TVの「世にも奇妙な物語」の中のエピソードのような映画。高齢者の描き方が画一的であり、自発的行動のない他者として描いている。SFショートショートのような作品。現在の高齢者や社会の一寸先を想像して描いたというより、若い世代が想像した「高齢者となった自分の姿」、「自分たちの将来への不安」を描いたのではないのかと思う。わが国の若い世代の識者がイメージしている近未来の一つの姿として興味深かった。
高齢者=貧困という図式も安直であり、社会的な支援システムも描かれない。この時代に富はどこに集まっているのか? いったい何が不足しているのか? 家族の気持ちも描かれない。悪者もいない。意見の食い違いもない。人生100年時代で4分の1を不要とするような軽々しい発想が疑問である。自己決定能力を失った状況で選択を迫るような、悪徳商法やオレオレ詐欺的匂いがする。
現代日本の若い世代の生活への不満と政治へのあきらめの投影のように思える。「ソイレント・グリーン」のような持続へのワルあがきもない。「ノマドランド」の迫りくる嵐に立ち向かおうと身構える移動労働者たちの姿に圧倒的に民族の違いを感じた。
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