2012年8月17日金曜日

支払基金教養講座

8月8日 支払基金の職員の方々に「放射線とは?」というタイトルでお話をさせていただきました。

 みなさんは昭和60年代のTVアニメ「エイトマン」をご存知でしょうか? 等身大のロボットヒーローものの元祖ともいうべきアニメです。科学技術の進歩に対して決して楽観しない姿勢が根底にありました。主人公のエイトマンは犯罪に巻き込まれて負傷した刑事の脳を移植されたロボットです。原子力(ウラニウム)をエネルギー源としています。 「透視装置」の付いた眼は、「紫外線」を放つ事も出来ます。原子炉はたびたび制御不能に陥ります。そのオーバーヒートを抑えるために、ベルトのバックルに収めてある「タバコ型冷却剤」を定期的に服用しなければなりません。タバコが吸えずに過熱してメルトダウンの危機に陥り、海中に身を投じて冷却したこともありました。

そんなアニメの話からスタートして、以下の内容についてお話ししました。
1.放射線はどこにあるの?
 環境放射線には自然放射線と人工放射線が含まれています。
2.放射線ってどうやって作るの?
 病院のレントゲン検査で使うX線は、真空管に高圧電流を流して発生させます。
 その他の、α、β、γ線は、放射性物質から放射されます。
3.何に使っているの?
 原子力発電・原子爆弾・食品加工・放射線照射食品・殺菌・滅菌・輸血用血液の移植片対宿主病(GVHD)の予防・医療放射線など
4.放射線とは何か?
 放射性元素の崩壊に伴い放出される粒子線あるいは電磁波のこと。主にアルファ線、ベータ線、ガンマ線の3種を指します。
 電離放射線:α線、β線、γ線、X線、中性子線、陽子線、陽電子線、重イオン線など
 非電離放射線:電子レンジで使われている極超短波、携帯電話やPHSで用いられている電波、赤外線、可視光など
 紫外線:電離放射線と非電離放射線の境界に位置します。周波数の高い紫外線は電離作用があり、生体破壊作用があります。
5.半減期とは?
 放射性物質は時間とともに崩壊し、最終的には放射能を持たない安定な同位体となります。放射能が半分になるまでの時間を半減期と言います。半減期は物質・核種によって決まっています。
 物理的半減期の他に、生物学的半減期(体外へ排泄)という言葉もあります。同様に環境における放射能の減衰も環境的半減期(造語)などと言ってもよいかもしれません。しかし、体内や環境内での減衰はあくまでも移動・拡散によるものですので、その結果、蓄積している場所があるかもしれません。
6.被曝とは?
 外部被曝 放射線を身体の外部から受けること。
 内部被曝 放射性物質を体内に取り込んでしまい、その取り込んでしまった放射性物質から持続的に放射線を受けること。
7.医療被曝
 日本を含む医療先進国では医療被爆が自然放射線による被曝を上回ってきています。
 被曝の少ない新しいCT検査技術が開発されてきています。その原理は低被曝撮影時の画質改善技術です。現在では胸部単純X線程度の被曝量でCT撮影が可能となってきています。検診目的のCT検査は0.3mSv程度で撮影可能になっています。
 大原医療センターでは最新CTを活用し、県北住民の医療被曝を減らすことに貢献したいと思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿