2024年6月16日日曜日

『ニナ・メンケスの世界』 公開記念シネマレクチャー『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』

フォーラム福島『ニナ・メンケスの世界』 公開記念シネマレクチャー 
2024年6月15日(土) 11時〜 
・映画上映11時〜『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』
・トーク13時〜13時30分 斉藤綾子さん(映画研究者)によるシネマレクチャー
ハリウッド映画のミートゥ運動の傍流とも言える映画です。映画産業が産み出した雇用関係の絶対的力学がどのように形成されていったのかをよく理解できる理論的裏付けとも言えます。 映画の持つ力、撮影するという行為の持つパワーを説明。いかに観客を呼ぶかという映画産業の目標として、ヒッチコックやキューブリックなどが、さまざまな映画撮影テクニックを編み出していきました。映画では、これらのテクニックが男性目線で構成されていることを解析していきます。女性を性的な対象として撮影しているシーンやカットがいかに多いか。そもそも、映画のテクニックとしてモンタージュという古典的技法がありますが、印象付けを狙った画面の切り替えやカットの挿入です。それは、有能な作り手たちの意図でもあるのですが、カメラの視線が持つパワーが、このような産業としての映画製作の持つ雇用関係、パワハラ・セクハラ・性的虐待へとつながる基盤的な潜在意識となっていると訴えています。そこには、もちろん有名になりたい、出演したいという俳優側の立ち場の弱さもあります。
・劇映画ではカメラは神の目です。ストーカーです。したがって、映画産業ではカメラを扱える者がパワーを持つという構図が起こりやすい。特に女性をセックスシンボルとして対象とする「男性の視線」で見る者が洗脳されると言っています。
・かたや、VR技術の進歩により、さらに煽情的な没入できる映像表現も登場してきており、映像表現自体が制作者・俳優・視聴者のどこに責任があるという問題でもなさそうです。美しいものを見たい、刺激的な映像を見たいという根源的欲求はどんどんエスカレートしていますので、視聴者の責任も大きいかもしれません。目下のところ、映画の持つ芸術性と見世物性の2面性を理解して楽しむのがよいのではないでしょうか?

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