2021年3月11日木曜日

東日本大震災10年目を迎えて NPO福島画像診断支援センター 森谷浩史

東日本大震災から10年になりました。
震災後の放射線診療に関係する課題へ対応することを目標に掲げ、2013年にNPO福島画像診断支援センターを設立し、不器用ながらも活動を続けてまいりました。ご協力いただいている先生方や関連の企業の方々に深謝いたします。
福島県では、震災と東京電力の原子力発電所の事故による複合災害の後、たくさんの県民や医師・医療者が福島県から離れ、医療が存続できなくなった地域・医療機関もありました。
そこで、わたしたちは、住民に対して放射線被ばくについての正しい医学的情報を発信するとともに、医師の減少や偏在により医療が立ち行かなくなった臨床現場に対して継続して支援を行ってまいりました。
ご依頼いただいている医療機関の先生方や担当者の方々など、多くの人々のご協力を得て継続できておりますことに改めて御礼申し上げます。
 
さて、震災後10年になりますが、福島県では原発事故後の処理がまだまだ進んでおらず、汚染水や中間貯蔵施設など新たな課題も生じてきています。地域住民の減少と高齢化・医療者の減少と高齢化・地域医療の継承の問題、地元医師会の先生方が精力的に担ってこられた住民検診の負担など、わたしたちの活動を通して、現場医療のさまざまな課題も目にしております。人口減少は福島県だけの問題ではありませんが、帰還困難地域の存在はたいへん特殊な福島県の課題です。このことは、わが国の近未来を象徴した「克服すべき課題」だと思っております。 
 
さらに、昨年から続いている新型コロナウイルスの感染拡大により生活も医療も大きく変革を迫られています。従来、当たり前のように行っていた、診療・教育・研究が思うようにできず、日常生活にも多大な影響が出ています。しかし、その反面、PHR・クラウド・5G・非接触・リモート・AIなど、たくさんの技術が開発され瞬く間に普及するなど、デジタル化を基本とした新しい生活様式を促進させる強力な影響力がありました。わたしたちも、これらのICT技術を活用して、福島県を始めとした被災地の課題に対して今までよりも広域的・効率的に対応していければと考えております。 「今できること、今困っていることから face to faceで始めよう」というのが、わたしたちの基本姿勢です。震災復興の思いを忘れることなく、目の前の課題へひとつひとつ取り組んでいこうと思います。
引き続き、ご指導・ご鞭撻をお願い申し上げます。

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