大江健三郎さんが亡くなりました。映像化作品を探してみると非常に少ないんですね。
われらの時代 (1959) 監督:蔵原惟繕
偽大学生 (1960) 監督:増村保造
飼育 (1961) 監督:大島渚
静かな生活 (1995) 監督:伊丹十三 音楽:大江光
「飼育」がアマゾンプライムに入っていたので見てみました。大島渚が松竹退社後に独立プロで初めて監督した作品です。演出や表現が挑発的です。原作を読んでいないので大島の意図がどの程度入っているのかわかりませんが、映画会社とのしがらみなく作った問題作と言えるでしょう。村という閉鎖空間に黒人兵が入り込むという構図は、戦場のメリークリスマスや御法度のプロットに通じています。また黒人兵を理解できない村人たちの混乱は絞死刑のブラック喜劇に繋がっています。唐突に「天皇陛下バンザイ」と言って手打ちにしてしまう滑稽さ、共同体の支配者のエゴや責任回避。大戦末期に閉鎖的な村に捕虜として囚われた黒人兵の姿を通して、日本という国の縮図が浮き上がってきます。
監督: 大島渚 原作: 大江健三郎 脚本: 田村孟 撮影: 舎川芳次 音楽: 真鍋理一郎 出演: 三國連太郎/沢村貞子/中村雅子/大島瑛子/浜村純/相川史朗/山茶花究/加藤嘉/石堂淑朗/小山明子/戸浦六宏/小松方正/ヒュー・バードブラック&ホワイト, レターボックス化, ドルビー 1 時間 45 分
0 件のコメント:
コメントを投稿