電送人間、美女と液体人間、ガス人間第1号と3本の映画を見ました。東宝の変身人間シリーズとして1958年から60年まで3作作られたもので、その後に作られた「マタンゴ」が番外編に当たるとのこと。
円谷英二のお得意の特撮です。当時としては驚愕とリアルさがあったのだと思います。現在のCG技術なら遥かに本当っぽく作り直すことができるでしょうが、この子供だましのアナログ感には捨てがたい魅力があります。これらの撮影技術と「科学技術の可能性と懐疑」というテーマが後の「怪奇大作戦」などへ繋がっていったものと思います。
今回見ていて驚いたのは、とにかく夜が暗く、道が狭いことです。東京でもすぐに走ると森林の漆黒の闇の中へ続いていきます。暗闇はすべてを飲み込んでしまうほど暗く、当然ながら遠くが見えない。見えないものは見えないように撮っています。今の撮影技術であれば見せてしまうのではないかと思います。でも、本当に見えない方が怖いのです。
「闇の中には魑魅魍魎が潜んでいる」と、本来、人間は暗闇を恐れる生物であったはずです。映画で描かれる60年当時の真っ暗な東京は新鮮でした。いつの間にか日本は夜のない国になってしまっていたようです。昼間よりも活発に、夜間に行動するような生活様式になっています。
見えない物が襲ってくるというのが3本の映画に共通するテーマです。暗闇への恐怖が今の日本には存在しなくなっています。もちろん生活の利便性は向上していますが、今回のコロナ禍のような新しい感染症蔓延の土壌となっているように思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿