2019年製作/132分/PG12/韓国 原題:Parasite
満員の映画館は数十年ぶりの経験でした。
「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホがタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初のパルムドールを受賞した作品です。
“貧富の格差”がテーマのブラックコメディです。坂道の先にある豪邸と地下室。階層の格差が視覚的に明確に描き分けられています。上の階のwifi接続をあてにして部屋のすみずみを探し回っている、半地下の生活の描き方が絶妙です。豪雨の中、駄々をこねて豪邸の庭にテントを張ってもらって一夜を明かす子供と、汚濁水で水没する半地下。隣の階層とは軋轢が生じるが、遠くの階層(宿主)には敬意を表するなど、登場人物たちが戯画化されています。彼らの怒りはすぐ上の階層へ向かいます。そして、空き家になればいつの間にか、新しい寄生者に置き換わる。
富はおっとりときれいに描かれており、そこに寄生する貧と半貧との階層感の違いが明確です。富からは貧はもはや環境の一部になっています。貧は北の報道スピーチをそらんじて見せて、富をリスペクト対象としています。イデオロギーを疑いません。半貧はというと、富をだましてくすね取れという気持ちです。イデオロギーを信じていない気配があります。貧の存在には気づいていません。子供たちを大学へ進学させるというフレーズが何度か出てきます。しかし、富は半貧を拒絶します。
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