■不安増大、見失われた検査目的
当時、厚生労働省の課長として食品検査にあたった加地祥文氏へのインタビュー記事:朝日新聞2021/03/13夕刊。
2011年3月の東京電力福島第一原発事故当時は、国産食品の放射性物質の基準はありませんでした。作るには食品安全委員会の承認が必要ですが手続きに時間がかかり、放射性物質を含む農産物が野放しになる可能性があります。やむなく独自に暫定基準を作り、検査を始めました。目的は食品が安全かどうかをチェックすることです。基準を厳しくしすぎれば食べるものがなくなるし、かといって人体への影響を軽視するわけにもいかない。その妥協点を探ったうえで、科学的に十分な安全性を確保しています。「国はなんで全品検査しないんだ」という声がありました。「検査をしていないものは危険」という意識です。放射性物質ゼロを望むまでエスカレートしていきました。
科学的データが不十分な状況で、基準値を決めなければならない状況に追い詰められていたのですね。 国全体が放射線に対してパニックになっていた時期です。様々な場面で同じような決断が迫られていたのだと思います。
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