2026年7月4日土曜日

ディベートが苦手、だから日本人はすごい (朝日新書)

ディベートが苦手、だから日本人はすごい (朝日新書)
榎本博明 (著) 形式: 新書
相手の立場を察して論破しない。この日本的コミュニケーションが、今のグローバル化時代にこそ価値を増す!「自己主張」が欧米と異なる理由、対決しない心を作る日本語の構造など、
心理学博士の著者がさまざまな事例を挙げて日本人の美質を解明する。
【目次】
I部 私たちが見失ったもの
第1章 「抑制の美」を忘れたクレーマーたち
・「ホンネを出せばいい」という風潮
・ハッキリと自己主張できればいいのだろうか?
・そこらじゅうクレーマーだらけ
・店員に威張り散らす客、客にキレる店員
・自己主張をどこまでも貫こうとするストーカー
・学校に怒鳴り込むモンスターペアレント
・やたら言い訳の多い学生たち
・「自分の責任じゃない」と言い張る世代
・「すみません」が言えない人たち
・「場の責任」という発想
・「どうして僕が謝るんですか?」
・「なぜ落ちたんですか」とクレームをつける学生たち
・叱られると「パワハラだ」と訴える人たち
・礼儀正さと抑制の美の機器
・タテマエのもつ奥ゆかしさ
第2章 節度なき風潮――欧米流の自己主張
・ディベートは勝負を決するための自己主張
・自己正当化の社会に「申し訳ない」という気持ちはない
・「非を認めない文化」と「すぐ謝る文化」
・お客様意識で自己主張をする人たち
・メンツを潰される上司、追い込まれる部下
・注意されるとすぐに言い返す
・若い世代の物言いに居場所を失う中高年
・言った者勝ちの風潮
・責任を取らない上司、自分勝手な部下
・理屈重視で搾取される非正規社員
・失われつつある日本的な心の配慮
・若手社員は、実は人間的なふれ合いに飢えている
・「思いやりのコミュニケーション」が崩壊していいのだろうか?
II部 日本人の心の品格
第3章 日本文化に根づく「対決しない心」
・なぜ自己主張ができないのか?
・意見の伝達よりも気持ちの交流
・ヨーロッパ人が驚嘆した、対決を避ける善良さ
・命じられることなしに従う日本人の不思議
・相手の期待を裏切らないように振る舞う
・「独立的自己」に対する「相互強調的自己」
・関係性の中にこそ自分の生きる場がある
・「議論は理屈で決着がつくはず」といった幻想が争いごとを生む
・敗者をつくらない配慮
・矛盾をつくらない配慮
・日本人の心の深層に根づく「「体面を重んじる心」
・タテマエは利己的な心のブレーキとなる
・タテマエの崩壊がクレーマーを生んだ
第4章 つつましさと思いやりの美徳
・自己PRより謙虚さを好む
・日米の意識調査でわかる「遠慮する心」
・「遠慮する心」に対応する「察する心」
・自己主張に感ずる利己的な匂い
・こうして「譲り合いの心」が発達した
・なぜ言い訳を嫌うのか
・実利より名誉優先の潔さ
・思いやりの心は幼児期に植えつけられる
・子育てで権威を振りかざすアメリカ、気持ちにアピールする日本
・子育てにも対決を避ける心が反映されている
・叱られ方が心の発達の方向を決める
・「もういい」という捨て台詞の持つ意味
・お母さんは、言葉の背後の気持ちでしつける
・日本文化に根づく「許しの心」
・「申し訳ない思い」による自己コントロール
・フロイトも理解できなかった「申し訳ない思い」
・教科書に見られる日本人の心の理想―日米の比較
・人間観に見られる著しい文化差
・感情を表に出さない
・悲しいのに、なぜ微笑むのか?
第5章 日本人の心は日本語でつくられる
・「I」は私ではない
・「自」も「他」も含む「自己」のとらえ方
・場によって姿を変える「開かれた自己」
・日本人に「I」はいらない
・「I」に凝り固まらないから思いやることができる
・「I」もなければ「you」もない
・主客が溶け合う心は言語構造が生み出す
・「I」対「I」の主張の闘いが殺風景な世界をつくる
日本人のコミュニケーションについての学術的内容を平易に記した解説書である。日本人で良かったとつくづく感じる。
表情や沈黙から感情を推し量ることができるのは島国の単一民族であるからこそであろう。手話講座を見ると顔もコミュニケーションの道具である。母語の違いにより、非言語コミュニケーションは様々である。したがって、それらの共通部分、表現された言語で伝達し合うのが基本であろう。とはいえ、日本語と日本的コミュニケーションはとてもよいものと思う。