名作の書き出し 漱石から春樹まで (光文社新書) 新書 – 2009/9/17 石原千秋 (著)。
早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学。テクスト論で有名な著者が有名小説の書き出しの1ページを用いて、作品の読み方の1例を示す。
テクスト論とは、複数の文の連鎖からなる言語表現としてのテクストの構造と機能を研究する学問。言葉にこだわり、背景や行間を読み解いていく過程は十分に刺激的であるとともに、高校の現代国語の授業のような懐かしさがある。なぜ、この言葉を用いたか? なぜ、この順番に配置したか? そのために、どのような意味が生じているか? 時代を代表する優れた15編の小説の書き出しから、それぞれの作者の卓越したテクニックを読み解く。久しく、こういう読み方をしていなかったなあと思いました。
「誰か慌ただしく門前を馳けて行く足音が...」『それから』
「国境の長いトンネルを抜けると...」『雪国』
「私は、その男の写真を三葉、見たことがある。」(太宰治『人間失格』)
「幼時から父は、私によく、金閣のことを...」『金閣寺』
「空はまだ明けきってはいなかった。」『枯木灘』
「門倉修造は風呂を沸かしていた。」『あ・うん』
「私がこの世でいちばん好きな場所は...」『キッチン』など
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