2022年11月12日土曜日

B6判のポケットサイズ『宝島』

 "RollingStone"誌の日本版を、という企画から一転、1973年7月10日、『ワンダーランド』というタイトルで植草甚一責任編集として創刊、3号目より『宝島』に改名、6号を晶文社から発行した後、休刊。その後版権がJICC出版局に移って1974年6月に復刊。グラフ誌大からB6判のポケットサイズ、翌年1月号からは紙質もザラ紙となった(1977年5月号まで)。復刊時の発行部数は7000部。カリスマ的な編集者によって先鋭化され、『宝島』はマイナー志向の超カルト的サブカルチャー雑誌として確立、ドラッグや精神文化特集など、そのマニアックさ故に部数は伸び悩んだ。発行部数が5000部程度のこともあった。
全地球カタログ、マリワナ、SF読本、国営放送、日常生活の冒険などB6ザラ紙版の数冊が書棚の奥から出てました。今さらながらアグレッシブだったんですね。

2022年11月9日水曜日

教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン

教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン  (NHK出版新書 545)  新書 – 2018/3/8 伊藤 穰一 , アンドレー・ウール (著)
想像していた内容とは、いい意味でだいぶ違っていました。現在のコンピュータテクノロジーが社会や生活にどのように影響していくかについて、平易に述べられています。特に、氏が実際にやってみて、経験したこと実感したことが論点の基盤であり、説得力があります。なるほど、そういうことなのかと納得することしきりでした。
「AI」ムーアの法則に基づくコンピュータ進化が徐々に減速している 根本的な原理が変わらなければ劇的な進化は望めない 適当なサイズが良い
「ミーニング・オブ・ライフ(人生の意味)」金のためだけに〈働く〉のではない。
「仮想通貨」仮想通貨の出自とその概念 自分でやってみることが大切だ 
純粋な学問だけでなく「実効的な研究」 
「ブロックチェーン」脱中心と自然通貨 金で買えない価値 見返りを求めない関係 
「自動運転」誰を犠牲に設定するか 
「人間拡張」 
「ペデストリアンシティ」・「ローカリティ」持続可能性 
「アンスクーリング」自分で決めて自分で学ぶ 評価のない自由 子供から学ぶ 
「フューチャリスト」と「ナウイスト」将来の準備より今を生きる方法を
インターネットとAIの登場 変化に適応する柔軟性が必須
日本人ならではの「こだわり」「ラジカルさ」「長い時間軸」「島国のよさ」「ハピーが必要」
AIに関しては、人間社会が育んできた文化的背景を理解しつつ、どのような面で活用されることになるか興味深いと思います。AIは基本的に世の中の事象を数学的に解決する技術です。医学診断においては、画像から定量化して閾値を決めて判定するのが今までの画像診断法でしたが、AIは「定量化から閾値決定」をブラックボックス化しています。とは言ってもプログラム内では定量化が基盤になっています。診断がエンドポイントであれば、結果の理解も納得できそうですが、治療法について、QOLをエンドポイントにしたり、社会の経済原理をエンドポイントにしたりすることも可能ですので、そう考えていくと厄介です。

2022年11月6日日曜日

第29回 画像診断セミナーのご案内

第29回 画像診断セミナーのご案内
日時:2022年11月30日(水)18:00~19:00
会場:Microsoft Teamsを用いたWeb開催
<テーマ>ー消化器を学ぼうシリーズ(その1)ー
《ワークショップ》 18:10~18:40  2演題(1演題 : 7分~10分)
《特別講演》  18:40~19:00(20分)
  『膵癌の診断に関する話題(仮題)』 
大原綜合病院 健診予防センター 菊田 佳子 先生

2022年11月5日土曜日

B 級小説って?

「五輪汚職事件をめぐり、贈賄罪を一貫して否定している出版大手「KADOKAWA」前会長・角川歴彦(つぐひこ)被告(79)が、自身への報告などをめぐる社内のやり取りについて「事件を作ろうとしている。これはもうB級小説だ」と批判していることが、関係者への取材で分かった。」との朝日新聞の記事で、B級小説という言葉が新鮮でした。あまり聞いたことがありませんでした。どんな小説のことを指すのでしょうか? 
B級なんたら、というと、B級グルメやB級映画が有名です。1980年代に東映や日活の、低予算で2週間程度で量産していたプログラムピクチャーをB級映画と呼んだように思います。そこからヒット作を出してメジャーな映画監督へなっていった人たちもたくさんいます。B級グルメは2000年代に使われ始めたように思います。名古屋のファーストフードを呼んだのが最初でしょうか。いずれも卑下した呼び方ではありません。どちらも土地や造り手たちへのリスペクトを含んだ表現だと思います。
角川会長の「B級」の真意は「安直」「低俗」といった形容詞で使ったのでしょうか?

2022年11月4日金曜日

カムイ外伝

アマゾンプライムに入っていましたので久しぶりに実写映画「カムイ外伝」を見ました。最初は公開時に観ていました。原作は「スガルの島」。TV版の最終エピソードとして観たのが最初でした。当時はまだ原作のなかったエピソードであり、3〜4回連続の長編エピソードでした。
カムイ外伝はカムイ伝のスピンオフストーリーです。カムイ伝の狂言回し的な登場人物の抜忍カムイの追手忍者との戦いを描いた忍術合戦ですが、当時、「スガルの島」は異色でした。元来、白土マンガはエロティックです。静寂の中に色気があります。「スガルの島」ではカムイの恋心と、必然として生じる感情の爆発がストレートに描かれ、異質の魅力がありました。
いま見ると、実写版はカムイの甘さが目立ちます。絶えず周囲を観察している野生の姿、寡黙さがありません。また、原作の衣装とは異なり、衣服の差別化がないため集団の中で目立ちません。
原作漫画の活劇のスピード感がありません。ストーリーが翻案されたボーンアイデンティティがスピーディーな活劇映画になっている今となっては、アクションの遅さが致命的です。アニメのほうがスピード感がありました。
白戸漫画の忍者は「猫の動き」です。俊敏に動いて、ピタッと止まる。地面を這って周囲を窺う。漫画ではサスケの猿飛の術はストロボ撮影のような工夫で見せました。大島渚の忍者武芸帳は漫画をうまく使って動きと静寂の表現を試みました。
最近の「るろうに剣心」の新しいスピード感には圧倒されました。日本でも工夫すればボーンの活劇に近づけるようなスピード感が出せるんですね。今なら体操選手のような動きを実写で見せるような工夫もできるでしょう。今ではTV中継で体操選手やスケート選手などの様々なアスリートたちの映像がリアルに見れてしまうので、よっぽどうまく作らないと嘘っぽくなってしまうでしょう。
忍者は闇の中に潜む者です。映画は明るい場面が多すぎたようです。もっと暗くしてカムイの技と知恵の卓越性を描くべきだったでしょう。冒頭にカムイの秘術を説明的に描きますが、むしろ非人という出自と時代背景の説明がほしいと思いました。侍が全て下劣という、低俗な描き方も定型的すぎます。冷徹な切れ者の武士もいるはずです。原作の持つ差別と階級闘争が描かれないのが不満です。
白土漫画の魅力は歴史や風土の描き方です。経験と取材で得たリアルな自然と生活が描かれます。映画にはすべての背景が写し撮られます。ディテイルの積み上げが足りなかったと思います。
最後の鮫のエピソードはカットされていました。サスケのTV版でも原作の残酷なラストはカットされています。白土三平が繰り返し描いた非情な結末にこそ、集団であれ個人であれ、善悪なく、人間もまた自然の中の一部であるというテーマが明確に示されます。勧善懲悪ではなく、虚無感と復讐の連鎖へと続く不安を残す締め方を見たかったと感じました。

2022年11月3日木曜日

映画「ブラック・ジャック(1996年)」

映画「ブラック・ジャック(1996年)」
新薬により超人類となった人間は、やがて代謝が亢進し続けて、加齢が加速する。カビから精製されたその新薬はウイルスであり、モイラシンドロームと呼ばれる病気を発症する。ブラックジャックはその新薬の起源を探っていく。ウルフガイシリーズなんかでも繰り返し使われる強化人間ネタでした。
強化人間・人間の能力拡張は日本では子供から大人まで様々なSF作品でテーマになっています。伊藤穣一氏のレポートによれば、この傾向はわが国に特徴的とのことです。日本人はロボットやAIについて親和性がよい傾向があるとのことでした。

2022年11月1日火曜日

映画 フレンチ・ランと「世界文学への招待」

2017年・フランス・アメリカ映画。スピーディな映画でした。イドリス・エルバが刑事ルーサーそのもののように活躍します。ちょうど放送大学の「世界文学への招待」を見始めた時だったので、フランスの宗教と行政の関係・テロに対する防衛行動を興味深く観れました。
この犯罪の最終目的をコソ泥にしてしまうことで、映画の宗教的立ち位置をニュートラルにしています。テロを扱った映画はどうしても立ち位置を現実の立ち位置の外に置いてしまうことが多いのは、扱っているテーマの善悪・正義の定義をなし得ないためでしょう。
放送大学の「世界文学への招待」では、ここで扱う作品は各国の状況を映し出すもの・民衆が置かれている背景・環境を描く現代文学です。かつて世界文学というと古典的名著と呼ばれていた作品全集のイメージでしたので、このレクチャーはとても刺激的です。
また、各国の言語を知ってこそ作品の持つオリジナルの魅力を体感することができますので、原文を音で聞くことも新鮮でした。
異邦人と100年の孤独以外はほとんど聞いたことのない作品でしたので、紹介される作品を読んでみたくなります。