エラー 失敗の法則 雪印 2つの事件
(NHK BSプレミアム) 2月27日(月) 午後11:00~午前0:00(60分)
結局、スローガンを掲げて禊とする「組織のくさいものに蓋」の姿勢が、繰り返す不祥事を生んでいます。きれいなスローガンを掲げて社外的に襟を正したような姿勢を取っても、結局、現場の社員たちには全く届いていません。そんな繰り返しが次の事故に繋がっています。組織は「組織は形状記憶合金のようなもの」という言葉に共感しました。正しい形状の金属ならいいですが、もともとは曲がった金属を直し直し使っているのです。「失敗」への道のりを丹念にたどり「失敗から学ぶ」特集番組。かつての乳製品のトップメーカー・雪印グループを事実上の解体に追いやった2つの事件に迫る。 2000年と2002年、わずか2年足らずのうちに立て続けに起きた2つの不祥事で事実上の解体に追い込まれた雪印グループ。なぜ事件は起きてしまったのか? 企業にとって、組織にとって、大切なこととは何か?
2つの事件、そして信頼回復と再生にかけた20年の取り組みを追った興味深い、そして教訓として思いを共有したい番組でした。
ちょうど2022年度の医療安全研修で自治医大名誉教授 河野龍太郎先生の「安全文化の解釈と醸成について 情報に基づく組織のリスク低減と管理」を聴講したばかりでしたので、その符合に驚きました。「安全なんてものは存在しない。」という言葉は「形状記憶合金」と同義でしょう。リスクは至るところに転がっている。だからリスクを減らす努力を常に継続しなければならない。そのためには情報を収集し続けなければならない。
1.情報収集の基本は現場から上がってくるヒヤリハット報告である。たくさんの情報を継続して集約する仕組みが必要である。
2.そして正義が必要である。正義とは常に正しい手順で業務を行うということ。正しく行っていない現場ではヒヤリハットの効果は少ない。
まさに様々な業種でこのことができない現場が多いと感じます。失敗しても謝るだけ。「すいません、すいません、インシデントレポート書きます」で終わらせてしまう。一時、頭を下げて、翌日は忘れている。やがて同じようなことをまた起こす。同じような失敗の繰り返しに遭遇するたびに感じます。インシデントレポート自体がもはや形骸化しており、なぜそういう仕組みを作ったかを理解できない。頭を下げる必要がないということを理解しようともしない。
雪印の不祥事の状況を視聴していて既視感を感じました。東電の原発事故です。 東京電力も何かあるたびにきれいな言い訳をしますが何度でも同じような隠蔽を繰り返します。そもそも指摘されなければ自分からは報告しない。ほんとうに他人をバカにしています。隠し通した不祥事が山のようにあるので感覚が麻痺しているのでしょう。この職場は「隠蔽」から作られているのでしょう。そういう形状記憶合金なのでしょう。
雪印は2度の失敗から、社員を社会に晒すという行動を取ったといいます。現場の社員から襟を正す姿勢が持続するような、反復するような仕組みを作りました。安全管理のスタートと維持は「報告するのが当たり前」という体質・姿勢がなければ成り立ちません。この方法は医療の安全管理でも使われる手法の一つです。
この10数年、東電の現場の社員の顔が見えたことがありません。「組織のくさいものに蓋」の姿勢を社員ひとりひとりが隠れ蓑にしているようです。東電にとっては、福島の出来事なんて世間に早く忘れてほしい他人事なのでしょう。
「安全文化の解釈と醸成について 情報に基づく組織のリスク低減と管理」のキモは他人事としない体質の醸成だと思います。自分たちは自分たちの足元をしっかり踏み固めて、リスクを低減したいという思いを少しでも維持したいと思います。「結果オーライ」ではなく、見えないところでもしっかりやる。東京電力を他山の石としましょう。「信頼」が「安心」の基本です。
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