2020年4月15日水曜日

知的生活習慣 (ちくま新書)  外山滋比古

知的生活習慣 (ちくま新書) 外山滋比古 (著) 新書 ¥880
無知であることを自覚して営む日々の暮らしこそ、知的生活である。年をとって忘れっぽくなるのを嘆くことはない。むしろ日々これ新しく前進する、と考えよう。老年恐れるに足らず、との心境に至れば、人生は明るく楽しいものになる――そう考えるのが外山流の知的生活。さまざまな日常の局面におけるちょっとした工夫を習慣化することで、老若男女を問わず誰でも日々向上することができる。九十歳を越えた今も知的創造を続ける知の巨人による、『思考の整理学』実践編。

勉強もしてみれば面白い。「知識、情報のあふれる現代では、健康的生活習慣だけでは不十分である。よい知的生活習慣を身につければ人生を豊にすることができる」。
計画を立てる。新聞を読む。最近のタブレットで読める電子版は、拡大できる・コピーできるという機能がとても便利である。
図書館の効用:読み漁れる・ものを書ける。しかし、仕事をしている身では図書館へ行く時間も機会もない。最近ではパソコンやタブレットの電子ブックサービスが、まるでコンビニの雑誌立ち読みのように楽しめる。同時に開ける冊数に制限があるが、隙間の時間に本に触れることができて便利である。
メモをつける:書くことで忘れることができる。ものを考えるためには余計な記憶が邪魔になる。
素朴な「なぜ」「どうして」が大事:知識はモノマネの結果である。自己責任でモノを考える習慣をつけるのが大切。無学な人ほど劣等感が強く、みずからにブレーキをかける。勉強会・仲間が大事・銘々の我田引水がよい。異種交流のクラブ的雰囲気:談論風発。優秀なリスナーは優れたスピーカーになる。専門家にとってはこどもの知識でも、無知な人間にとっては刺激的である。脳に刺激を与えることが、生活習慣上とてもよさそうである。
朝は考え、昼は働き、夕べに食し、夜は寝るべし:ウィリアムブレイク。忘れる:去るものは追わず。大声を出す:腹式呼吸になる。思い切って朝食抜きにする:神経が集中できる。あまり肩を怒らせずに生活の中に習慣として入れ込むということである。
風は万病のもと:転ぶな・風邪ひくな・義理を欠け。風邪ひくなよ!はドリフターズのエンディングのあいさつだった。風邪ひくなよ、宿題やれよ、歯磨けよ・・・。ドリフターズの志村けんさんが亡くなってしまったが、インフルエンザや今回の新型コロナ肺炎など、流感から重症化する呼吸器感染症への予防は当時から繰り返しメッセージが発信されていた。古来から伝わっている事柄には経験によるエビデンスが反映されている。
コンピュータは記憶の巨人である。機械でもできる仕事は機械に任せた方がよい。
生活の中で仕事をする 仕事の中で生活をする。散文を書く 川柳は頭の体操によい。知的散文:エッセイ。手紙を書く。万年筆にこだわる。先生もまたある種の道具にはこだわっておられるようです。やはり、道具が知的生活のスタートのハードルを下げてくれると思われます。

「知識は力なり」フランシスベーコン。
自分が無知であることを知ることは大きな発見である。細部の記憶はコンピュータに任せるとして、われわれに必要な知識は「理解すること」と思う。現代社会はさまざまな場面で、説明できることが求められている。おのれの業務や行動は、当然説明できなければならない。そのためには、その基本を理解していなければ説明できない。「なぜ」を説明できなければならないのである。
先日、2月に仙台市で、画像診断の分野でミニレクチャーをさせていただいた。そこで強調させていただいたのは、「説明できる知識」の必要性である。技術と道具の進化:真実に肉薄する力、病気・病態の追及:より早期に検出する力、これらはどんどん進歩している。勉強して習得する人もいれば実践から学ぶ人、まったく違った分野から気づく人など様々な習得があると思われるが、日々、向上していくことが必要とされるし、また、そこに愉しみがあるのだと思う。生活を愉しみながら向上していければ、まさにワークライフとして成り立つと思う。
今回の新型コロナウイルス肺炎のパンデミックでは、次々に新しい情報が報告されている。こういう環境ではとにかく感染症の基本を再習得するとともに、夥しい量の新情報を、とりあえず読んでいる。同じような報告が多いが、そこに様々なメッセージがあり、人類の総体としての知が蓄積されていく過程を実感している。世界中で多くの研究者がスピーディーに論文や症例報告を発信している。その知的生産の力に感謝している。

0 件のコメント:

コメントを投稿