2019年3月3日日曜日

フーディーニ&ドイルの怪事件ファイル 〜謎解きの作法〜 HOUDINI & DOYLE

小説家アーサー・コナン・ドイルと、天才奇術師ハリー・フーディーニという、実在した二人が20世紀初頭のロンドンで起こる怪事件に挑むミステリードラマです。
シャーロックホームズ物が好きなので、たまたま初回を見て、すっかりはまりました。ドイルは超常現象の肯定派、フーディーニは否定派として科学的根拠を追及します。小説家はロマンティスト、奇術師は論理的な「種」を生業としているため、むべなるかな。
ドイルは1859年から1930年 シャーロックホームズの緋色の研究の出版が1887年 モリアティとともに滝壺へ落ちてしまう最後の事件が1893年。再びバスカビルの魔犬を書き始めるところが描かれますので、1902年の前。ドラマの設定がホームズが死んで、復活するまでのドイルスランプの時期ですので、1890年から1900年頃でしょう。30歳から40歳ころ。
フーディニは1874年から1926年。ハンガリー生まれ。天才奇術師「脱出王」としてアメリカで活躍していましたが、超能力や心霊術のいかさまを暴露するサイキックハンターでもあったそうです。1890年から1900年ですと、15歳から25歳ころ。ちょっと、辻褄があいませんが、マザコンのフーディーニの、母性本能をくすぐる演技と設定が魅力的です。フーディーニの舞台シーンは、クリストファー・ノーラン監督の映画『プレステージ』(原題: The Prestige 2006年公開のアメリカ映画)を思い出しました。19世紀末のロンドン。過去の因縁によってぶつかり合う2人の奇術師を描いたサスペンス映画です。ニコラ・テスラが重要な役割として登場します。本作でも、テスラのほかに、チャーチル(1874年から1965年)、トーマス・エジソン(1847年2月11日 - 1931年10月18日)、ブラム・ストーカー(1847年11月8日 - 1912年4月20日)なども登場します。

この時代の日本は、長らく続いた幕藩体制が崩壊した頃です(明治維新1868年)。明治政府は欧米文化を摂取して急速な近代化に成功することで、西欧列強の植民地争奪戦から免れました。19世紀末は、日清戦争(1894年(明治27年)から1895年(明治28年))の頃です。旅順攻略戦では軍医として森鴎外・記者として国木田独歩・新聞画家として浅井忠が参加しています。ハルビン駅で伊藤博文が暗殺されたのが1909年です。大河ドラマ いだてんの金栗四三のオリンピック選手選考会も同じころです。

19世紀中頃に、ドイツ、フランス、アメリカ合衆国はイギリスに続いて産業革命をなしとげました。したがって、産業革命による近代化と憑依や悪魔祓いなどの超常現象が混在していた時代です。
世紀末のロンドンといえば、1888年に連続発生した猟奇殺人事件・切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)が有名です。スティーブンソンがジキル博士とハイド氏を執筆したのが1885年です。1890年にロンドン警視庁本部は新庁舎に移転し、ニュー・スコットランドヤードと名付けられました。『フロム・ヘル』(From Hell)は切り裂きジャックを作品の題材に使用した映画です。映画では、殺人事件の裏にフリーメイソンが関わっていることが判ってきます。ドラマではスコットランドヤードの女性捜査官の亡夫が犯罪組織あるいは対抗する平和主義組織に関わっていますが、その結社のマークがピラミッドや目を想像させるデザインになっています。

霧の街ロンドンには19世紀初頭からガス灯が街灯として用いられました。タイマーにより夜間点灯する仕組みです。ロンドンの移動手段は、馬車から地下鉄へ移行していた時代です。ドラマでもよく地下鉄が登場します。ロンドン地下鉄は、世界初の都市内地下旅客鉄道として1863年1月10日に運用が開始されました。1880年には年間4000万人を輸送するまでに成長していたとのことです。新聞売りの少年も登場します。ヨーロッパの新聞は、16世紀に登場したようです。
最終回ではフーディーニが母の死後の自分の夢を分析するため、オーストリアの医師としてフロイト(1856年から1939年)の夢診断を読みふけっています。
ちなみにアドルフヒトラーは(1889年から1945年)はこの頃、誕生し、第1次世界大戦が1914年7月28日から1918年11月11日に起きています。

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