第29回画像診断セミナー 2022年11月30日(水)18:00~19:00
Microsoft Teamsを用いたWeb開催
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画像診断外来における膵がん検出例 森谷 浩史 大原綜合病院 画像診断センター
講演要旨
はじめに
• 膵臓癌の新規患者数は年間約3万人,増加傾向
• 膵臓癌の新規患者数は年間約3万人,増加傾向
• 患者数と死亡者数がきわめて近く,難治性癌といえる
• 膵臓癌のリスクを有する患者に対して定期的に検査を行うことで,治癒可能性のある膵臓癌を見つけ出す努力をするべきであるが,臨床的に遭遇する膵臓癌の多くは手術不能なほど進行している
• 長期予後が得られる唯一の治療法は外科的切除である
• 手術不能進行癌に対しては放射線療法や化学療法などを併用して延命を図ることになるが,その効果は限定的である.
• CTは病変の大きさ,位置や拡がりが捉えられるばかりでなく,造影剤の造影効果より病変の血流動態が把握できることから,質的診断において欠くことのできない検査である。ただし,造影剤を使用しない単純CTの単独使用は膵癌の診断には適さない。
• USは低侵襲でありCTより分解能が高いこと,ある程度の質的診断が可能であることから最初に行われる検査である。
(「臨床医マニュアル第5版」編集:臨床医マニュアル編集委員会Copyright:(c) Ishiyaku Publishers, Inc., 2016.)
方法
方法
• 大原綜合病院 画像診断外来紹介例
• 過去3年間:2019年11月~2022年10月
• 読影レポートから「膵癌」・「膵腫瘍」にて全文検索
• 膵癌検出8例
8例の検査依頼のきっかけ
• 7●歳 女性 腹部膨満 糖尿病悪化 体重減少
• 7●歳 男性 糖尿病悪化 体重減少
• 7●歳 女性 背部痛 腹部エコー(多発肝腫瘍)
• 7●歳 男性 糖尿病悪化
• 7●歳 女性 黄疸
• 8●歳 男性 体重減少
• 8●歳 女性 腹部エコー(定期検査)
• 9●歳 女性 食欲不振 体重減少
症例1 7●Y F 腹部膨満
• 膵尾部癌・腹膜播種・癌性腹膜炎:造影多相CT
症例2 8●Y M 体重減少
• 膵頭部癌:過去のCT(7年前)との比較が有用・造影多相CT
膵癌の早期診断
膵癌の早期診断
• 腫瘍径1cm 以下 Stage 0及びⅠ期膵癌:200例の検討
• US: 膵管拡張(75%)・膵管狭窄(20%)・腫瘤の直接描出(53%)
• CT: 膵管拡張(80%)・腫瘤の直接描出(52%) ・限局的膵萎縮・脂肪沈着(42%)
• MRI: 膵管拡張(83%)・腫瘤の直接描出(45%)
• 膵癌の危険因子:糖尿病・喫煙・大量飲酒・慢性膵炎・膵管内乳頭粘液性腫瘍・膵嚢胞・肥満
(Pancreatology. 2018 Jan;18(1):61-67. doi: 10.1016/j.pan.2017.11.007. Epub 2017 Nov 20. Multicenter study of early pancreatic cancer in Japan Atsushi Kanno 1 , Atsushi Masamune 2 , Japan Study Group on the Early Detection of Pancreatic Cancer (JEDPAC))
切除可能な小膵癌のCT診断の手懸りについて 癌研附属病院切除膵癌の検討
(A) 膵実質の中央部に存在する1~2, 3個の小円形で境界が鮮鋭な濃い低吸収域, (B) 軽度の主膵管の拡張の所見に注意することが重要
(A) の低吸収域の所見は組織学的に癌腫の末梢側の拡張した主・分枝膵管の横断像
切除可能な小膵癌のCT診断の手懸りについて 癌研附属病院切除膵癌の検討
(A) 膵実質の中央部に存在する1~2, 3個の小円形で境界が鮮鋭な濃い低吸収域, (B) 軽度の主膵管の拡張の所見に注意することが重要
(A) の低吸収域の所見は組織学的に癌腫の末梢側の拡張した主・分枝膵管の横断像
(切除可能な小膵癌のCT診断の手懸りについて 権藤守男、高木國夫、加藤洋 日消誌80 (5) 1198-1207, 1983)
まとめ
• 画像診断外来における膵がん検出例8例を検討
• 腫瘤や黄疸などの症状:造影CT MRI
• 膵癌を疑っている場合は造影
• 食思不振やDM悪化:単純CTの依頼が多い
• 単純CTでは小病変の指摘は困難、薄いスライス・MPRによる膵管描出・過去のCTとの比較が有用
• 一回の検査で所見がなくとも、ハイリスク例ではエコーやCTによる経過比較が有用
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