2011年4月29日金曜日

放射線汚染と保護者の承諾書


承諾書や同意書は十分な説明がなければ、とてつもない不安とストレスを与えます。
2011年4月27日 読売新聞によれば、福島市や郡山市の中学校・高等学校で生徒の屋外活動に対して保護者の承諾書を提出させているといいいます。福島市教育委員会は「学校ごとに事情が違うので、各学校に判断を任せるしかない」と、お決まりの行政返答です。
こうした対応に、放射線医学総合研究所(千葉市)の明石真言理事は「1時間あたり3・8マイクロ・シーベルトという数値は、科学的には健康に問題が ないとされる値。それを下回る地域で、学校生活に制限をかけるのは、少し神経質になりすぎていると感じる」と疑問を呈しているとのことです。広島大原爆放射線医科学研究所 の神谷研二所長は「数字上は安全だとしても、一般には分かりづらい。保護者の多くが不安を感じるのも理解でき、国や自治体は繰り返し説明をすべきだろう」 と国と自治体の対応を批判しています。放医研も広島大も福島県と協力してこの放射能汚染に対応しているはずですから、県の対策本部と現場の対応とが乖離しているようです。 具体的に何を説明して、どういう納得を目指すべきなのか、結局どのように判断したらいいのかなどについて、現場まで伝わっていないのだと思います。
しかし、いままでの動きを見ていると国や福島県に保護者が納得するような具体的説明を期待するのは無理のように思います。まず、現場の教師や保護者がどんな情報が欲しいのか、不安の声を聞く姿勢がなければ、説明資料も作れないと思います。(郡山市や伊達市には前向きに行動しようとする姿勢があると思います。)
いま最も現実的な対応は3.8とか3.6とかで線引きすることではなく、最も保護されるべき子供たちの視点から見直すことです。子供たちの行動範囲の放射線量を測定し、リスクを明示することだと思います。線引きではなく、きちんと数字で示し、対応法を子供たち自身に考えさせる方が生活全体の中でのリスクマネージメントができます。
国は原発事故の科学的事実をつい最近まで公表しませんでしたが、それでも官房長官が繰り返した「科学的な事実に基づいた冷静な行動を」というフレーズだけは納得できます。郡山市の安積黎明高校のホームページには敷地内の放射線測定値が詳細に記載されています。このような地道な行動こそ「科学的に冷静な行動」だと思います。各学校や市町村が子供の行動範囲の放射線量を詳細に計測することを望みます。学校屋外での1時間よりも、はるかに長い時間を通学に要している子供たちもいます。生活空間全体の状況がわかれば、学校での行動だけが問題ではないことがわかると思いますし、承諾書を保護者に突きつける必要性もなくなるのではないでしょうか?

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