1976年公開の映画「青春の殺人者」の長谷川和彦監督の次回作を、キティ・フィルムの多賀英典社長が出資し、山本又一朗がプロデューサー、脚本を村上龍、監督が長谷川和彦で創ろうという企画が持ち上がった。村上龍は5本の脚本を執筆したが、長谷川はいずれもボツにしてレナード・シュレイダーと組んで『太陽を盗んだ男』を撮った。村上の脚本の中に、後の『コインロッカー・ベイビーズ』の原型となったものが含まれていた。「青春の殺人者」がキネ旬作品賞を取ったとき、福島で上映会と長谷川和彦監督の講演会を行った。その際に、監督は、次回作は村上龍が脚本を書いていると愉しそうに話していた。「コインロッカーベイビー」というタイトルで「時計じかけのオレンジ」みたいな兄ちゃんたちが暴れまわる話なんだと言っていた。
1980年(昭和55年)10月28日、『コインロッカー・ベイビーズ』は、村上龍の長編小説という形で世に出た。講談社より上下巻の単行本として刊行された。野間文芸新人賞受賞。
ラジオドラマは、1981年8月、FM東京で放送された。1時間番組、2日間、合計2時間ドラマとして放送された。「溝内橋男」通称「ハシ」を沢田研二、「関口菊之」通称「キク」を古川一郎が演じている。監督:村上龍、音楽:笹路正徳。モチーフにローリングストーンズの「We Love You」が使われた。『太陽を盗んだ男』、沢田研二、村上龍、ローリングストーンズと、因縁のキーワードが繋がった作品である。YouTubeでは音声を12分ほどずつ10話に分けてアップされていた。小説のダイジェスト版であるが、音楽は村上のイメージが反映されたものと思う。音楽監督を村上龍、今、ちょうど読んでいた「音楽の海岸」の印象が重なる。
村上龍映画化作品
限りなく透明に近いブルー(1979年、監督・脚本:村上龍)だいじょうぶマイ・フレンド(1983年、監督・脚本:村上龍)
ラッフルズホテル(1989年、監督:村上龍、原案:奥山和由、脚本:野沢尚)
トパーズ(1992年、監督・脚本:村上龍)
KYOKO(1996年、監督・脚本:村上龍)
ラブ&ポップ(1998年、監督:庵野秀明、脚本:薩川昭夫)
オーディション(2000年、監督:三池崇史、脚本:天願大介)
走れ!イチロー(2001年、原作『走れ! タカハシ』、監督:大森一樹、脚本:丸山昇一・大森一樹)
昭和歌謡大全集(2002年、監督:篠原哲雄、脚本:大森寿美男)
69 sixty nine(2004年、監督:李相日、脚本:宮藤官九郎)
ピアッシング(2018年アメリカ、監督・脚本:ニコラス・ペッシェ)
限りなく透明に近いブルー(1979年)とだいじょうぶマイ・フレンド(1983年)は多賀英典社長の出資である。
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