ECRに出席してきました。
3月初旬のウィーンは思いの外、暖かい日に恵まれ、準備していた防寒衣類はスーツケースの半分を占めたままで、持ち帰ってきました。
ECRは10年ぶりの出席でしたが、ウィーンの町並みは10年前とほとんど変わらず、歴史と伝統を重んじる国であることを実感させられました。
会議はドナウ川を渡ったウィーン国際センターで行われました。地下鉄で行き来するたびに、プラーター遊園地の観覧車が目に入り、やはり、ウィーンというと映画「第三の男」を思い出してしまうのは年のせいでしょうか?
会議の内容としては、発表は「320列CTを用いた呼吸動態撮影」「胸腔鏡下肺葉切除の術前シムレーション画像としての3DCTA」の二つの電子ポスターを行いました。リアルなポスター展示と異なり、電子ポスターでは、会場内のどの場所で自分の演題がアクセスされているかもわからないため、もっぱら、他演題の閲覧を行っていました。
1.肺癌関連では、CAD(コンピュータを用いた異常影の検出)の演題のあつかいが大きい印象があり、今後の臨床研究・機器開発の方向と思われました。当院でも、転移性肺癌の検出にこの機能を用いた共同研究を実施中です。
2.MRI関連では、前立腺のセッションに参加しました。拡散強調画像のb値の話題が、現在ホットに議論されています。複数のb値が取得できる機種や、クルトーシスなどの新しい定量化の手法が一般臨床でも撮像可能になっていくものと思われます。体幹部MRIも3Tが当たり前の状況のようです。
3.教育関連では、学生・研修医対象の肺癌の画像診断のセッションに参加しました。参加者が手元のスイッチを操作することで、画面に正答率がグラフ化されるシステムであり、講師の質問呈示・スイッチ操作・回答の分布を表示・講師の解説という順番で進んでいきます。笑いを誘いながら進めていく非常にわかりやすい講義内容で、わが国の教育内容とまったく同じ雰囲気を感じましたが、途中で退席する聴講者が堂々と講師の目前を横切っていく姿は、わが国の雰囲気とは大分異なりました。
4.造影剤関連では、欧州は副作用のガイドラインを先駆的に作成し、わが国でも採用・参考にしています。その中で、オランダの事例は、ガイドラインに則って、リスクの最も低い造影剤以外を使用禁止とする、極めて強烈な対応をしています。その是非(エビデンスの裏取りも含め)は議論が必要でしょうが、エビデンスやガイドラインに対する姿勢として参考にしなければいけないと感じました。
オペラやホイリゲも堪能しました。小さな町ですので、どこへ行っても、学会関係者と出会い、個人的に交流できたことも貴重な経験です。年度末の多忙な時期に、このような機会をいただき、財団および病院関係各位に感謝申し上げます。
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