先週、1週間、朝日新聞で連載されていた企画のタイトルです。
4月から医師の働き方改革として勤務医の労働時間が労基法に則って管理されるようになります。いままでは、医師は昼夜なく患者を診ることとされていました。その結果、一部の診療科の医師に過大な負担がかかり、肉体的・精神的な不調へ繋がった事例が報告されていました。これに対して、是正する方策が練られ、今回、働き方改革として施行されます。結論としては、医師の勤務時間を減らす方策ですので、当然、医療を行う医師の延べ数が減ることになります。患者側からは病院へ行ったが医師がいなかったということが増えると思います。あるいは担当医がいなくて、当番の医師に見てもらうことが増えるでしょう。
朝日新聞の記事は、白い巨塔と呼ばれる大学の医局(各診療科の集団・トップが主任教授)を去った医師たちの話が5日間続きました。最初は外科医局が多忙なため、辞めて美容外科医になった女医の話で、9時から5時の勤務で収入も増えていいことずくめの話です。大学にいた頃は夜遅くまでいるのが当たり前、土日なし、たまの休みも医局のゴルフ。総回診で半日が潰れ、回診後の教授のつまらない冗談に他の医師の反応を見ながら合わせて笑うなどなど、そこまで言わなくてもいいんじゃないかと思うようなことをお話になっています。2日目は、水戸の総合診療科の医師で、やはり深夜まで病院にいなければならない勤務であったがその多くが紙カルテが原因であったと、IT化された四国の病院へ異動し、そこでは5時に帰れるようになったと。3日目は子育て中の医師の復帰を支援する岡山大学のシステムの紹介。ネガティブだった反応がポジティブな反応に変わったとのこと。と、働き方改革のいいことずくめの記事でした。
しかし、立ち去られた病院はどうなるのか? その地域の医療はどうなるのか? 大学の研究や教育としての機能はどうなるのか? まったく触れていません。さよなら白い巨塔が働き方改革の解決策とはとても思えません。非効率的なことに費やしていた時間を上手に管理したら、快適だったというルポです。最初から落とし所を決めてインタビューしたような記事でした。
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