2021年3月14日日曜日

殺人の追憶

『殺人の追憶』(さつじんのついおく、原題:살인의 추억)、2003年韓国映画。軍事政権下で比較的治安のよかった1980年代後半に発生し、10人の犠牲者を出した華城連続殺人事件を巡る刑事たちを描いている。第40回大鐘賞で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞受賞。
ポン・ジュノ監督が以前から同様の作風で映画を作っていたことに、いまさらながら驚いた。公開時に観たが、今見ると印象が全く違う。「母なる証明」や「パラサイト半地下の家族」と共通のディテールを細かく描きつつ、その中に戯画化されたユーモラスな表現を加え、田舎の村で確かに存在して生活していた村民の思い出を丁寧に描いている。特に「母なる証明」と非常によく似た作りである。
一体、真実とはなんだろう。犯行現場を訪れるたくさんの人がいる。被害者、犯人、目撃者、容疑者、刑事たち。物証があげれれない事件について、もはや真実は「追憶」になってしまっている。現場に戻って「追憶」を反芻する。刑事も犯人も。捜査は「夜の大捜査線」風に進んでいくが、DNA検査をアメリカで行うことに社会的・国家的不信がかぶさってしまい、その段階で真実はもう見えなくなっている。例え真実が明らかになったとしても、「母なる証明」で描いているように、個人から国家まで、さまざまなレベルで事実を有耶無耶にしてしまうたくさんの介入があるだろう。黒澤明の「羅生門」へ遡れる類似性を感じた。

2021年3月13日土曜日

NHKスペシャル 無人の町の“じじい部隊”

2014年に放送されたNHKスペシャルを震災10年ということで連続して再放送している。
NHKスペシャル 無人の町の“じじい部隊”は、福島原発事故後の帰還困難区域でテレビカメラが長期にわたって取材したドキュメント番組である。福島県大熊町で、退職した町役場職員6人の、自称“じじい部隊”が、将来の住民帰還がにむけて「無人の町」の留守を守り、町の復興・帰還計画をけん引する活動を続けていた。番組では、四季を通じてこの“じじい部隊”の活動を追うことで、帰還困難区域の現実の問題と矛盾・不条理を明確に伝えている。一人一人の国民の声など聞き入れていたら国は動けないであろうが、それでは何人の声なら聴いてもらえるのか? 東北の声だから聴いてもらえないのか? この地で頑張っている“じじい部隊”は、まるで置き去りにされて、環境の汚染を知らされることなく野生化していく動物たちのように見える。先日、広大な中間貯蔵施設を見てきたばかりだったので、身につまされる思いがした。このドキュメンタリー映像には、映像でなければ表現できない深いメッセージが詰まっているように感じる。

「知らない」という優位性

3月6日朝日新聞の記事。大越健介さん。59歳。11日夜10時からの「NHKスペシャル 震災 映像記録(仮題)」で被災3県の100カ所の映像を元にしたドキュメンタリーの制作陣に加わっている。
東日本大震災から、東京オリンピック、現在はコロナ禍の取材を行っているという。徹底した現場主義。さまざまな現場を経験し、「テーマが森羅万象にわたり、毎日緊張して新人に戻ったような気持ちです。59歳になった今も第一線で取材できることは幸せ」という。「原動力は知らないこと。全てを知り、伝えることは難しい。それでも少しでも近づこうと取材の準備をし、現場に行くのです」 新しいテーマに対して、「知らない」という優位性がある。何事においても「素人であることの強み」が確かにあると思う。

2021年3月11日木曜日

東日本大震災10年目を迎えて NPO福島画像診断支援センター 森谷浩史

東日本大震災から10年になりました。
震災後の放射線診療に関係する課題へ対応することを目標に掲げ、2013年にNPO福島画像診断支援センターを設立し、不器用ながらも活動を続けてまいりました。ご協力いただいている先生方や関連の企業の方々に深謝いたします。
福島県では、震災と東京電力の原子力発電所の事故による複合災害の後、たくさんの県民や医師・医療者が福島県から離れ、医療が存続できなくなった地域・医療機関もありました。
そこで、わたしたちは、住民に対して放射線被ばくについての正しい医学的情報を発信するとともに、医師の減少や偏在により医療が立ち行かなくなった臨床現場に対して継続して支援を行ってまいりました。
ご依頼いただいている医療機関の先生方や担当者の方々など、多くの人々のご協力を得て継続できておりますことに改めて御礼申し上げます。
 
さて、震災後10年になりますが、福島県では原発事故後の処理がまだまだ進んでおらず、汚染水や中間貯蔵施設など新たな課題も生じてきています。地域住民の減少と高齢化・医療者の減少と高齢化・地域医療の継承の問題、地元医師会の先生方が精力的に担ってこられた住民検診の負担など、わたしたちの活動を通して、現場医療のさまざまな課題も目にしております。人口減少は福島県だけの問題ではありませんが、帰還困難地域の存在はたいへん特殊な福島県の課題です。このことは、わが国の近未来を象徴した「克服すべき課題」だと思っております。 
 
さらに、昨年から続いている新型コロナウイルスの感染拡大により生活も医療も大きく変革を迫られています。従来、当たり前のように行っていた、診療・教育・研究が思うようにできず、日常生活にも多大な影響が出ています。しかし、その反面、PHR・クラウド・5G・非接触・リモート・AIなど、たくさんの技術が開発され瞬く間に普及するなど、デジタル化を基本とした新しい生活様式を促進させる強力な影響力がありました。わたしたちも、これらのICT技術を活用して、福島県を始めとした被災地の課題に対して今までよりも広域的・効率的に対応していければと考えております。 「今できること、今困っていることから face to faceで始めよう」というのが、わたしたちの基本姿勢です。震災復興の思いを忘れることなく、目の前の課題へひとつひとつ取り組んでいこうと思います。
引き続き、ご指導・ご鞭撻をお願い申し上げます。

2021年3月10日水曜日

■総合診療セミナー4(生涯教育・研修医セミナー)脳梗塞急性期の画像診断と血管内治療

第40回 日本画像医学会 学術集会 令和3年3月3日
■総合診療セミナー4(生涯教育・研修医セミナー)脳梗塞急性期の画像診断と血管内治療
座長 原田雅史(徳島大学放射線医学)
1)ASL を用いた脳虚血急性期病態診断 木村浩彦(福井大学放射線医学)
2)脳梗塞急性期の血管内治療 兼松康久(徳島大学脳神経外科学)
ASLの具体的読影法をたいへんわかりやすく教えていただきました。脳梗塞急性期の治療戦略について現状のエビデンスを教えていただきました。


2021年3月9日火曜日

第24回 画像診断セミナー リモート開催の趣旨について

皆さま お変わりございませんか?
コロナ禍と地震の中、仕事も生活も思ったようにできず、たいへんなご苦労をされていると思います
最近、web開催の学会・研究会が多く、自宅で手軽に勉強できて、とてもありがたいと思う一方で、どうしても受け身の参加のため、緊迫感がないことを感じています
さすがに1年も経過すると、レクチャーされる内容も教科書的な大人しい内容ばかりが繰り返され、いささか食傷気味になっています
そこで、気心の知れた顔の分かる方々が「お互いに声を出せる」ミーティングを企画しました
2021年3月24日18時から、第24回 画像診断セミナーをリモート開催いたします
今回は、自分たちの勉強を兼ねて、大原綜合病院を中心に演題を準備しましたので、ぜひ、ご追加の情報提供をお願いいたします

ユリシーズ

幼稚園の頃、映画館で見た巨人が出てくる映画はユリシーズだったのかなあ? 一つ目の巨人が出てきて穴の中に逃げ込んだりする映画だったのだが、今、BSのプレミアムシネマなどで見ると、もっと安っぽかったように思う。その後、ハリーハウゼンのアルゴ探検隊の大冒険を見たときは、そのリアルさに驚いたことを覚えている。それまでの映画とは隔世の感があったので、記憶の中の映画はとてもショボかったというショボ感だけが記憶に残っている。しかし、今のCG全盛時代のSF映画には、ちょっと辟易しており、昔の手作り感満載の映画もよかったと思う。