2013年3月30日土曜日

呼吸機能イメージング研究会

徳島大学 工学部 仁木教授の当番世話人で開催されました。過去の臨床系の大会長と比較して、工学系のセッションや演題が多く、とても新鮮でした。

当院からは、呼吸動態CTについての発表を行いました。
CT画像から肺野の局所の大きさの変化を計量する方法であり、変化の大きな部分は局所の換気の大きな部分であると形態的に診断できるのではないかと思っており、局所の肺機能解析への応用を考えています。

工学系の教育講演は、いままでブラックボックスだった3次元画像処理の仕組みについて、何となくわかったように感じさせられました。具体的技術の理解はわたしの能力の限界をはるかに超えていますが、計算方法の進化・改良をどのような考えで行っていくのかについては非常に参考になりました。

仁木教授の大会長講演は切除した肺の一部分を超高分解能CTで撮影し、その画像を解析したことについての発表でした。仁木教授の教室ではCT検診での結節検出技術、良悪性診断、解剖構造の自動抽出技術など、多くの業績があります。一般的な大会長講演では教室の研究の歴史的な内容が主体になるのですが、今回の大会長講演ではそれらに一切触れることなく、小さな肺の切除標本のCT画像についてのみ述べられました。それは、肉眼ルーペ像で見たようなCT画像の3次元データから、計算式で、小葉構造を分割したり、気道末梢の細葉中心をもとめるなど、きわめて精緻な肺の解剖が、計算によって解析できるという、感動的ともいえる講演でした。
それまでの検診や臨床画像の話題から離れ、ミクロの領域の、人体の構造(形態)を計算によって作り出すという、大げさに言えば、まさに「神への挑戦」につながるとも思える内容でした。
かつて手作業で行っていた解剖構造の認識を、自動化できるようなインテリジェンスを機械に与えることで、人間よりも精緻に、ミクロの領域においても実施できるという、まさに仁木教授の未来への姿勢の具現とも思えました。

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