2015年1月28日水曜日

脳のMRI  微小脳出血(CMBs)と無症候性脳梗塞について

 MRIは複数のシークエンスを組み合わせて撮影を行います。人間ドックなどの脳MRI では各種シークエンスで CT 撮影と同様の軸位断撮影を行い、その他に MRA という脳動脈撮影を行います。最近では脳出血の有無の確認に磁化率効果に鋭敏な撮影法であるグラジエントエコー T2スター強調画像(T2*WI)、MRA による頚動脈の血流評価も簡便に撮影できるようになりました。
 T2*WIでは小さな陳旧性の脳出血が高い検出感度で確認できますので、微小脳出血(CMBs)という概念が新たに提唱されています。病理学的には、破綻した毛細血管からのわずかな出血が血管周囲のマクロファージに貪食されヘモジデリンとして蓄積した状態です。T2*WIでCMBs を有する症例は脳出血の危険が高まる傾向にある可能性が示唆されています。
 また、無症候性の脳梗塞(T2強調画像、FLAIR画像で高信号、T1強調画像で低信号を呈する病巣)は血管内皮細胞障害に基づく脳小血管病と考えられています。
 これらは症候性脳血管障害の一つの危険因子もしくは予備軍として考えられています。これらを有する症例においては高血圧や喫煙、コレステロール、 metabolic 症候群、慢性腎臓病等の危険因子の管理が重要とされています。

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