久しぶりに映画の話題を・・・。
ポール・グリーングラスという監督をご存知でしょうか? アクション映画のヒット作「ボーンシリーズ」のうち、ボーン・スプレマシー (2004年) とボーン・アルティメイタム (2007年) を作った監督です。洗練されたスタイリッシュなアクションに魅了された方も多いと思います。自分も好きな映画で、もう幾度となく見ています。 特に、アルティメイタムで、パートナーの女性がカフェでニヤリと笑うシーンからエンドロールに繋がるテンポが大好きです。
ユナイテッド93 (2006年) は、その2本の間に公開された映画です。内容は、911-アメリカ同時多発テロのセミドキュメンタリーです。ハイジャックされた4機のうち、唯一目標に達しなかったユナイテッド航空93便の離陸から墜落までの機内の様子を、残された資料や証言などにより再現しています。映画を作製するにあたり、ほぼすべての遺族に連絡をとって了解を得たということです。
前半は「ボーンシリーズ」さながらに、テロリストたちの動きがスタイリッシュに描画されます。さらに、管制塔や軍司令部の様子も「ボーン」さながらです。しかし、ここでは、リアリティ追求のため当時の誤報、情報の錯綜、指揮系統の混乱、政府の決断の先送りなどもすべて再現しています。後半は機内の乗客たちの生身の人間の泥臭い戦いに集約されていきますので、行政や体制批判が後味としては残らない構成になっていますが、管制塔や軍の混乱の描写は当該組織からのクレームもあったのではないかと思います。こういう映画を撮ってしまうアメリカの商業映画界のパワーを見せつけられた思いです。
わが国では福島原発をテーマにした商業映画を作ることはできないでしょう。事故調査委員会の報告を聞いていて、そんなことを感じていました。
0 件のコメント:
コメントを投稿