BS1スペシャル「個人情報が世界を変える」2019年4月27日(土) 午後9時00分(110分)
スプツニ子!(尾崎マリサ)さんがナビゲーターとして、ネット社会で個人情報がどのように扱われていくのかを紹介している。
番組は、ラスベガスの世界最大の家電・IT見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」会場から始まる。さまざまなメーカがさまざまな最新機能をアピールしている。まさに、楽しそうな、便利そうな、小さな、可愛い機器が展示されている。ユーザーの好みを反映して動作する機器、例えばAI機能付きの電動歯ブラシなどが現実に製品化されている。しかし、その一方で、その動作の元になる個人の情報を意識のあるなしに関わらずメーカに差し出さなければならない。
ベルリンに移住したメディア美学者の武邑光裕氏は「ただより高い物はない」と述べる。便利さの対価として情報を差し出していることを意識すべきであるとする。医療データを含めたビッグデータの扱いについても、流出や目的外利用に対する危機意識を持つ必要があろう。
2018年4月、フェイスブックのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏が謝罪した。2016年の米国大統領選挙で、トランプ陣営がフェイスブックの8,700万人分の個人情報を有権者の心理操作に利用したことを止めることができなかったという内容である。フェイスブックを用いて情報収集の罠を仕掛けた性格分析ソフトを配布し、使用したユーザーのデータ、そのユーザーと繋がっている大量のフェイスブック利用者の個人情報を盗み取ったという。それをプロファイリングして有権者を20~30程度のグループに分類し、グループごとに最適な選挙広告をSNSを用いて送り付ける手法で、効率的に票の確保を行ったとのことである。エドワード・スノーデンが暴露したアメリカ国家安全保障局 (NSA) および中央情報局 (CIA) の情報収集活動なども、同様の一例であり、氷山の一角であろう。
今やスマホやパソコンを使っていれば、検索ワードや閲覧ページはもちろん、位置情報、購買履歴など、行動履歴をすべて収集され利用されている。そればかりか、ほとんどのスマホやパソコンは、起動中に周囲の音声を録音し、データとして保存しているということである。私たちはSNSや検索エンジンをタダで利用する代わりに、自分のデータをフェイスブックやグーグルなど巨大IT企業に渡している。IT企業は、そのデータから個人のプロファイリングを行い、カテゴリー分類することで、現実的に「使える」データにする。そのことを覚悟すべきであろう。
利用者のデータが巨利を生むことに使われていることは誰もがうすうす知っている。しかし、今さらスマホやパソコンを手放すことはできない。目に触れない部分にもIoT(Internet of Things)が用いられ、知らず知らずのうちに個人情報が吸い取られている。スタンフォード大学のマイケル・コシンスキー准教授は「もはやプライバシー流出を防ぐ手立てなどない」とし、開き直ってテクノロジーの可能性をもっと利用した方が、その先にユートピアがあるという。
番組は最後にEcosiaというドイツの検索エンジンを取材する。Ecosiaは履歴を蓄積せず、また検索するごとに得た広告収入の80%をタンザニアに木を植えるために使うという。スプツニ子!さんは、食事で無農薬やオーガニックを選択する人がいるように、ネット社会でも個人情報の利用を拒む人がいてよいと小括する。
とりあえず、Ecosiaをインストールしてみた。
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