨・体幹部などと勉強させていただくのも、登録医の先生方や内部技師への情報提供として面白いと考えました。

・合同開会式:412日(金) 13:0015:00( メインホール)
演奏:Tokyo Olympic FanfareTOF) 4団体会長挨拶,基調講演
山下康行(熊本大(JRS)) 石田隆行(大阪大(JSRT)) 蓑原伸一( 神奈川県立がんセンター(JSMP)) 新延晶雄( 日本画像医療システム工業会(JIRA))
Honorary Member Award Ceremony412日(金) 13:5014:30( メインホール)
司会:今井 裕( 東海大)山下康行( 熊本大)
James A. BrinkMassachusetts General Hospital, USA
Jelle BarentszRadboudumc, Netherlands
Ho-Young SongAsan Medical Center, Korea

・合同特別講演:412日(金) 14:3015:00( メインホール,サテライト会場301
司会:山下康行( 熊本大)石田隆行( 大阪大)
人工知能の進展と医療・ヘルスケアにおける可能性 松尾 豊(東京大)
1997年卒 東大松尾研究室
AlphaZero 王を序盤から中央へ出す 人の棋譜の常識とは全く異なる 新たな可能性がある →人は複雑な棋譜を考えられなかった
IT系:擬人化
ビッグデータ系
DL系:認識→運動→言葉の翻訳
 エラー率の低下 google翻訳
DLとは「深い関数を用いた最小二乗法」重回帰分析
深いとは 入力→中間関数→出力
データ量と計算機能力 Sigmoid関数→REL Batch normalization
CNN RNN
ハイパーパラメータ、メタラーニング(パラメータ自体を探す)
x→□→y x、yを何にするのか 特にyの決定が重要
ロボットのカンブリア爆発:目の誕生

・合同シンポジウム2413日(土) 9:1011:50( 国立大ホール)
「人工知能(AI)を用いた革新的な放射線医学」司会:藤田広志( 岐阜大)中田典生( 東京慈恵会医科大)
1.     基調講演 臨床応用を志向した人工知能技術を活用した統合的ながん医療システムの開発 浜本隆二(国立がん研究センター)小林和馬(国立がん研究センター)
院内のビッグデータ variety volume velocity veracity
教師データ作成の負担感
Medical AI project スクリーニングに応用
3次元画像の統計学的手法
自己学習
人の手によるラベリングを不要とするシステム
Non-rigid registrationanatomical standardization
2.     AI時代におけるCADAI-CAD)の新潮流 藤田広志(岐阜大)
CADe セカンドリ-ダー型 MMG 肺CT 大腸CTC
CADx
アノテーション(教師データ)が必要
arXir.org 人工知能分野の投稿先
3. コンピュータ支援画像診断におけるディープラーニングの応用:海外の研究開発の現状と展望について 中田典生(東京慈恵会医科大)
4. 放射線技術に関するAI研究:放射線技師の働き方改革とAI研究のすすめ 寺本篤司(藤田医科大)
5. 放射線治療におけるディープラーニングの応用 照沼利之(筑波大)
6. 画像診断への人工知能の応用:製品化への課題 舟橋 毅(日本画像医療システム工業会)

Honorary Invited Lecture412日(金) 15:2016:30 303
司会:今井 裕( 東海大)村山貞之( 琉球大)
1. The Future of Radiology―Key Drivers for the Next Five Years
James A. BrinkMassachusetts General Hospital, USA
2. How Novel Imaging Techniques Will Change the Fate of Prostate Cancer Patients.
Jelle BarentszRadboudumc, Netherlands
FIRST bp MRI T2/DW Prostate
Report AImannogram AI screening
AIの得意分野 Acquisitionscreening)、interpletationrisk management
AI as second readerrisk assessment
3. Evolution of Esophageal Stents: 8 Generations of Trial and Error Ho-Young SongAsan Medical Center, Korea

・シンポジウム 11414日(日) 9:3011:30 301,サテライト会場302
「虚血性心疾患の治療戦略~形態と機能の相補的診断の重要性~」
司会:望月輝一( 愛媛大)汲田伸一郎( 日本医科大)
1.     侵襲的虚血評価の最前線 松尾仁司(岐阜ハートセンター)
FFR 0.8-0.75
GFR 2方向のアンギオ 造影剤フレームカウント
FFRを回避できる症例を振るい落とせる
FFR-angio 2から3方向
OCT-FFR
2.     CTによる形態と機能の融合診断(FFR-CT, CT-perfusion 等)と限界 城戸輝仁(愛媛大)
Rupture riskLAPRPnapkin-ringspotty-calc.
Territory map(支配マップ):voronoi
QPR perfusionCT
3.     心筋虚血評価における心臓MRIの有用性と限界 北川覚也(三重大)
血流定量評価
DualT1 血流マップ
冠動脈 flow reserve 非造影で見る
T1マッピング
4.     核医学診断における機能的虚血評価と限界 桐山智成(日本医科大)
3枝病変を拾いにくい
Microvascularが重要
5. 循環器内科医から放射線科医に望む虚血性心疾患の診断・治療戦略・機能的虚血診断のEBMと国内外の動向 中田智明( 函館厚生院函館五稜郭病院)

・イメージインタープリテーションセッション:413日(土) 17:0019:00( メインホール)司 会:相田典子( 神奈川県立こども医療センター)林田佳子( 産業医科大)
 出題:中條正典(鹿児島大)木藤雅文(熊本大)江頭玲子(佐賀大)高山幸久(九州大)渡口真史(琉球大)大木 望(長崎大)
 解答:原田太以佑(北海道大学病院)木口貴雄(一宮西病院)福本 航(広島大学病院)中井雄大(東京大)森畠裕策(倉敷中央病院)岡部哲彦(横浜市立大)

・教育講演 26414日(日) 8:009:00( メインホール)
「必須講習 感染対策」司会:玉田 勉( 川崎医科大)
感染症と向き合って~傾向と対策~ 野坂生郷(熊本大学医学部附属病院)

・教育講演 34414日(日) 13:2014:20( 国立大ホール)
「必須講習 医療倫理」司会:蒲田敏文( 金沢大)
人を対象とする研究・臨床研究に関する規制:Up to date -倫理指針・臨床研究法の最新動向- 栗原千絵子(量研機構放医研)

・ランチョンセミナー6412日(金) 12:0012:50 311+312
「画像診断の常識を変えるX線動態画像」司会:黒﨑敦子( 公益財団法人結核予防会複十字病院)
1. 胸部動態画像への期待 工藤翔二(公益財団法人結核予防会/日本医科大)
2. 動態撮影の臨床への活用 長谷部光泉(東海大学医学部付属八王子病院)
共催:コニカミノルタジャパン株式会社
動態 Vドット V/Q 定量値は? 不均一性の判断は可能である どこまで信用できるか?に対する答えが必要

・ランチョンセミナー12413日(土) 12:0012:50( メインホール)
CT最前線~AI技術を搭載した次世代CTと検査~」司会:村上卓道( 神戸大)
1. 循環器CT検査の新しいアプローチ宇都宮大輔(横浜市立大)
2. Adamkiewicz動脈の描出と進歩吉岡邦浩(岩手医科大)
3. Deep Learning based Spectral Imaging with ADCT 粟井和夫(広島大)
共催:キヤノンメディカルシステムズ株式会社

・ランチョンセミナー22414日(日) 12:0012:50( メインホール)
「造影剤安全使用:最新のガイドラインと最近の進歩」司会:興梠征典( 産業医科大)
対馬義人(群馬大)共催:エーザイ株式会社
欧州の最新ガイドラインの解説

・教育講演 14413日(土) 8:009:00( 国立大ホール)
「必須講習 医療安全・放射線防護2」司会:杉本英治( 自治医科大)
1. 放射線規制の改正と医療現場の対応について西田亮三(原子力規制庁)
2. 放射線の健康影響丹羽太貫(放射線影響研究所)

Canon AI PACSから各種のAI機能が連動
 臨床画像データ 画像と本質との対比
Ziosoft Quadraからの歴史を俯瞰 懐かしい
長瀬産業 safeCTのパンフ配布
PSP 放射線被ばく管理 再撮をどう扱うかなど施設での設定が必要 
 施設での標準的管型のできる専門職が必要
EMT 遠隔読影 50名ほどのうち女性は5名ほど
多施設共同研究会議

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