2011年5月2日月曜日

SPEEDIで予測されていた福島の積算放射線量


震災後のNHKニュースで放医研の研究者が解説していたとき、「数値は公表されているので、それをどう判断するかは住民の自己責任だ」旨の発言をしたことがいまだに忘れられません。悪意はないのでしょうが、説明責任を果たさず、数字だけほうり出して責任を住民に丸投げすることに何の疑問も感じていない研究者がたくさんいるのだと思います。
SPEEDIの拡散試算図が公表されたのが3月23日になってからです。その拡散図は4月26日に発表された周辺地域の実測線量分布とそっくりです。飯館村や川俣町では1歳児の甲状腺等価線量(ヨードによる内部被ばく)の積算量は3月24日までに100mSv~500mSvとなっています。その後、公表された4月5日までの積算推定値では成人の実効線量で1mSv~5mSvとなっています。
政府は当初設定した同心円状の危険区域設定を見直すことなく、約1か月放置し、IAEAが動いたのちに、ばたばたと対応を変えています。
もし、もっとスピーディに事実が公表されていれば、高濃度に汚染されていた時期にこそ避難することができたはずです。そうすれば住民の積算量をはるかに低減できたはずです。
住民が自己判断できるような情報を迅速に公開すべきだったと思います。それを怠った罪は重い。すくなくとも、この隠蔽あるいは怠慢により多くの住民の積算放射線量を増加させており、この過失致傷の犯罪にかかわった(見て見ぬふりをした)行政と研究機関は責任者を明らかにし謝罪と釈明をすべきでしょう。
中国新聞によれば、「SPEEDIは、今回の事故後、原子力安全委員会が運用を監督しているが、元来は文部科学省の所管。(同様の防災システムである)ERSSは経産省の所管で、事故の分析、放射性物質の拡散予測を両システムが連携して行う仕組みなのに一体運用されてこなかった。文科省側が「ERSSの不調で、SPEEDIは本領発揮できなかった」、経産省側が「ERSSのデータがなくても、SPEEDIには使い道があったはずだ」と互いに責任を押しつけ合う姿勢もみられる」とのこと。
他の報道では、細野統合本部事務局長はSPEEDIについて「すでに実測デー タがでているので、そちらのほうがより実態そのものを表している。SPEEDIが本来持つべき機能は『予測』で、十分なモニタリングができない時期にそれ なりの効果があった(はずだ)。その時期に機能しなかったことにおいて、小佐古先生が厳しく評価をされているのは当然だ。」としています。
また、「今から公開をすることにど れくらい意味があるのかということについては、率直に言って疑問があるというか、それほど大きな効果のある情報が期待できない」と語っています。しかし、政府あるいは国立の研究機関がこの国難の最も大事な時期に「役に立たなかった」事実、および、多大の予算がこんなことに使われている事実が明らかになった意義は大きいと思います。

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