肺癌学会2022 内容

2022年12月、肺癌学会で博多に来ています。
福岡到着の初日は、国立がんセンター　下里幸雄先生のメモリアル講演を聴講しました。
2日目は、胸腺腫瘍ガイドライン、自見はな子議員の特別講演を聴講し、そして自分のワークショップに参加しました。
全体として、放射線診断関係の医師の参加がごくわずかになったなあというのが印象です。

肺癌学会　発表内容
超高精細画像の臨床実用　仮想気管支鏡と外科手術支援画像
•    仮想気管支鏡
肺癌診療ガイドライン　2021年版　確定診断
CQ11．肺末梢小型病変の経気管支生検に，仮想気管支鏡ナビゲーションは勧められるか？
•    仮想気管支鏡ナビゲーションを行うよう推奨する。 〔推奨の強さ：1，エビデンスの強さ：A，合意率：79％〕
•    仮想気管支鏡ナビゲーション（virtual bronchoscopic navigation；VBN）診断率73.8％。
•    VBNにより3cm以下の小型病変の診断率の向上を認めた〔メタアナリシス：VBN75.4％，非VBN67.5％〕。
•    VBNにより病変への到達率の向上を認めた〔メタアナリシス：VBN91.8％，非VBN82.2％〕。
末梢小型肺癌に対する確定診断手技の変遷
H Moriya, M Koyama, H Honjo, et al　Interactive virtual bronchoscopy as a guide for transbronchial biopsy in two cases　JJSB　20:610-613,1998
末梢小型肺癌に対する確定診断手技の変遷
Relationship between voxel size and small structures
遺伝子パネル診断時代における組織採取デバイス選択
通常鉗子による採取可能性を CT の気管支計測から予測できるか？
超高精細画像の臨床実用　仮想気管支鏡と外科手術支援画像
•    外科手術支援画像
Asc. A3
胸腔鏡下右S9+10区域切除術
術中所見　癒着なし　癒着あり
Dynamic respiratory CT scanning method using 320-row ADCT
•    We used dynamic ADCT to assess chest wall invasion of lung cancer. Imaging takes approximately 4–6 sec, during a breathing cycle, inspiration and expiration. The radiation dose was 2-3 mSv, which is within acceptable annual radiation levels.
•    The continuous image data (320 images/frame × total 18–19 frames, by every 0.35 seconds) were reconstructed for the cine-CT series.
Diagnosis of  chest wall adhesion or invasion of lung cancer
超高精細画像の臨床実用　仮想気管支鏡と外科手術支援画像
•    3D ワークステーション
コンピュータによる肺葉分割法の評価

超高精細画像の臨床実用　仮想気管支鏡と外科手術支援画像

•    超高精細CTは精緻な気管支形態・脈管を描出・計測できる

　末梢肺野病巣への気管支ロードマップ・仮想気管支鏡を作製できるため生検デバイスの誘導が行える

　末梢造影血管のCT値が上昇するため精緻な3DCTAを作成できる

•    320列面検出器CTは呼吸動態・機能データ・動的立体データを取得できる

•    ワークステーションにより肺（5肺葉分割）・気管支の自動抽出が行えるため、容易に3D画像作成・体積計測が行える

精密撮影が可能になったぶん、心拍動のブレが邪魔になる場合にどう対処するか？　特に舌区や左下葉の気管支の連続性を確認したい場合はその部のみ必要に応じて心電同期を行う

現在肺葉分割は通常臨床で簡便に行えるが、将来は区域分割の自動化も可能となる思われる