2024年6月30日日曜日

『千年の愉楽』(せんねんのゆらく)

千年の愉楽』(せんねんのゆらく)は、中上健次の連作短編集。1980年7月から1982年4月にかけて「文藝」に掲載、1982年昭和57年)8月河出書房新社から刊行。1992年10月、同社より文庫版刊行。若松孝二・監督で映画化、2013年に公開。
作品の舞台は和歌山県新宮市の「路地」と呼ばれる被差別部落である。「中本の一統」と称される高貴にして穢れた血に生まれて早死にを宿命づけられた若者たちの刹那的な生き様を「路地」に住まう全ての人の生き死にを記憶している産婆オリュウノオバの目を通して神話的に語られる。
映画で描かれたのは短編集の中の次の2篇。
半蔵の鳥:美男の血統である中本の一統の中でも群を抜いて男振りの良い半蔵は、中本の淫蕩な血に突き動かされるままに女遊びを繰り返す。しまいにはそのことで怨恨を買って男から後ろから刺されて死ぬ。
六道の辻:中本の一統の三好は、盗人などをして暮らしている。ヒロポンを打ち、ダンスホールや玉突き場で遊び暮らすが、ある時、殺人を犯してしまう。三好は身を隠すように飯場で働き始める。それからほどなく、若くして失明して、絶望して縊死する。
亀井文夫の 人間みな兄弟 部落差別の記録 1960年でも和歌山の新宮地区がちらりと映されている。海に面した斜面に密集して立つ集落が、この映画でも描かれている。19歳の地図、青春の殺人者、18歳 海へ、赤い髪の女、軽蔑など、中上健次の映画化作品を見ているが、路地と家系とオバを最も現実感を持って見せてもらった。今村昌平の神々の深き欲望や黒木和雄の祭りの準備などを連想した。オバは集落全体を包む母性であろう。子を暖かく見守り、正しい道を諭すが、それよりも血筋が勝る。若者たちは、飛び出したくなり、戻りたくもなる。
  • 1976年『青春の殺人者』 長谷川和彦監督(原作: 蛇淫)
  • 1979年『赫い髪の女』神代辰巳監督(原作: 赫髪)
  • 1979年『十八歳、海へ』藤田敏八監督(原作: 隆男と美津子)
  • 1979年『十九歳の地図』 柳町光男監督
  • 1985年『火まつり』 柳町光男監督(オリジナル脚本、後に小説化)
  • 2011年 『軽蔑』 廣木隆一監督
  • 2012年 『千年の愉楽』若松孝二監督

2024年6月29日土曜日

フォーラム阿部さんの「たかが映画、されど映画」

桜の聖母短期大学で行われている阿部泰宏 フォーラム福島支配人による一般向け講義です。以下、過去の開催内容です。
戦後独立プロ映画のあゆみ
アカデミー賞、カンヌ映画祭受賞作品から読み解く映画のトレンド
ジェンダーフリーの観点から見た映画史 ~ジャンヌ・ダルクとジャンヌ・ディエルマン~
アカデミー賞から読み解く社会情勢について~
コロナ禍の2年が映画界に及ぼした影響と映画界の現状について~
日本映画史5人目の巨匠 小林正樹~
日本映画史5人目の巨匠 小林正樹~
~亀井文夫 南相馬が生んだ世界的記録映画作家~
~芸術とワインの国 ジョージア映画の世界~
~チャップリン~
川島雄三と若尾文子~
神についての映画作家イングマール・ベルイマンの魅力を探る~
映画史上最大の巨匠 ジョン・フォードについて~
映画の常識を変えたフランス映画の波、ヌーヴェル・バーグ運動とは何か?~
~映画における安部公房の世界~
〜「生きる」の脚本家 橋本忍〜
「羅生門」「七人の侍」「生きる」の三大クロサワ作品や「切腹」「白い巨塔」「砂の器」「八甲田山」等々、日本映画黄金時代の画期を成す名作の脚本の多くは、橋本忍によって書かれた。映画においてはどうしてもスターや監督が注目されがちだが、脚本の力が、実は映画の成否を決定づける。正当に日の当たらない脚本家という生業は文字通り、映画における縁の下の力持ちである。
– ハリウッド1950年代 –

2024年6月28日金曜日

老後に楽しみをとっておくバカ 和田 秀樹

老後に楽しみをとっておくバカ 和田 秀樹 出版社 ‏ : ‎ 青春出版社 (2024/3/1) 発売日 ‏ : ‎ 2024/3/1
人生は先送りするほど損をする。50代はたくさんの“荷物”を背負っている世代。「仕事の責任がある」「教育費・住宅ローンにお金がかかる」「老後のために頑張って働く必要がある」……。そんな50代だからこそ、自分がやりたいことを「いま」始めるべき理由とは? そして、そのために50代で何を「手放す」べきなのか──多くの高齢者を見てきた精神科医だからこそわかる、後悔しない人生を送る生き方・働き方。
・50代、人生は先送りするほど損をする
・戦略的「働かないおじさん」
・定年延長や再雇用に潜むわな
・常識という荷物を上手に下ろす
・日本の権威主義も損したくないから
・挑戦ではなく実験
・50歳からは不真面目を心がける
・いらない人間関係を今捨てる
・先送りをやめる
・50代は実験場
先日、立ち読みでサラッと読みました。ずーっと常識だと思っていた、〇〇すべき、とか、〇〇しなければならない、という感覚を一度疑ってみることが重要だということですね。また、もはや、将来の育成のためにエネルギーを使うほど暇でもない(業務としての教育は別ですよ)と言うことも尤もだ思います。あるあるが満載の新書でした。

2024年6月22日土曜日

シャイロックの子どもたち

シャイロックはベニスの商人の悪役の金貸しのこと。無慈悲に借金を取り立てる冷酷な金貸しの代名詞です。映画はとある銀行支店で起きた現金紛失事件に絡んで露呈してくる数々の不祥事と隠蔽を描きます。金貸しという性格上、誰もがこうなってしまう素地があるということを、上を見上げても、下を見下ろしても、前後左右を見ても、同じだと描いています。

2024年6月18日火曜日

会費2万円の「勉強会」を予定していた大串氏も、中止を決めた

朝日新聞2024年5月26日「立憲民主党の岡田克也幹事長と大串博志選挙対策委員長は25日、自身の政治資金パーティーを中止すると発表した。立憲提出のパーティー全面禁止法案と「整合性がとれない」との批判が党内外でやまず、一夜にして開催方針を一転させた。
岡田氏は27日に大阪市で予定していた会費2万円のパーティーを中止し、集めた資金は返金するとした。6月17日に東京都内で会費2万円の「勉強会」を予定していた大串氏も、中止を決めた。」
うーん、政治家の言う「勉強会」とは結局、政治資金集めのためのパーティーのことだったのですね。法案成立までは、やるつもりでいたとのことです。今のうちに金集めだけはしておこうと、民主党の議員さんがたも考えていたようです。金額の大小はあるのかも知れませんが、公明党より、よっぽど「同じ穴のムジナ」と思われているのでしょうね。
勉強会は有権者に政策を判ってもらうための貴重な場であるなどと、政治家の本分として、さも、大事なことのように説明していたこともあったと思います。手のひらを返すように、あっさりと中止してしまい、できるものだったのですね。
政策や考え方を理解してもらうための機会としてなくてはならないもの云々と言っておられた方もいましたが、結局、民主党議員さえ、あっさりと中止してしまい、拍子抜けしました。批判しながら、結局、自分たちの勉強会も、ただの金集めの手段だったのですね。目前の金集めを中止して、金額の少ない団体が金額の多い団体を責めるという対面を保ちました。
金額的には2万円から5万円ぐらいの勉強会・研修会が医療分野でもたくさんあります。運営する側は赤字覚悟でやっていたりします。とても、お金は集まりませんし、勉強会でお金を集めるという発想がありませんでした。もちろん、文字通りの「勉強会」ですけど。

2024年6月16日日曜日

バビロンベルリン シーズン3

第3シーズン。第1と第2がほぼひとつの話なので、全く新しいエピソードということになります。1929年のベルリンで、世界恐慌を利用した富国、ロシアとの密約など、前作よりも明らかにナチスの勢力が強まり、子どもたちや若者の中に鉤十字が浸透していく社会背景が丁寧に描かれます。本筋は連続殺人事件を操作するクライムサスペンスですが、そのトリックはいささか陳腐です。

『ニナ・メンケスの世界』 公開記念シネマレクチャー『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』

フォーラム福島『ニナ・メンケスの世界』 公開記念シネマレクチャー 
2024年6月15日(土) 11時〜 
・映画上映11時〜『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』
・トーク13時〜13時30分 斉藤綾子さん(映画研究者)によるシネマレクチャー
ハリウッド映画のミートゥ運動の傍流とも言える映画です。映画産業が産み出した雇用関係の絶対的力学がどのように形成されていったのかをよく理解できる理論的裏付けとも言えます。 映画の持つ力、撮影するという行為の持つパワーを説明。いかに観客を呼ぶかという映画産業の目標として、ヒッチコックやキューブリックなどが、さまざまな映画撮影テクニックを編み出していきました。映画では、これらのテクニックが男性目線で構成されていることを解析していきます。女性を性的な対象として撮影しているシーンやカットがいかに多いか。そもそも、映画のテクニックとしてモンタージュという古典的技法がありますが、印象付けを狙った画面の切り替えやカットの挿入です。それは、有能な作り手たちの意図でもあるのですが、カメラの視線が持つパワーが、このような産業としての映画製作の持つ雇用関係、パワハラ・セクハラ・性的虐待へとつながる基盤的な潜在意識となっていると訴えています。そこには、もちろん有名になりたい、出演したいという俳優側の立ち場の弱さもあります。
・劇映画ではカメラは神の目です。ストーカーです。したがって、映画産業ではカメラを扱える者がパワーを持つという構図が起こりやすい。特に女性をセックスシンボルとして対象とする「男性の視線」で見る者が洗脳されると言っています。
・かたや、VR技術の進歩により、さらに煽情的な没入できる映像表現も登場してきており、映像表現自体が制作者・俳優・視聴者のどこに責任があるという問題でもなさそうです。美しいものを見たい、刺激的な映像を見たいという根源的欲求はどんどんエスカレートしていますので、視聴者の責任も大きいかもしれません。目下のところ、映画の持つ芸術性と見世物性の2面性を理解して楽しむのがよいのではないでしょうか?

2024年6月15日土曜日

虫めづる日本の人々

サントリー美術館 虫めづる日本の人々 2023722日(土)~918日(月・祝)
虫に関係する主に江戸時代の和美術アンソロジーです。
花鳥風月といいますが、主テーマとは別に、
絵のどこかにお澄ましした小さな昆虫が描かれている、そんな作品を集めています。取って付けたような、落書きのような虫や、子供がシールをべたべた貼ったような昆虫の描き方もあって楽しくなります。

以下、解説ホームページより
日本美術の特色のひとつとして、草木花鳥が古来大事にされてきたことが挙げられます。そして、それらと比較すると小さな存在ではあるものの、虫もまた重要なモチーフでした。現代において昆虫と分類されるものだけでなく、例えば、蜘蛛、蛙、蛇などの、うごめく小さな生き物たちも虫として親しまれ、物語や和歌、様々な美術作品に登場します。特に蛍や、鈴虫などの鳴く虫は愛好され、深く物語と結びついていた様子が源氏絵や伊勢絵などから伝わってきます。また、草花や虫を描き吉祥を表す草虫図が中国からもたらされ、中世から長く日本で珍重され、多くの絵師たちにも影響を与えました。
江戸時代に入ってからは、本草学の進展や、古画学習、俳諧などの文芸の影響を受けて、草虫図という範疇には収まらない多彩な虫の絵が生み出されます。そして、江戸時代中期以降には、虫聴や蛍狩が娯楽として市井の人々に広まり、やがて江戸の年中行事となりました。この文化は近代、現代においても受け継がれています。日本の虫めづる文化は、長きにわたって育まれてきましたが、大衆化が進んだ江戸時代をピークのひとつとすることは出来るでしょう。
そこで、本展では特に江戸時代に焦点をあて、中世や近現代の「虫めづる日本の人々」の様相に触れつつ、虫と人との親密な関係を改めて見つめ直します。

2024年6月11日火曜日

アジアの天使

 子はかすがい。是枝監督の映画のようでした。韓国ビールがとても美味しそうです。韓国映画(この映画は邦画ですが)では食事とお酒を美味しそうに感じることが多いです。

2024年6月9日日曜日

Whinny

ファイル共有ソフトを作った東大の助手の裁判を扱った映画です。最後に本人が登場して、現実感がありますが、ストーリーはシンプルで、悪用されたからと言ってソフトウェアを作った者を裁けるか?というテーマなのですが、裁判のやり取りは騙されて書かされた自供書の無効を求めることに注力しており、ソフトウェアが争点にならず、ハラハラドキドキがありません。アメリカ映画のような地道な証拠や証言集めがありません。
道具を作った者が裁かれるか? もし、悪用されることを予測できたのであれば裁かれるのではないか? 科学者の倫理観の欠如と指摘されるのではないか?とも思います。特にオッペンハイマーの後、現在のAIについての規制状況では科学者の倫理的正当性や実装されたときに想定されることについては科学者の基盤資質として要求されるように思います。
映画で描かれた金子さんの著作権についての意識は希薄だと思いますし、自分の手を離れたソフトが誰かを傷つけているということに対する混乱もないようです。これを見ると、ここ数年でコンピュータソフトに関する倫理観や危険性の社会的意識が変わったと思いました。

2024年6月6日木曜日

池添メモリアル胸部画像診断セミナー

 池添メモリアル胸部画像診断セミナー参加申し込みました
・会期:2024年8月3日(土)
・開催形式:現地開催+後日WEB配信 2024年8月18日(日)
・開催場所:品川インターシティホール
・ホームページ:https://www.jstr.jp/ikezoe15

2024年6月5日水曜日

(天声人語)自動車メーカーの不正検査 20240605

原文と、テキスト版のタイトルです。
(天声人語)自動車メーカーの不正検査 20240605
JR大和路(やまとじ)線の路線図をじっと見る。奈良駅の一つ先――おお本当だ。郡山(こおりやま)、大和小泉(やまとこいずみ)、法隆寺(ほうりゅうじ)、王寺(おうじ)、三郷(さんごう)、河内堅上(かわちかたかみ)。お気づきだろうか。連なる駅の名で五七五七七になる。日常のなかに隠れたリズムの楽しさだろう▼さて、こちらは「隠れた」というより「隠されていた」か。同じリズムでありながら、ややうんざりさせる。オデッセイ、アルト、アテンザ、ロードスター、フィット、レクサス、カローラ、クラウン。車を生産するための性能試験で不正があった全38種の一部である▼うそのデータを使ったり、成績表を書きかえたりしたメーカーは計5社にのぼり、国交省がきのうトヨタに立ち入り検査をした。豊田章男会長は、会見で「ブルータスお前もか」との感想を述べたそうだが、自社の不正に発する言葉ではなかろう。顧客のセリフを奪ってはいけない▼日本のものづくりといえば、独創性に欠けるところがあっても、丁寧さはゆるがせにしないというのが定説だった。日本車が世界で愛されるのも、そんな評判が一因だったはずだ▼なのに、どうしたことか。日本自動車工業会のメンバーは全14社。かつて燃費偽装が発覚した三菱自動車に始まり、うち7割が、この10年ほどで不正に手を染めていたことになる▼〈自動車の検査より先「人検査」〉。昨年ダイハツでの問題が明らかになった際、朝日川柳が五七五で、まずは社内風土の総点検を、と求めていた。いまとなっては、業界全体への注文に見えて仕方ない。

以下、AI要約です。そもそも前三分の一はただの枕であって、本筋への長い導入部分です。その枕に引っ掛けて最後に川柳を結びつけています。と、言うよりも川柳を最後に述べたくて、強引に作った長ーい枕です。AIはこれらの部分も律儀に要約するので、奇妙なタイトルと文章になっています。

タイトル:日常の韻に潜む喜びと、隠された不正:日本のものづくり、その光と影
要約
JR大和路線の駅名が五七五七七のリズムになっている。日常に潜む言葉遊びの楽しさ。
車検不正問題:オデッセイ、アルト、アテンザなど、38種類の車種で不正が発覚。
豊田章男会長の「ブルータスお前もか」発言は、顧客の信頼を損ねる。
日本の伝統的なものづくりは丁寧で高品質だったが、不正問題で信頼が揺らぐ。
日本自動車工業会の14社のうち、7割が10年以内に不正行為に手を染めていた。
朝日川柳が示唆するように、まず社内風土の改善が必要。
自動車業界全体への改革が求められる。

タイトル:五七五七七に潜むものづくり: 隠された不正と日本の未来
要約
JR大和路線の駅名に隠された五七五七七のリズム。日常の中に潜む小さな喜びを思い出させてくれる。
しかし、自動車業界には隠された五七五七七が存在する。オデッセイ、アルト、アテンザ… 性能試験不正が発覚した38種類の車名に潜むリズムは、うんざりさせるものだ。
トヨタ、日産、マツダ、スバル、スズキ… 計5社の不正行為は、日本のものづくりへの信頼を大きく揺るがす。
独創性に欠けるという指摘もあるが、丁寧さは日本のものづくりの誇りだった。それが不正によって失われようとしている。
自動車工業会の14社のうち、7割が10年以内に不正に手を染めていたという事実。
不正の根源は、社内風土にあるのか。まずは「人検査」から始めるべきではないだろうか。

タイトル:隠された五七五と、隠されていた不正:日本のものづくりに問われるもの
要約
JR大和路線の駅名が、五七五の韻を踏んでいる。日常のなかに隠れたリズムの楽しさを感じる。
一方、自動車の性能試験で不正があった38種類の車種名も、五七五のリズムを持っている。しかし、こちらは隠されていた不正であり、うんざりさせる。
不正行為を行ったメーカーは5社にのぼり、国交省はトヨタに立ち入り検査を実施。豊田章男会長は会見で「ブルータスお前もか」と発言したが、顧客の言葉ではない。
日本のものづくりは独創性に欠けるが、丁寧さはゆるがせないとされてきた。しかし、近年は燃費偽装や性能試験不正など、不正行為が続発している。
自動車業界全体への風土改革が求められている。

RSNA2024演題登録のためのメモ書き

GGN自然歴;期間を限定して拾い上げ flowにて3群に分類 切除 経過不変 経過改善
初回のUHRCT画像所見を視覚的に解析
胸部CTの胸椎骨梁の基礎的検討;骨量の定量化 中部胸椎 下部 上部腰椎
定量 テクスチャ解析 年齢 性別 BMI  骨折既往
MRIによる間質性肺炎

2024年6月4日火曜日

論文誌の査読

最近、論文査読が回ってくることが多くありませんか? 投稿される論文数が増えているのでしょうか? しかし、残念ながら日本の論文数は国際比較では減少しているとのことです。
先日、依頼された査読のページを開いたら、AIを査読に使わないようとの注意メッセージが記載されていました。
以下、朝日の記事に査読のことが書いてありましたので現状の査読へのAI使用の考え方の参考と記録として引用します。
朝日新聞20240526 「査読に活用期待・不正懸念  2月に東京大であった科学研究のあり方や研究不正について議論する研究会では、東京大の松尾豊教授が科学論文の「査読」に、将来的にAIを使える可能性を紹介した。米スタンフォード大などがGPT4に査読させた場合と人間の査読者の場合で差があるかを調べた論文によると、査読を受けた人の半数以上がGPT4の査読について「役立つ」「非常に役立つ」と回答し、8割が「少なくとも一部の人間の査読者からのコメントより有益だった」と答えたという。一方、同じ研究会では、生成AIによって画像やデータの修正が簡単になったことで、捏造(ねつぞう)などの不正が起こりやすくなることへ懸念も相次いだ。 今月21日、全米科学アカデミー紀要(PNAS)に研究者らによる生成AI時代の研究公正の指針案が発表された。 指針案では、研究者は使用したAIツールやアルゴリズム(計算手法)を開示し、AIが導き出した答えでも研究者が結論に責任をもつことなどを推奨している。欧州委員会も3月、生成AIを研究で使う際の指針を発表した。(朝日新聞20240526 瀬川茂子、藤波優、竹野内崇宏)

2024年6月2日日曜日

moreCT!2024のご案内

今年のmoreCT!9月に開催します。今年は特別講演2題予定しています。

920日(金曜)18時ころのスタート
場所 大原記念ホール(上町テラス2階 当院の隣の施設です)
肺癌CT検診の大規模試験の結果が出て、有効性のエビデンスが増えています。今後、実施する自治体や施設の増加がyps府されます。また、結節検出の後の経過観察のフローや学会の取り扱い規約の変更などがありますので、今年は、肺癌CTをテーマにします
前半に技師さんからCT検診の撮影条件についての講演を考えています
後半に  香川大学医学部放射線医学講座 室田真希子先生をお招きしております
講演方法はハイブリッドです。可能なら当日参加できない聴講者へのオンデマンド配信も考えております
バックアップメーカはゲルべさんです。NPO福島画像診断支援センターの10周年記念講演・イーメディカル東京の研修会も兼ねて開催する予定です。

Efficacy of Opportunistic Screening with Chest CT in Identifying Osteoporosis and Osteopenia in Patients with T2DM

Efficacy of Opportunistic Screening with Chest CT in Identifying Osteoporosis and Osteopenia in Patients with T2DM
Congyang Xue1 , Xiaopei Lu2 , Guangda Sun1 , Nan Wang1 , Gansheng He1 , Wenqiang Xu1 , Zhipeng Xi1 , Lin Xie1 1 Department of Spine Surgery, Affiliated Hospital of Integrated Traditional Chinese and Western Medicine, Nanjing University of Chinese Medicine, Nanjing, People’s Republic of China; 2 Department of Traditional Chinese Medicine Surgery, Nanjing Hospital of Traditional Chinese Medicine, Nanjing University of Chinese Medicine, Nanjing, People’s Republic of China Correspondence: Lin Xie, Department of Spine Surgery, Affiliated Hospital of Integrated Traditional Chinese and Western Medicine, Nanjing University of Chinese Medicine, 100th. Shizi Street, Nanjing, Jiangsu Province, 210028, People’s Republic of China, Email xielin@njucm.edu.cn 
目的: 胸部コンピュータ断層撮影 (CT) で測定した胸椎のハンスフィールドユニット (HU) が、2型糖尿病の骨粗鬆症のスクリーニングに有用かどうかを検証すること。本研究では、骨粗鬆症のある 2 型糖尿病 (T2DM) 集団において、胸椎 HU の診断基準値の設定を試みた。
対象と方法: 本研究は、2021年8月から2022年1月までの間に当院で胸部 CT と DXA (dual-energy X-ray absorptiometry) を施行した 334 人の T2DM 患者さんを対象とした後方視的コホート研究である。胸部 CT 画像から得られた胸椎 11 番と 12 番の HU 値を測定し、関心領域を作成した。すべての患者さんは DXA 検査の最低 T スコアによって、骨粗鬆症、骨減少症、正常骨密度に分類された。各群の患者さんにおける HU 値と T スコアを比較し、診断閾値、感度、特異度を算出するために ROC 曲線 (receiver operating characteristic curve) を作成した。
結果: 胸部 CT の HU 値と DXA の T スコア間に有意な相関が認められた (p < 0.01)。T11 減弱値 ≤ 98 HU の場合、骨粗鬆症に対する感度は 88.7% であり、T12 減弱値 ≤ 117 HU の場合、骨粗鬆症に対する特異度は 87.5% であった。また、T11 減弱値 ≥ 147 HU の場合、正常 BMD に対する特異度は 85.4%、T12 減弱値 ≥ 146 HU の場合、82% であった。
結論: 胸部 CT は、2 型糖尿病患者における骨粗鬆症のスクリーニングに用いることができ、DXA 検査の必要性を判断するのに役立つ可能性がある。本研究では、HU 値の閾値が T11 ≤ 98 または T12 ≤ 117 の場合、さらなる骨粗鬆症スクリーニングが必要であることを示唆する。
Purpose: To explore the validity of the thoracic spine Hounsfield Unit (HU) measured by chest computed tomography (CT) for opportunistic screening of diabetic osteoporosis. The current study attempted to establish a diagnostic threshold for thoracic spine HU in a type 2 diabetes mellitus (T2DM) population with osteoporosis. Patients and Methods: The current study retrospectively included 334 patients with T2DM. They underwent chest CT and Dualenergy X-ray (DXA) between August 2021 and January 2022 in our hospital. HU values were measured on the resulting chest CT images at thoracic spine 11 and 12 to construct regions of interest. All patients were grouped according to the lowest T-value of DXA examination: osteoporosis, osteopenia and normal bone density. HU values were compared with T-values in each group of patients, and receiver operating characteristics curves were plotted to calculate diagnostic thresholds as well as sensitivity and specificity. Results: There was a strong correlation between the HU values of chest CT and the T-values of DXA (p < 0.01). The sensitivity for osteoporosis was 88.7% for T11 attenuation≤ 98 HU and the specificity for osteoporosis was 87.5% for T12 attenuation ≤ 117HU; the specificity for normal BMD was 85.4% for T11 attenuation ≥ 147 HU and 82% for T12 attenuation ≥ 146 HU. Conclusion: Chest CT can be used to screen patients with T2DM for opportunistic osteoporosis and help determine if they need DXA screening. The current study suggests that when the HU threshold of T11 ≤ 98/T12 ≤ 117, patients may need further osteoporosis screening. 
Keywords: osteoporosis, T2DM, HU, thoracic vertebra, chest CT

SHE SAID シー・セッド

SHE SAID シー・セッド その名を暴け 劇場公開日:
ミラマックスの映画プロデューサーによる性的暴行を告発したニューヨークタイムスの2人の女性記者の回顧録を基にした映画。
アメリカ映画はすごいと思います。この内容を、グイグイと観客を引っ張ってゆく娯楽サスペンスにしている。捜査の謎解きの要素に、いつの間にか引きずり込まれてしまいます。アメリカのメディアの中立性、民意の代表という誇りと矜持に痺れます。

(天声人語)空き家の電気代 朝日新聞 20230601

朝日新聞の天声人語にはタイトルがついていないが、電子版で見るとタイトルが付いています。タイトルがないと、最終的には何を伝えたかったのかわかりにくい内容でも、収束してくれます。ただし、内容からタイトルを考えてみると、この長さの文章でもいろいろな纏め方があることがわかります。
AIを使って要約し、タイトルを付けてもらいました。
原文引用 (天声人語)空き家の電気代
きょうから6月。物価高のいま、私が一番恐れているのは夏場の電気代である。2年前、急に上がった請求額にショックを受けた。その後は必死の節電と政府の補助金のおかげか、ほぼ元に戻った。だが、補助が終了する影響で、今月使用分から電気・ガス料金が値上がりするという▼日々の買い物でも嘆息するなか、さらなる出費は痛い。熱中症が心配で冷房はやめられないし……。暗い気分でいたところ、数年前に両親を続けて看取(みと)った友人の話に驚いた。空き家になった実家の電気代を今も払っているそうだ▼防犯のため、空き家だとわからないように玄関などが自動点灯するという。毎月空気の入れ替えに行き、掃除をする際にも電気を使う。月2千円ほどかかるが、まだ解約するつもりはない。思い出の詰まった遺品の整理はなかなか進まないのだとか▼同様に空き家を抱えた同僚にも聞いたが、やはり電気を止めていない。空き家の分まで負担したら、今回の値上がりはさらにきついだろう。電気以外に水道代や固定資産税などもかかる▼総務省によれば、全国の空き家は900万戸にのぼる。うち385万戸は使用目的がなく、倒壊や不法投棄などが懸念される。維持管理は欠かせないが、自宅から遠いほど行く回数が少ないとの調査結果も▼少子高齢化が進む社会で空き家は増え続ける。電気を止めないことが、かつて暮らした家へ足を運ぶ後押しにもなっているかもしれない。空き家の数だけ、家族の歴史があるのだ。

この文章は「空き家の電気代」というタイトルではあるが、複数の要素がある。
この夏、電気代が上がって出費が増えるなあ。
空き家を持っている人の多くは住んでいなくても電気代を払っているそうだ。
家族の思い出の遺品の整理が進まないためのようだ。
全国で空き家は900万戸、うち400万戸は使用目的なし。今後、増え続ける。
電気を止めないことが、足を運ぶ後押しになる。
空き家の数だけ家族の歴史がある。
こうやって、列記すると、空き家を維持するのはいいのか悪いのか? 電気代を払うのはいいのか悪いのか? よくわからない。電気代を払って維持すべきということでしょうか?

そこで、対話型AI:Geminiに、要約とタイトル付けを頼んでみた。以下、回答案3例。
 
タイトル:物価高と空き家、電気代に悩む私たち:家族の思い出と未来への課題
要約
物価高が進む中、夏場の電気代上昇が懸念される。政府の補助金終了の影響で、電気・ガス料金が値上がりする。冷房は熱中症対策で必須だが、出費は痛い。
そんな中、空き家に住んでいないのに電気代を払っている人が多いという事実が判明した。防犯や思い出の整理のため、空き家の電気は止められないという声が多い。
総務省によると、全国の空き家は900万戸にのぼり、そのうち385万戸は使用目的がない。維持管理は欠かせないが、自宅から遠いほど行く回数が少ないという調査結果も出ている。
少子高齢化が進む社会で空き家は増え続ける。電気を止めないことが、かつて暮らした家へ足を運ぶ後押しにもなっているかもしれない。空き家の数だけ、家族の歴史があるのだ。

タイトル:夏場の電気代、空き家が追い打ち!? 家族の思い出守る、電気代2千円の選択
要約
物価高と電気代値上げのダブルパンチで、夏場の電気代が心配になる。そんな中、空き家に電気代を払い続ける人たちの話を聞いた。防犯や思い出の整理のためなど、電気代を払う理由は様々。空き家は増え続けており、電気代以外にも維持管理の負担は大きくなる。少子高齢化社会で増える空き家と電気代、そして家族の歴史について考える。

タイトル:物価高の夏、空き家の電気を止める?止めない? 家族の思い出と節電の葛藤
要約
物価高の夏、電気代値上げに悩む中、空き家の電気を止めるべきか悩む人々の姿を描写。防犯や思い出の整理、維持管理の難しさなど、空き家問題と電力の社会的な課題を浮き彫りにしている。

朝日新聞 折々のことば:3103

折々のことば:3103(鷲田清一氏)は、フジテレビ系のドラマ「おいハンサム!!2」(原作・伊藤理佐)の最終話からの引用でした。著者はこんなTV番組まであまねく視聴しているのでしょうか? すべての新聞・雑誌・刊行物の他にTV、ラジオ、ユーチューブなんかも?
たまたま出くわしたのか、網羅性を持った選定をしているのか、あるいは収集のための組織などがあるのか、それにしても、つい、この間のTVドラマだったので拍子抜けしました。
ドラマの内容も、前回よりパタンが収まりすぎていて、破綻もなく、予定調和的で想定内過ぎました。

3.5%の「脱成長コミュニズム」

脱成長!新・マルクスの世界 斎藤幸平(前編) 初回放送日:2024年5月22日
広がる格差、環境破壊、問題山積の今こそ19世紀の哲学者カール・マルクスに学べ! 経済思想家・斎藤幸平さんが語る最新研究、理想的な社会「脱成長コミュニズム」とは?
資本主義その先へ 斎藤幸平(後編) 初回放送日:2024年5月29日
経済思想家・斎藤幸平さんは資本主義のあり方を変えようと積極的に現場に赴く。絶望するにはまだ早い、3.5%の人が非暴力で本気で立ち上がれば社会は変わると力説する。
朝日新聞20240531 折々のことば:3102 鷲田清一
低賃金労働と戦争をアウトソーシングしているのと同じように、私たちは政治闘争をアウトソーシングしている。(ナージャ・トロコンニコワ)
◇  ロシアのフェミニスト・アート集団Pussy Riotの創設メンバーの一人は、自分が何かしたところで社会は変わりようがないという「思考の罠(わな)」にはまるなと、声を上げる。個人の小さな行動も「グローバルな連鎖反応の重要な一部」。世の中の「くだらない線引き」の犠牲になってはならないと。『読書と暴動』(野中モモ訳)から。

2024年6月1日土曜日

呼吸機能イメージング研究会 演題募集

演題が集まらなくて困っているとO先生から電話を貰い、急遽、呼吸機能イメージング研究会に演題登録しました。昨日、締切ギリギリに登録できましたが、登録の後で締切が再度延長されたとメールが来ました。相当、集まりが少ないようです。
最近、演題が集まらなくて困っている研究会が多いようです。レクチャーを受講する勉強会は希望者がいっぱいになるようですが、参加者が小さな演題を発表することが少なくなっているようです。二重登録が敬遠されたり、国際学会に絞って登録したり、いろいろ原因があるようですが、気楽な症例報告のような演題にふれる機会も減っており、残念です。
15回呼吸機能イメージング研究会学術集会
11回呼吸機能イメージング国際ワークショップ
テーマ:呼吸機能イメージング:現在と未来
大会長:中野 恭幸(滋賀医科大学 内科学講座 呼吸器内科 教授)
会 期:2024823日(金)~25日(日)
会 場:大津市民会館

ミーガン

鉄腕アトムのような子供型ロボットが暴走する映画。子供のロボットもの。支配しているつもりがいつのまにか支配されていた。ロボットながら、人間をしっかり怖がらせようと頑張った表情してるので怖いです。やめときゃいいのにと思う行動をみんながしてしまうのが、この手の映画のお約束です。そして、AI対メカはやっぱりメカの勝ち。