2020年5月6日水曜日

映画 母なる証明

ポンジュノ監督の映画 2009年。
地味な人情ものかと思っていたら、いい意味で裏切られました。
きわめてシンプルなストーリーで、テンポが速く、引き込まれます。強要された自白により殺人の容疑者となっている息子の無実を証明するために奔走する母親。真実を知ることと息子を守ることとが乖離してゆくときに、躊躇なく息子を選ぶ母親。結果的に「母であることを証明」することになる。
「復讐」の危うさと愚かしさ、消し去りたい「記憶」と思い出したい「記憶」、今までも都合の悪い記憶を消し去って生きてきたし、これからもそうやって生き続ける。 中国産の漢方薬を国産(韓国産)と偽って売るなど、暗喩とブラックな笑いが随所に散りばめられ、後の「半地下」の雰囲気につながる映画でした。

2020年5月5日火曜日

スタートレックBEYOND


『スター・トレック BEYOND』(スター・トレック ビヨンド、原題: Star Trek Beyond)は、2016年アメリカ映画。このシリーズは今のところ、オリジナルの宇宙大作戦の雰囲気を残したまま、スケールアップして上手に作られていると思います。
今回は、平成ガメラのレギオン編を上手に取り込んでいます。CGが格段に進化して、きっとレギオンもこんな動きをしていたのだろうなあと思ってみていました。
ストーリーは旧映画版の1作目みたいな内容です。カーク船長とミスタースポック・ドクターマッコイの掛け合いがTV版からの雰囲気を一貫して踏襲しており、好感を持てます。最初にこのTVシリーズに出会ったのは中学生のときでした。スポックとマッコイという、まったく体温の違う理系男のお約束の議論シーンは、声の大きさではなく、いかに証拠と根拠を持っているかで勝敗が決まります。ロジカルさを競い合うというもので、当時、とても新鮮でした。

2020年5月4日月曜日

整形画像読影道場

整形画像読影道場 著:仲田和正 A5判 164頁 2019年05月 医学書院 3600円。
いわゆるミニマムエッセンシャルに絞り込んだ薄い小さな本ですので、一気読みできます。
普段目にしている画像診断の書籍の多くは通常は画像診断領域の専門的観点からのレクチャーや書籍が中心ですが、この本は最前線の臨床の整形外科医の立場から描かれており、とても新鮮でした。コモンディジーズについての臨床的な必要最小限の要点を自信をもって述べられており、普段気にしていなかったたくさんの情報知識を知ることができました。
この薄さにするために、シンプルに、かつ読みやすく、エッセンスが書かれており、こういうふうに纏めなければならないいんだと、プレゼン資料を作る上でも、とても参考になりました。
他の領域においても、このような立場からのまとめは大いに意味があるものと思います。
いつもと違った視点で書かれた初学者向けの本は、画像側から得た知識をリフレッシュさせるためにとても有益でした。

2020年5月3日日曜日

温泉は裏切らない

2,3か月前のJR東日本の雑誌に作家の浅田次郎氏が「日本の温泉全体を世界遺産登録に」と述べていました。温泉、布団、浴衣に丹前、日本料理・・・。古き良き日本文化の保存装置であると説いています。家庭でも、和室や障子・床の間も見かけなくなってきており、浅田さんの意見に賛成です。
しかし、現在の新型肺炎の蔓延により、旅行やリフレッシュ休暇などの移動を伴う行楽はしばらくの間、控えていなければなりませんので、温泉や旅館の経営はたいへん苦しい状況になっていると思います。
先日、兵庫県の木崎温泉の入浴制限の報道を目にしました。「新型コロナウィルス感染症防止のため、2020年4月27日(月)から当面の間、城崎温泉の全ての外湯は豊岡市民に限り入浴が可能となります。 豊岡市外からお越しになられたお客様は外湯に入浴できません・・・」。浅田氏の「世界遺産登録」という言葉をとても現実味をおびて思い出しました。

スキャナーズ

デービッドクローネンバーグの映画です。久しぶりに見ましたが、スタイリッシュで古さを感じさせません。組織や企業のロゴマークの存在が、現在を予言していてリアルです。

2020年5月2日土曜日

井上ひさしのボローニャ日記

[NHK-BSプレミアム] ハイビジョンスペシャル 井上ひさしのボローニャ日記(初回放送:2004年)
2020年4月9日(木) 午前9:00~午前10:55(115分)
中世からの自治都市、北イタリア・ボローニャを訪れ、研究していた井上ひさし氏。
番組では、石畳と赤レンガの街に連綿と息づく「歴史」の重みと「自治」の精神。知識や技術を当たり前のように代々伝えようとする市民の精神を紹介しています。市民生活の中で伝統となっている数々の舞台や祭り、古い建物を外壁を生かし最新の「図書館・映画資料館」に作り直す様子や、学生組合が運営した世界最古の大学の歴史、日本美術の研究者が作った個人図書館、代々美術工芸品を作り続けてきた鍛冶屋など、私欲ではなく、市のために行っているという、ごく自然な精神がさまざまな市民の営みから伝わってきます。

2020年5月1日金曜日

『レディ・ジョーカー』

『レディ・ジョーカー』高村薫の小説。合田雄一郎を主人公とした推理小説の第3作である。グリコ・森永事件から着想を得て執筆されたという。 1995年から1997年に週刊誌『サンデー毎日』に連載、1997年12月に毎日新聞社から単行本化。
むかし、渡哲也主演の映画を見た記憶はある。細部は記憶に残っているのだが、被差別部落が発端になっていることや、レディジョーカーというタイトル自体の意味についてきちんと描かれていなかったように思う。どうも全体のストーリーが浮かび上がってこない。今回のドラマは7回シリーズで約7時間。警察組織の内部事情や犯行グループの人物像・背景と心情が丁寧に描かれており、ぐいぐいと引き込まれた。特に、半田役は複雑な役柄と思うが、ヒリヒリとした痛みがよく描かれていたと思う。ラストは「サブウェイパニック」。