2015年1月30日金曜日

ALARAと超低線量CTについて

 ALARAという略語はご存じでしょうか? As low as reasonably achievableの頭文字を取ったもので、特に小児のX線検査において被曝線量に留意が必要であるとした提言です。適正条件の判断が普及していないため、なかなか一般の撮影現場に徹底されていなかったのが現状ですが、福島県の原発事故以降、放射線被ばくという言葉が日常会話で用いられるようになり、撮影時に意識するようになってきています。

 原発事故後、1回のCT検査が7mSvと報道されました。実際には被検者の体格によって異なり、胸部CTで5-10mSv、腹部CTで10-20mSv程度です。大原医療センターの320列CTでは新しい再構成技術により従来の1/2~1/4の被曝低減撮影を行っています。この手法を用いることで胸部CTは1-3mSv程度で撮影できます。また、人間ドックなどの健診や肺がんCT検診では、さらに0.2-0.4 mSvまで被ばくを低減した超低線量CTも撮影できます。

 臨床診断における被ばくの低減はガイドラインや比較試験などのエビデンスに基づいて行わなければなりません。そのためには、過去の文献に当たり、他の施設の経験を知り、場合によっては実験などによる比較試験を行い、As low as reasonably achievableな具体的設定を明らかにしていかなければならないと思います。

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