井上ひさしの日本語相談 (新潮文庫) 文庫 – 2011/9/28
へーと感心することばかり。日頃何気なく使っていても、奥の深い背景があったのですね。日本語にまつわる珍問・奇問に平易な語り口でユーモラスに答える日本語解説本。
話し言葉と書き言葉は根本から異なる。言葉は時代とともに変わっていく。日本語は同音異義語が圧倒的に多い。今読んでも、まったく古さを感じさせない普遍的な問題だと思います。
一つ一つの言葉に、歴史的な変遷と周囲からの影響、地理や世代による集団としての変化などの要素が場当たり的に絡んでいます。現在使われている言葉は、その中で生き残った言葉・用法にすぎないのでしょう。
日本語には、漢字の持つイメージやひらがなの持つ柔らかさ、読みの持つ音感などに日本文化の魅力がふんだんに含まれています。ほんとうに言葉を吟味し、大切にする作家だと感心します。
井上/ひさし:1934‐2010。山形県生れ。上智大学文学部卒業。浅草フランス座で文芸部進行係を務めた後、「ひょっこりひょうたん島」の台本を共同執筆する。以後『道元の冒険』(岸田戯曲賞、芸術選奨新人賞)、『手鎖心中』(直木賞)、『吉里吉里人』(読売文学賞、日本SF大賞)、『腹鼓記』、『不忠臣蔵』(吉川英治文学賞)、『シャンハイムーン』(谷崎潤一郎賞)、『東京セブンローズ』(菊池寛賞)、『太鼓たたいて笛ふいて』(毎日芸術賞、鶴屋南北戯曲賞)など戯曲、小説、エッセイ等に幅広く活躍。
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