2023年3月14日火曜日

『お嬢さん』

『お嬢さん』(おじょうさん、原題:아가씨、英題:The Handmaiden)は、2016年に公開された韓国のサイコスリラー映画。監督はパク・チャヌク、主演はキム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン。ウェールズの作家サラ・ウォーターズの小説『荊の城』を原作としており、舞台設定がヴィクトリア朝から日本統治時代の朝鮮に変更されています。フランスピエール・ショデルロ・ド・ラクロの『危険な関係』(きけんなかんけい、Les Liaisons dangereuses 1782年)のような貴族社会の道徳的退廃と風紀の紊乱、恋の駆け引きの話かと想像していたら全く違ってました。 
1939年日本統治下の朝鮮半島が舞台です韓国の強い家父長制と日本の軍国主義下のがんじがらめの大財閥のお嬢さんと彼女に仕える女中という幾重にも積み重なったヒエラルキー構造が背景に描かれます。その中でミッション・インポッシブルのような詐欺チームの犯罪計画を女中側から描く第1部、対象のお嬢さん側から描く第2部、最後は日活ロマンポルノのような映画です。強い家父長制度の閉塞した環境からの脱出が描かれる点で、男性社会に対する女性の自立を描いた女性映画とも言えます。男たちが崇拝する性すら滑稽に形骸化しています。いわんや社会おや。さまざまな形骸化した「男の常識」による規制を軽やかに飛び超えていく女性解放映画ともいえるかもしれません。 
第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門ノミネート作品であり、第71回英国アカデミー賞で非英語作品賞、第53回百想芸術大賞で大賞を受賞

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