2022年10月30日日曜日

仮面ライダーブラックサン 学生紛争の残り火 ヘ・ン・シ・ンとヘンシン

TVシリーズ「仮面ライダーブラック 」の設定を元に作られたオリジナルストーリー。白石和彌監督。アマゾンプライムで全10話が配信されました。この週末に一気見しました。
これは凄い。仮面ライダー版の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」・「われに撃つ用意あり READY TO SHOOT」です。
かなりダークなハードボイルドストーリーで、R18指定です。あまり強くない仮面ライダー、首や手足がちぎれ飛ぶなどの残虐シーン、裏切りが当たり前の群像劇、最終的なまとめ方が子供に適さないなどと判断されたのでしょう。
西島さんが南光太郎ですが1号ライダー、中村さんが秋月信彦ですが2号ライダーのイメージです。特に中村さんは一文字隼人の所作を上手く演じているように感じました。ビルゲニアの三浦さんの最初の登場シーンもまるで佐々木剛さんかと思いました。
昭和の等身大ヒーローものの到達点といえるような「仮面ライダーブラック 」は当時のライダー世代の大人たちの中でも話題になっていました。今回の「ブラックサン」は同時代を生きてきた者たちにとっての総括です。
強化人間生産のために行っていた日本陸軍の人体実験。「フランケンシュタイン対地底怪獣」ですね。1972年の「連合赤軍」「○○解放同盟」。女に翻弄され、安全保障の密約、あさま山荘での内ゲバでの自滅。そして現在は、一部の思想や宗教と政党の癒着、優生主義、差別・ヘイト思想などが混在する世界。その背後に暴力団などの組織犯罪やカルト集団・狡猾な政治家などが蠢いています。私欲が渦巻く群像劇は「孤老の血」などの白石監督にとってはお手の物でしょう。
学生紛争の残り火・赤と青の残り火がやがて大きく燃焼する。学生運動の敗残者たちが50年前の誇りをかけて戦う姿は「我に撃つ用意あり」。50年前を懐かしむ信彦は「止められるか俺たちを」のノスタルジックな時代感と完全に被ります。
怪人が普通に共存しているパラレルワールドの日本。上級怪人と下級怪人。着ぐるみ下級怪人のチープさ。スタジオや敷地内道路などで行われる戦いのチープさ。オリジナルの雰囲気が良く出せていると思います。特に第10話のオープニングはうまいですね。TVシリーズを経験した世代からのリスペクトと言わんばかりです。
これだけのことが起きても、どうせ社会は何も変わらないという設定も具体的に描かれており、石ノ森さんが描いたサイボーグ戦士や仮面ライダーの根本の思想を受ついでいます。そして、最後の答えの出し方は・・・「学生運動」の肯定です。「世界革命宣言」若松孝二監督へのリスペクトでしょう。50年間の自分たちの道のり「止められるか俺たちを」を肯定したかのような思いが込められています。
映画評論家への逆襲の中の「わかりやすいものを目指しながらも、ちょっとずつ何かを打ち込めるように仕掛けはできるだけしようと思う」という白石監督の言葉がしっくり来ました。
「ずいぶん老けたなあ」「何にも変わってねえな、人としてどうかと思うぜ」

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