2026年5月24日日曜日

濡れた荒野を走れ

キネ旬長谷川和彦追悼を読んで、DVDを引っ張り出してきて見ました。監督、澤田幸弘、脚本、長谷川和彦の快作。いたずらに警察を挑発するという理由で公開が伸び伸びになっていた日活ロマンポルノの問題作。1973 日活株式会社。
ある地方都市――。ベトナム救済募金が数人の覆面グループに強奪される。時計じかけのオレンジ風のバイオレンスで始まり、犯行が終わるとグループは警察官に早変わり、今度は事件現場に急行し捜査しながら、証拠隠滅を行う。どうも、その警察署が組織犯罪を行っている様子。主犯の原田、加藤が署に戻ると、精神病院に入院中の中村が放火して脱走したことを知らされる。中村は原田の先輩警官であるが記憶喪失におち入り、精神に変調を来し変態行為をするようになっていた。だが、原田らは、中村の病気は彼が組織から逃げ出すための芝居だと睨んでいた。
長谷川は、原田芳雄、中村敦夫を想定して2人を描いたとのこと。
原田は署長から、中村が組織の記憶を持っていることを確認した上で射殺するよう指示される。ただちに付近一帯に非常線が張られたが、中村は列車で北上する。すぐ車に飛び乗った原田と加藤は猛スピードで列車を追跡した。彼らはいつしか、県境を越えていた。
中村は列車内で一人の女子高生と親しくなる。少女は中村の逃亡を助ける。二人で車を走らせる様子は「太陽を盗んだ男」だ。小悪魔的な都合の良い女性が登場し、主人公を助ける。この構図が長谷川の女性観なのだろう。ここでもラジオがコミュニケーションの手段となる。
生き残った原田に少女が言う言葉は「太陽を盗んだ男」の沢井玲子だ。少女を囲むマスコミのインタビューはバスジャック後のシーンと同じだ。朝日の昇る場面展開は原爆完成の翌日だ。
表向きは警察だが裏では強盗団という暴力組織を通して、権力者が行っていること・力を持つということの二面性をかなり戯画的に描いている。

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