2020年9月13日日曜日

時計じかけのオレンジ

1970年ごろの近未来SF映画です。大好きな映画で、何度も見ています。最近Amazon Primeで視聴しましたが、最近の現実社会で報道される事件を見ると、このフィクションは人間の意識や行動・環境をきわめて精緻に予測していたと、いまさらながらに感服します。描かれた時代の空気(家族・社会・政治・若者の虚無感)も、全く色あせてしまうことがありません。

昔はストーリーの前半の流れるような暴力シーンをミュージカル映画のように見ていましたが、今回、改めて後半の、破壊欲を個性として尊重し、素のままへ回帰するストーリーを面白く見ました。人間の欲には、三大欲として食欲・睡眠欲・性欲とがあると言われてきましたが、この映画の主人公のアレックスを見ると、人間の欲には、破壊欲・被刺激欲もあるのではないかと思います。そもそも社会的なルールというのは反自然的なものです。自然と反自然との間に線引きしようとすると、破壊欲・被刺激欲の方が個性として自然の側に入ってくるのではないかということになります。映画では、主人公の暴力性を医学的に抑制してしまう「国家の暴力性」が描かれますが、アレックスの個性が「破壊欲・被刺激欲」だとすると、その選択はどちらを選んでも非常にシニカルということになります。

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