2025年4月29日火曜日

Perfect days

淡々と綴られる初老の男性の日常。役所広司が、起きて、働いて、風呂に入り、一杯やって、読書しながら就寝する。寝ていると、モノクロの揺れるイメージが現れる。それは複数の映像を重ね合わせた影である。木々、葉っぱ、水、空、竹、障子、古いモノクロ映像など、さまざまなものを連想する。影は幻灯機としての映画の原理そのものである。現在はデジタル液晶の画面が主流になってしまったが、もともと映画とは暗闇でフィルムを投影するものである。影やモノクロのフィルムカメラにこだわる。淡々と撮りためる写真の山は、それを懐かしく見直すこともない。きちんと整理して保存される。文庫本もカセットテープもきちんと整理されている。姪っ子に持っていかれた文庫本を再び買い求める。畳の画像の落ち着き。映画は、よく吟味された文庫本と音楽を丁寧に扱う。パトリシアハイスミスの小説はアメリカの友人を連想した。木が友人であるという。そして死の影を抱えた三浦友和が現れる。影はその時の一瞬の偶然が作為なく作り出すものであるという。

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