SAMI 2017に出席。この研究会は放射線科全領域の臨床および研究の最新動向について各エキスパートがレクチャーするという、とんでもなく贅沢な会です。各レクチャーは10分から20分程度で構成されています。
そして、ここ数年間に大きな進化が予想される「AI」について、特別講演を設定するという点も大きな特徴です。
おそらく、画像診断の検出と鑑別のノウハウはAIにより自動化・高精度化され、診断医の出る幕は少なくなってくるのではないかと思わされました。当院でも、いくつかの診断支援ソフトを使っていますが、現状ソフトの精度はともかくとして、とにかく律儀に所見を拾ってくれます。機能が向上すれば、再現性が良くなり、現在のような個人によるブレは明らかに減るでしょう。
そう遠くなく、放射線科医の代わりにAIによるコンサルトを選ぶ病院も出てくるのではないかと思います。 このような、技術革新の流れの中で、放射線科医の生き残るすべは、AIを成長させる役割を担うだけの解剖・生理・病理・予後などの「真実をfeedbackできる能力」をどれだけ持つか、によるのではないかと思います。
SAMIの終了後、ちょうど大阪で開催されていたブリューゲルのバベル展を見てきました。細密画のような超高精細画像は大いに魅力的でした。細部が精密に構築されながら、全体として微妙に歪み、不安感が漂う構成は、つい聞いてきたばかりの「AI」と関連付けて考えてしまいました。
だれでも無料でAIを使える時代には、しばらく時間がかかるでしょう。施設ごと、メーカごとに育てたAIが競い合う時代が続くかもしれません。deep learningのための正しい餌・現実的な餌を準備し、AIを育てることが個々の画像診断医の役割になるのではないかと思います。
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