2021年3月31日水曜日

■総合診療セミナー3(生涯教育・研修医セミナー) 日常診療に役立つ関節の画像診断

第40回 日本画像医学会 学術集会 2021年3月17日
■総合診療セミナー3(生涯教育・研修医セミナー) 日常診療に役立つ関節の画像診断
座長 野崎太希(聖路加国際病院放射線科)
1)肩関節の解剖と画像診断 荒井 学(慶應義塾大学放射線科学(診断))
2)日常診療で出会う膝関節の画像診断(半月板、靭帯以外) 越智純子(吹田徳洲会病院放射線科)


2021年3月30日火曜日

「望み」

「検察側の罪人」などで知られる雫井脩介氏のサスペンス小説の映画化。監督:堤幸彦。出演:堤真一、石田ゆり子、岡田健史ら。“究極の二者択一”に至る過程、揺れる過程をゆっくりと描いています。

日本画像医学会2021 オンデマンドレクチャー

現在開催中の画像医学会は、およそ40のテーマ領域を網羅したレクチャーがラインナップされており、さながらビデオレクチャーの教科書をパソコン内に持っているような気分です。目の前の臨床で疑問が生じた内容について、夕方、診療が終わってから関連するレクチャーを視聴するととても印象に残ります。
シンポジウムでは、それぞれ臨床・病理・画像の専門の先生方が約20分ずつ講演を行い、おおよそ全体で1時間です。3か月間、視聴を自由に行えるというたいへん贅沢な環境です。

■シンポジウム15 産科・婦人科 臨床医に求められる婦人科悪性腫瘍の画像診断-産科・婦人科症例検討会-

第40回 日本画像医学会 学術集会 2021年3月11日
■シンポジウム15 産科・婦人科 臨床医に求められる婦人科悪性腫瘍の画像診断-産科・婦人科症例検討会-
司会 木戸 晶(京都大学医学部附属病院放射線診断科)
1) 南口早智子(京都大学医学部附属病院病理診断科・病理部)
2) 千草義継(京都大学医学部附属病院産科婦人科)
3) 木戸 晶(京都大学医学部附属病院放射線診断科)
たいへん面白い企画でした。カンファの臨場感を体験できる構成です。この動画を纏められた先生に感謝します。

2021年3月29日月曜日

レジデントレクチャー 2021年3月11日

レジデントレクチャー 2021年3月11日
胸部エックス線写真の読み方。
過去に肺癌の画像診断や肺炎についてレクチャーをしてきました。2,3年前から、胸部のパニック画像として上級医に伝えなければならない画像についてレクチャーしました。今年は、もっとシンプルにして、外傷や救急で重要な3つのパターンについて絞り込んで整理しました。 参加者にどんどんしゃべってもらう形式ですが、研修医たちが次々と所見を言い当ててくれて、たいへん頼もしく感じた40分でした。

2021年3月28日日曜日

■総合診療セミナー2(生涯教育・研修医セミナー) 消化器

第40回 日本画像医学会 学術集会 2021年3月17日
■総合診療セミナー2(生涯教育・研修医セミナー) 消化器
座長 岡田真広(日本大学放射線医学)
1)急性腹症の画像診断   松木 充(近畿大学放射線診断科)
2)消化器がんのIVR-IVR で何ができるのか   荒井保明(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)
腸閉塞 ヘルニア・closed loop・絞扼性・腸管壊死
消化管に対する様々なIVR手技とそのエビデンスについて

■シンポジウム27 泌尿器 透析腎癌のすべて

■シンポジウム27 泌尿器 透析腎癌のすべて
司会 陣崎雅弘(慶應義塾大学放射線科学(診断))
   長嶋洋治(東京女子医科大学病院病理診断科)
1)透析腎癌-泌尿器科医の立場から   伊藤敬一(防衛医科大学校泌尿器科学)
2)透析腎癌の病理   長嶋洋治(東京女子医科大学病院病理診断科)
3)透析腎癌の画像診断   秋田大宇(慶應義塾大学放射線科学(診断))

ドラマ 詐欺の子

被害者の感じる後悔や罪悪感、そのつらさが伝わってきます。従来の組織犯罪とは異なる加害者側の変化もNHK特集の半グレなどに取り上げられています。

2021年3月27日土曜日

不能犯

人気コミックの実写映画化だそうです。松坂桃李、沢尻エリカ主演の笑うセールスマン。

2021年3月25日木曜日

第24回 画像診断セミナーの開催にあたり

謹啓 時下 ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、この度、「第24回 画像診断セミナー」を開催する運びとなりました。
令和2年は新型コロナウイルス感染症の拡大予防の観点から開催を自粛しておりましたが、ニューノーマル方式を模索しつつ開催いたします。ご多忙の中とは存じますが、当会の趣旨にご賛同いただき、ご参加いただければ幸いでございます。
日時:令和3年3月24日(水)18:00~19:00
場所:マイクロソフトTeamsを用いたWeb開催 
 
オープニングリマーク および 進行 大原綜合病院 画像診断センター 森谷浩史 先生
≪ワークショップ 放射線の現場から伝えたいこと≫ 
 画像診断クイズ 大原綜合病院 千葉洋史 さん
 CT被曝の基礎知識 大原綜合病院 村松 駿 さん
 水晶体被曝について 大原綜合病院 橋本浩二 さん
 パワーポートの注意点 済生会福島総合病院 渡邉 暁 さん
 
CTのキソの基礎 宮城県立がんセンター 後藤光範 さん
≪特別講演≫ 大原綜合病院 森谷浩史 先生
『超高精細・造影CT ~どこまで見えるのか、どんな利点があるのか~』  
クロージングリマーク 大原綜合病院 安藤智則 技師長

皆さま お変わりございませんか?
コロナ禍と地震の中、仕事も生活も思ったようにできず、たいへんなご苦労をされていると思います。
最近、web開催の学会・研究会が多く、勉強できる機会が増えたことは喜ばしいのですが、どうしても受け身の参加のため、緊迫感がありません。さすがに、この状態で1年も経過すると、レクチャーされる内容が教科書的な画一的内容が多くなってきており、いささか食傷気味です。
そこで、気心の知れた顔の分かる方々が「顔を晒して足元の課題を相談できる」ミーティングを企画しました。
もともと、この会は東日本大震災の後に始めた勉強会です。今回、コロナ禍でも行えるように皆様のお知恵とお力をお借りして企画しました。
開催方法を試行錯誤しながら、今後も続けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2021年3月21日日曜日

ペパーミントキャンディ

ペパーミントキャンディ。ハッカ飴。なんとも切ない映画である。線路が印象深く映し出されるため、スタンドバイミーを連想したが、内容や雰囲気は帰らざる日々であった。帰らざる日々の2人の青年で進められるストーリーを40歳の男一人が逆行して語るストーリーである。ロベールアンリコのフクロウの河。実は20歳の時点の翌年に人生の角度が大きく変わるということがわかってくるのだが、個人の人生に時代の波が大きく影響することを雄弁に描いている。

2021年3月18日木曜日

新書本とTVの乱読・乱視聴

たまたま立ち寄ったブックオフで、新書本を10冊ほど購入しました。新聞の書評で面白そうなものを買ってきたり、ブックオフで目に止まったものを買ってきたりとさまざまです。同じ本を買ってくることもよくあります。わかっている場合とうっかりの場合があります。成毛真氏のように10冊同時に読むことはできませんが、数冊を途中で読みっぱなしにしておくことはよくあります。
最近、TVの見方も変わりました。ハードディスク録画やネット配信があるのでリアルタイムに時間を規定されることがなくなったせいです。一週間の番組表から興味のあるものを予約しておき、休日に倍速でまとめて見ます。たくさん予約してしまいますので、見る段になって、興味が失せている場合も多々あります。見なかったものは消してしまいます。NHKの番組などは、同じものを見ることもしょっちゅうです。
同じものに引き寄せられるのは、琴線に触れる何かがあるのだと思います。

2021年3月17日水曜日

■シンポジウム3 頭頸部 甲状腺癌 第40回 日本画像医学会 学術集会

第40回 日本画像医学会 学術集会 2021年3月11日
■シンポジウム3 頭頸部 甲状腺癌
司会 結束 寿(東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科)
   尾尻博也(東京慈恵会医科大学放射線医学)
1)甲状腺癌の外科的治療 結束 寿(東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科)
2)甲状腺癌の核医学検査・核医学治療について 渡辺 憲(東京慈恵会医科大学放射線医学)
3)甲状腺癌の分子標的薬治療における画像診断の役割 齋藤尚子(順天堂大学放射線診断学)
超低リスク症例ではf/uを行うことが許容される。所属リンパ節郭清の概要。核医学診断の限界。分子標的薬剤の登場で劇的に変わった抗腫瘍効果などについて。

2021年3月16日火曜日

■シンポジウム6 中枢神経 臨床で知っておきたいパーキンソン病の最新知識:臨床、画像、病理

第40回 日本画像医学会 学術集会 2021年3月9日
■シンポジウム6 中枢神経 臨床で知っておきたいパーキンソン病の最新知識:臨床、画像、病理
司会 掛田伸吾(弘前大学放射線診断学) 豊島靖子(脳神経センター阿賀野病院)
1)パーキンソン病の最新知識:臨床 波田野 琢(順天堂大学神経学)
2)パーキンソン症候群におけるMRI 診断と最近の話題 掛田伸吾(弘前大学放射線診断学)
3)パーキンソン病の最新知識:病理 三木康生(弘前大学脳神経病理学)
まったくの門外漢ですので、大変新鮮な内容でした。一つの研究テーマに対してさまざまなアプローチがあることを具体的に教えていただきました。普遍的なエッセンスを含むシンポジウムでした。

2021年3月15日月曜日

放射性物質ゼロを望む意識

■不安増大、見失われた検査目的
当時、厚生労働省の課長として食品検査にあたった加地祥文氏へのインタビュー記事:朝日新聞2021/03/13夕刊。
2011年3月の東京電力福島第一原発事故当時は、国産食品の放射性物質の基準はありませんでした。作るには食品安全委員会の承認が必要ですが手続きに時間がかかり、放射性物質を含む農産物が野放しになる可能性があります。やむなく独自に暫定基準を作り、検査を始めました。目的は食品が安全かどうかをチェックすることです。基準を厳しくしすぎれば食べるものがなくなるし、かといって人体への影響を軽視するわけにもいかない。その妥協点を探ったうえで、科学的に十分な安全性を確保しています。「国はなんで全品検査しないんだ」という声がありました。「検査をしていないものは危険」という意識です。放射性物質ゼロを望むまでエスカレートしていきました。
科学的データが不十分な状況で、基準値を決めなければならない状況に追い詰められていたのですね。 国全体が放射線に対してパニックになっていた時期です。様々な場面で同じような決断が迫られていたのだと思います。

2021年3月14日日曜日

『Fukushima 50』(フクシマフィフティ):事件は現場で起きているんだよ、まだ

2020年3月6日公開の日本映画。
綺麗にまとめて終わらせた自覚のないおバカ映画の典型である。事故原発内での戦いを後世に伝えると表明する主人公。本気なのか、笑いを取ろうとしているのかと見る側に困惑させるようなお気楽な終わり方であった。
あなたの役割は「伝えること」ではなく、内部に籍をおきながら戦い続けることだろう。日本中の原発の安全性を検証してマニュアルを作り直せ。感傷に自己満足して現場から逃げるんじゃねえぞ。あなたたちがまだ戦える現場はあるはずだ。Fukushima 50(フクシマフィフティ)の方々はみんながこんな感傷に浸って、「根拠のない終息」感で安堵しているのでしょうか? 一人ぐらい内部で腐った組織を改革するぞと、意気込みを見せている姿を描いてほしかった。
震災10年目のETV特集などを毎晩放送している中で、TV放送で見たせいもあるのだろう。夥しいリアルと、きれいなバカバカしい結論でまとめた作り物とでは比べ物にならない。この時期に放送したことが失敗だった。TV局も被災者の意識までは想像が及ばなかったのだろう。神妙そうに被害者の皮を被せたふりをした商業映画である。毒にも薬にもならず、時間や感情を無駄にさせる。
体裁は原発版の「踊る大捜査線」である。青島刑事やいかりや長介刑事のような現場のたたき上げ職員が活躍する。戦車に竹槍で戦いを挑むような、特攻隊スピリットで盛り上げるが、当然、最終的には負け戦になる。パニック娯楽映画として定型的な作り方なので、これはこれでいいのだが、しかし、青島たちなら、最後に自分は伝承役になるとは言わないだろう。現場は今も進行形であることがわかっているのだ。
パニック映画ならシンゴジラのように、刑事ドラマなら踊る大捜査線のように、辛辣風刺映画なら日本以外全部沈没みたいに、いくらでも向き合い方があったと思う。東京のど真ん中に本当に死んでいるのかわからぬままコンクリートで固めてしまったゴジラのモニュメントが聳え立つシンボリックなラストの辛辣さはどうだ。残念である。本店や官邸の人たちは仮名で登場するが、どうせ本名を使わないのならば特殊メイクで実在の人物そっくりに再現すればよかったのにと思う。幹部たちを、いわゆる現場を知らない上司という定型的集団に描いた安直さも残念である。誰もがその場所で身の危険に恐怖し、日本の将来を案じていただろう。かみ合わない意見や遅々として進まない状況もあっただろう。しかし、どこにも悪人などいなかったはずだ。なぜ、そこを描かないのか?
むしろ、同じ内容でNHKで事故後に作られた再現ドラマ NHKスペシャル 原発メルトダウン 危機の88時間 のスピード感と誠実さの方が際立っていた。そう、この映画には真摯さ、誠実さがなく、あざとさが前面に出ているのだ。
俺たちは自然を甘く見ていたと言うのが結論のようだ。俺たちとは誰のことなのか? 甘く見ていた責任を誰が負うのか? 責任の所在を決して明確にしない腰砕けのラストに唖然とさせられる。津波のシーンに重なるモノローグであるが、甘く見ていたのは津波ではなく、「核」であろう。もし、俺たちは「原子力」を甘く見ていたと言えば、この映画は全く違う意味を持ったろう。残念ながら「自然を甘く見ていた」では「まだ懲りないのか?」と思わせるだけである。
出演している役者たちの心意気はすばらしい。フクシマのために協力しているたくさんの有名役者や現場のスタッフには感謝したい。特に東電や行政側の出演者は嫌われ役をよくやっていると思う。こんなにいい役者やスタッフを使っているのに、もったいない。やっぱり、この映画も原発事故と同様に本店(経営本部や上)が悪かったのだろう。事故は慢心によって起きるのである。
「伝承する役割」は10年たった今、行政や東電のお約束のキャッチフレーズになっている。
定年したから伝承役になりますというのは、加害側の勝手な論理である。もう許してください、定年過ぎてまで関わるつもりはありませんという決意表明。しかも自然の偉大さが諸悪の根源だとまで言わせている。
10年間で原発周辺には汚染水のタンクがあふれ、近隣の中間貯蔵施設には広大な土地に黒い物体がびっしりと並べられている。これらの行き場のない廃棄物がどんどん膨れ上がっている状況を知っているなら、早々と伝承役になんかなってほしくなかった。原発を作った企業、認可した国、誘致した町と県、みんなに「知識のなさ・他人任せ」という責任の断片がある。国民のツケが現実に膨張し続けているのである。定年で辞めていく人たちに責任を求めることは時間的にも能力的にも不可能だろう。しかし、福島県の汚染の回復に関しては、何世代にもわたって国民全員が分担して負っていかなければならない失敗であったことは感じているべきだろう。事件は今も現場で起きているんだよ。「無知と慢心」ゆえに、癒すことのできないキズを日本の歴史の中に刻み込んでしまった、そのことこそ発信を続けるべきことだろう。
震災10年目のNHKスペシャルなどを見ている中で、じじい部隊など町民の地道な活動、NHKの10年間の定点映像などの少しづつではあるが確実に復興していくダイナミズムなど、言葉にしなくても伝わってくるものがたくさんある。人々の吐く息や風の音や静かな波や何気のない表情を映し出したリアルな映像の中で、この映画の「耐えられない能天気さ」が際立っている。TV放送で見たせいもあるのだろう。残念である。お金を払って映画館で見ていれば、それなりのパニック映画で終わったのではないかと思う。悩まずに見れる「フクシマ以外、全部原発」みたいなお気楽映画でも作ってくれないかなあ。

殺人の追憶

『殺人の追憶』(さつじんのついおく、原題:살인의 추억)、2003年韓国映画。軍事政権下で比較的治安のよかった1980年代後半に発生し、10人の犠牲者を出した華城連続殺人事件を巡る刑事たちを描いている。第40回大鐘賞で最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞受賞。
ポン・ジュノ監督が以前から同様の作風で映画を作っていたことに、いまさらながら驚いた。公開時に観たが、今見ると印象が全く違う。「母なる証明」や「パラサイト半地下の家族」と共通のディテールを細かく描きつつ、その中に戯画化されたユーモラスな表現を加え、田舎の村で確かに存在して生活していた村民の思い出を丁寧に描いている。特に「母なる証明」と非常によく似た作りである。
一体、真実とはなんだろう。犯行現場を訪れるたくさんの人がいる。被害者、犯人、目撃者、容疑者、刑事たち。物証があげれれない事件について、もはや真実は「追憶」になってしまっている。現場に戻って「追憶」を反芻する。刑事も犯人も。捜査は「夜の大捜査線」風に進んでいくが、DNA検査をアメリカで行うことに社会的・国家的不信がかぶさってしまい、その段階で真実はもう見えなくなっている。例え真実が明らかになったとしても、「母なる証明」で描いているように、個人から国家まで、さまざまなレベルで事実を有耶無耶にしてしまうたくさんの介入があるだろう。黒澤明の「羅生門」へ遡れる類似性を感じた。

2021年3月13日土曜日

NHKスペシャル 無人の町の“じじい部隊”

2014年に放送されたNHKスペシャルを震災10年ということで連続して再放送している。
NHKスペシャル 無人の町の“じじい部隊”は、福島原発事故後の帰還困難区域でテレビカメラが長期にわたって取材したドキュメント番組である。福島県大熊町で、退職した町役場職員6人の、自称“じじい部隊”が、将来の住民帰還がにむけて「無人の町」の留守を守り、町の復興・帰還計画をけん引する活動を続けていた。番組では、四季を通じてこの“じじい部隊”の活動を追うことで、帰還困難区域の現実の問題と矛盾・不条理を明確に伝えている。一人一人の国民の声など聞き入れていたら国は動けないであろうが、それでは何人の声なら聴いてもらえるのか? 東北の声だから聴いてもらえないのか? この地で頑張っている“じじい部隊”は、まるで置き去りにされて、環境の汚染を知らされることなく野生化していく動物たちのように見える。先日、広大な中間貯蔵施設を見てきたばかりだったので、身につまされる思いがした。このドキュメンタリー映像には、映像でなければ表現できない深いメッセージが詰まっているように感じる。

「知らない」という優位性

3月6日朝日新聞の記事。大越健介さん。59歳。11日夜10時からの「NHKスペシャル 震災 映像記録(仮題)」で被災3県の100カ所の映像を元にしたドキュメンタリーの制作陣に加わっている。
東日本大震災から、東京オリンピック、現在はコロナ禍の取材を行っているという。徹底した現場主義。さまざまな現場を経験し、「テーマが森羅万象にわたり、毎日緊張して新人に戻ったような気持ちです。59歳になった今も第一線で取材できることは幸せ」という。「原動力は知らないこと。全てを知り、伝えることは難しい。それでも少しでも近づこうと取材の準備をし、現場に行くのです」 新しいテーマに対して、「知らない」という優位性がある。何事においても「素人であることの強み」が確かにあると思う。

2021年3月11日木曜日

東日本大震災10年目を迎えて NPO福島画像診断支援センター 森谷浩史

東日本大震災から10年になりました。
震災後の放射線診療に関係する課題へ対応することを目標に掲げ、2013年にNPO福島画像診断支援センターを設立し、不器用ながらも活動を続けてまいりました。ご協力いただいている先生方や関連の企業の方々に深謝いたします。
福島県では、震災と東京電力の原子力発電所の事故による複合災害の後、たくさんの県民や医師・医療者が福島県から離れ、医療が存続できなくなった地域・医療機関もありました。
そこで、わたしたちは、住民に対して放射線被ばくについての正しい医学的情報を発信するとともに、医師の減少や偏在により医療が立ち行かなくなった臨床現場に対して継続して支援を行ってまいりました。
ご依頼いただいている医療機関の先生方や担当者の方々など、多くの人々のご協力を得て継続できておりますことに改めて御礼申し上げます。
 
さて、震災後10年になりますが、福島県では原発事故後の処理がまだまだ進んでおらず、汚染水や中間貯蔵施設など新たな課題も生じてきています。地域住民の減少と高齢化・医療者の減少と高齢化・地域医療の継承の問題、地元医師会の先生方が精力的に担ってこられた住民検診の負担など、わたしたちの活動を通して、現場医療のさまざまな課題も目にしております。人口減少は福島県だけの問題ではありませんが、帰還困難地域の存在はたいへん特殊な福島県の課題です。このことは、わが国の近未来を象徴した「克服すべき課題」だと思っております。 
 
さらに、昨年から続いている新型コロナウイルスの感染拡大により生活も医療も大きく変革を迫られています。従来、当たり前のように行っていた、診療・教育・研究が思うようにできず、日常生活にも多大な影響が出ています。しかし、その反面、PHR・クラウド・5G・非接触・リモート・AIなど、たくさんの技術が開発され瞬く間に普及するなど、デジタル化を基本とした新しい生活様式を促進させる強力な影響力がありました。わたしたちも、これらのICT技術を活用して、福島県を始めとした被災地の課題に対して今までよりも広域的・効率的に対応していければと考えております。 「今できること、今困っていることから face to faceで始めよう」というのが、わたしたちの基本姿勢です。震災復興の思いを忘れることなく、目の前の課題へひとつひとつ取り組んでいこうと思います。
引き続き、ご指導・ご鞭撻をお願い申し上げます。

2021年3月10日水曜日

■総合診療セミナー4(生涯教育・研修医セミナー)脳梗塞急性期の画像診断と血管内治療

第40回 日本画像医学会 学術集会 令和3年3月3日
■総合診療セミナー4(生涯教育・研修医セミナー)脳梗塞急性期の画像診断と血管内治療
座長 原田雅史(徳島大学放射線医学)
1)ASL を用いた脳虚血急性期病態診断 木村浩彦(福井大学放射線医学)
2)脳梗塞急性期の血管内治療 兼松康久(徳島大学脳神経外科学)
ASLの具体的読影法をたいへんわかりやすく教えていただきました。脳梗塞急性期の治療戦略について現状のエビデンスを教えていただきました。


2021年3月9日火曜日

第24回 画像診断セミナー リモート開催の趣旨について

皆さま お変わりございませんか?
コロナ禍と地震の中、仕事も生活も思ったようにできず、たいへんなご苦労をされていると思います
最近、web開催の学会・研究会が多く、自宅で手軽に勉強できて、とてもありがたいと思う一方で、どうしても受け身の参加のため、緊迫感がないことを感じています
さすがに1年も経過すると、レクチャーされる内容も教科書的な大人しい内容ばかりが繰り返され、いささか食傷気味になっています
そこで、気心の知れた顔の分かる方々が「お互いに声を出せる」ミーティングを企画しました
2021年3月24日18時から、第24回 画像診断セミナーをリモート開催いたします
今回は、自分たちの勉強を兼ねて、大原綜合病院を中心に演題を準備しましたので、ぜひ、ご追加の情報提供をお願いいたします

ユリシーズ

幼稚園の頃、映画館で見た巨人が出てくる映画はユリシーズだったのかなあ? 一つ目の巨人が出てきて穴の中に逃げ込んだりする映画だったのだが、今、BSのプレミアムシネマなどで見ると、もっと安っぽかったように思う。その後、ハリーハウゼンのアルゴ探検隊の大冒険を見たときは、そのリアルさに驚いたことを覚えている。それまでの映画とは隔世の感があったので、記憶の中の映画はとてもショボかったというショボ感だけが記憶に残っている。しかし、今のCG全盛時代のSF映画には、ちょっと辟易しており、昔の手作り感満載の映画もよかったと思う。

2021年3月7日日曜日

■シンポジウム21 中枢神経 脊髄炎の診断力向上を目指して

第40回 日本画像医学会 学術集会  令和3年3月3日
■シンポジウム21 中枢神経 脊髄炎の診断力向上を目指して
司会 横田 元(千葉大学画像診断・放射線腫瘍学)
1)臨床 枡田大生(千葉大学脳神経内科学)
2)脊髄炎の画像診断 脱髄性疾患とその鑑別 向井宏樹(千葉大学医学部附属病院放射線科)
3)脊髄炎の病理像 種井善一(北海道大学腫瘍病理学)
脊髄の炎症性疾患について典型例を中心に説明していただきました。たいへん参考になりました。



2021年3月6日土曜日

第28回日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医大会

第28回日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医大会
令和3年(2021年)3月6日(土) Zoomウェビナーを使用したLIVE講演
プログラム
9:30-11:00 気管支鏡と新時代 座長:品川 尚文 先生(北海道大学大学院医学研究科 呼吸器内科学分野)
1. 新型コロナウイルス感染症と気管支鏡検査 出雲 雄大 先生(日本赤十字社医療センター呼吸器内科) 仮に陽性者であったとしても濃厚接触とならない対応を普段から行う。
2. 気管支鏡所見分類:改訂のプロセスと要点 清嶋 護之 先生 (茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター呼吸器外科) 内視鏡所見では粘膜という表現を用いずに上皮とする。
3. 気管支鏡検査時の重大事故とその対策 桜田 晃 先生(東北大学加齢医学研究所呼吸器外科学分野) 気胸と出血。
11:00-12:30 診断の進歩 座長:浅野 文祐 先生(岐阜県総合医療センター呼吸器内科)
4. 超音波気管支鏡ガイド下針生検 2020年のトピックス 中島 崇裕 先生 (千葉大学大学院医学研究院 呼吸器病態外科学) 侵襲的病期診断の意義。リンパ節の画像性状から診断を行う試み。
5. 電磁ナビゲーション気管支鏡 佐藤 寿彦 先生(福岡大学医学部 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科) ロケーションボード上の患者の前胸壁に三つのセンサーを装着することで位置合わせと呼吸補正を行う。センサーを付けた気管支鏡を挿入し、気管支の位置情報をもとにCTの3次元画像とレジストレーションを行う。
6. クライオ生検 松元 祐司 先生(国立がん研究センター中央病院 内視鏡科・呼吸器内科) 中間層が危険。1.9mm径がキーワード。
12:30-13:30 共催セミナーコヴィディエンジャパン株式会社/株式会社ホギメディカル
座長:塩野 知志 先生(山形県立中央病院呼吸器外科)
演者:佐藤 寿彦 先生(福岡大学医学部呼吸器・乳腺内分泌・小児外科) 8mm未満 f/u。6mm以下 f/u。術中の位置確認の重要性と必要性。
13:30-15:00 治療1 座長:井上 純人 先生(山形大学医学部内科学第一講座)
7. クライオセラピー 坂 英雄 先生(松波総合病院 呼吸器内科) 異物除去に優れる。
8. 気管支サーモプラスティ 馬場 智尚 先生(神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科) 気管支ぜんそく治療。
9. 肺癌に対する光線力学的治療(Photodynamic therapy: PDT) 臼田 実男 先生(日本医科大学大学院医学研究科呼吸器外科学分野) 肺門型肺癌の他に末梢型に対しても臨床試験中。病巣へプローブを命中させる技術はいつまでも必要か?
15:00-16:00 治療2 座長:澁谷 潔 先生(成田赤十字病院 呼吸器外科)
10. 気管支充填術(EWS) 佐久川 亮 先生(岡山赤十字病院 呼吸器内科) 気管支内治療。
11. 気道ステントのカスタマイズと留置の工夫 ―より良いフィッティングを目指して― 宮澤 秀樹 先生(富山県立中央病院 呼吸器外科) さまざまな工夫について。
閉会の辞および次期会長挨拶

◆セルフトレーニング問題の回答および出席証明書・領収書ダウンロード
視聴ページは20時までオープンしており、出題されている全ての設問(18問)に正解すると出席証明書をダウンロードすることができます。また、領収書についても、20時までにダウンロード可能です。
◆テキスト集の発送について
テキスト集の原本は会期終了後の発送となります。
600名ほどの参加者があったとのことです。たいへんシンプルな構成で運営されており、トラブルなく視聴できました。出席証明書・領収書もダウンロード可能でした。ポスターの背景画像に銀山温泉を選んだいきさつについての大泉大会長からのお話があり、このようなリフレッシュ講演の開始にあたって、たいへんよいイントロだと思いました。講演の切り替え時などには、ライブの講演会場の様子が映し出され、久しぶりにほっとさせられました。

2021年3月5日金曜日

■シンポジウム32 呼吸器(13:10 ~ 14:40)急性経過の間質性肺炎の臨床、画像、病理

第40回 日本画像医学会 学術集会 令和3年3月3日
■シンポジウム32 呼吸器(13:10 ~ 14:40)急性経過の間質性肺炎の臨床、画像、病理
司会 上甲 剛(関西労災病院放射線診断科)
1)急性経過を示す間質性肺炎の臨床 小倉高志(神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科)
2)急性経過の間質性肺炎のRAP-C 伊藤春海(福井大学)
3)急性経過を示す間質性肺炎の病理 武村民子(神奈川県立循環器呼吸器病センター病理診断科)
single faced alveolar wall、肺胞上皮障害と毛細血管障害→肺胞虚脱を生じる
過剰免疫応答・サイトカインストーム に対するステロイドの使用

2021年3月4日木曜日

パネルディスカッション 呼吸器【特別企画 3】 COVID-19関連肺炎の臨床、画像、病理

日本画像医学会2021 2021年3月1日
パネルディスカッション 呼吸器【特別企画 3】 COVID-19関連肺炎の臨床、画像、病理
司会 小倉高志(神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科)杉浦弘明(防衛医科大学校放射線医学)
1)COVID-19肺炎の臨床像と画像の時間推移—日常診療より— 久世眞之(日本赤十字社医療センター呼吸器内科)
2)COVID-19重症度の変遷とステロイド抵抗性を示した患者の臨床・画像の特徴 西村直樹(聖路加国際病院呼吸器センター呼吸器内科)
3)今後の治療戦略—抗炎症治療と非侵襲的呼吸管理— 富井啓介(神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科)
抗ウイルス療法・過剰免疫応答に対する抑制療法・抗凝固療法

2021年3月3日水曜日

アフターコロナ・ウィズコロナはわれわれの生活をどう変えるか?

オンライン会議・面接:変化に早く適応できる者が有利。余剰時間の活用。
人と人との直接のコミュニケーション・書店や図書館の散策などによって偶発的に得られていた発見や気づきに代わる行為が必要となる。
時間をかけて習得するべき技術や精神が培われない。結論を急ぐ。 嫌なら止める。
リアル講演会からリモート講演会へ:発信者と受け手の一方向化。聴衆からのfeedbackが受けられない。会場の雰囲気が得られないため、聴衆にとっても、個人としての捉え方のままになってしまう懸念がある。参加者全体の統一感が得られない。
地域講演会からグローバルな講演会へ:地域とグローバルの差がなくなる。グローバルな人気講師が重宝される。万人に喜ばれる内容の画一化が起こる。
企業や個人からの発信:企業が利益に直結した内容を発信しやすくなる。個人が専門的・限定的内容を直接発信できるようになる。
情報にアクセスする者とアクセスしない者との格差が拡大:アクセスしない者がステップアップする機会が失われる。その一方で勉強したい者にとっては理想の環境となる。
時間と空間の制約から解放:TV録画(NHK・放送大学など)・web講演会・eラーニング・アマゾン書籍購入。情報を取得するソースは無限に存在する。自宅に居ながらにして世界中の教育コンテンツにアクセスできる。アクセスする行為は学校で教わった勉強する習慣がベースになっているように思う。
視聴者の変化:わかりやすい物だけ、面白い部分だけ視聴する。飽きたら止めてしまう。寝る。コピーする。同調内容ばかり繰り返し吸収する。フェイク情報の区別がつかない。
非接触型生活:検査の非接触化。人との対面を少なくする仕組み。
検診・健診:健康指標や基礎疾患の把握に対する興味。

2021年3月1日月曜日

シンポジウム31 呼吸器 COVID-19 関連肺炎の臨床、画像、病理

第40回 日本画像医学会 学術集会 2021年2月25日
■シンポジウム31 呼吸器 COVID-19 関連肺炎の臨床、画像、病理
司会 小倉高志(神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科)
   杉浦弘明(防衛医科大学校放射線医学)
1)臨床の立場から(特に治療について)泉 信有(国立国際医療研究セター呼吸器内科)
2)COVID-19 関連肺炎の画像所見 楊川哲代(がん・感染症センター都立駒込病院放射線診療科診断部)
3)COVID-19 の病理 奥寺康司(横浜市立大学病態病理学)
この疾患の本態は、過剰な免疫応答、悪化リスクは、背景肺・病変の範囲・発症時期。
早期 ~4日 すりガラス影型 small型、large型 vascular enlargement 
               丸→直線状
       浸潤影型 区域方向 胸膜下方向
進行期・ピーク期 5日~13日 内層病変 胸膜直下病変 両者の組み合わせ
       重症肺炎に関連する所見 crazy-paving consolidation
       DAD、感染  血管内皮炎
回復期  ヒトデ状→消失  線状影 subpleural band 縮小
年齢と画像 気道病変の存在
病理 CT所見の本態:滲出期~器質化のDAD
   超急性期 CT所見の3日前に始まっている
   IL6 サイトカイン アクテムラ
ウイルスの標的は肺胞上皮細胞(Ⅱ型) ACE2
併存する肺病変 細気管支炎と巣状気管支肺炎
血栓形成は 死戦期・循環不全

総合診療セミナー7(生涯教育・研修医セミナー)救急

第40回 日本画像医学会 学術集会 2021年2月26日
■総合診療セミナー7(生涯教育・研修医セミナー)救急
座長 近藤浩史(帝京大学放射線科学)
1)「画像診断は生鮮食料品」2021:ポータブル胸部単純X 線写真の調理法(外傷からCOVID-19 肺炎まで)松本純一(聖マリアンナ医科大学救急医学救急放射線部門)
2)救急IVR の勘どころ-診断から治療まで- 木下光博(徳島赤十字病院放射線科)
画像診断センター読影室で視聴しました。外傷診療における画像診断についてのレクチャーでした。お二人とも教訓的症例を用いて読影法をじっくりと解説していただきました。松本先生はポータブル胸部写真において、気胸・血胸・肺挫傷・大動脈損傷による縦隔血腫についてをどう読んだらいいかをご教授いただきました。違和感・様子が違う感覚を大切にする。木下先生はCTの読み方、FACT、出血損傷、細部の読影と順番に読んでいきます。FACTは、頭蓋内出血、大動脈損傷・肺挫傷、血気胸・心嚢血腫、腹腔内血腫、骨盤骨折・後腹膜血腫、上腹部実質内臓器・腸間膜血腫、を順番に3分で見ていきます。