2011年5月31日火曜日

福島市肺癌検診読影研修会のご案内

今週金曜日 6月3日、実施いたします。方法は例年と同様です。単純写真を20枚、シャウカステンに掲示しておきますので、お一人ずつ記入用紙に所見を記載していただきます。記入後、複写用紙の控えと引き換えに、解説用紙をお渡ししますので、解説をご覧いただきながら、再度、写真を眺めてください。また、別シャウカステンにCT画像を掲示いたします。解説と併せてご覧ください。

研修の目標 1.肺がん検診で指摘すべき所見を理解する 2.読影しやすい写真があることを理解する

年間1ミリシーベルト以下を目指せ!

福島県の学校で子どもたちが受ける放射線量について、文部科学省は27日、年間1ミリシーベルト以下を目指すと発表しました。
確固たるエビデンスもないまま、20mSvと決定してしまった文科省が辻褄を合わせるために、またまた、弄した苦肉の策です。もちろん主語は「文部科学省は」でしょうね。
福島県内の子どもが1年間に浴びる放射線量について、1ミリシーベルト~20ミリシーベルトという、これまでの基準は変えないが、1ミリシーベルト以下を目標にするということです。朝三暮四でしょうか?
20mSvの時に屋外活動を1時間などと制限していたはずですから、1mSvを目標とする場合は屋外活動は何分になるのでしょうか? 屋内での生活で1mSvを超えてしまうのではないでしょうか? こんな机上の数字遊びに知恵を絞っているよりも、少しでも除染を実践したほうがいいのではないでしょうか? 
それにしても、20mSvと決めたり、1mSvと決めたエビデンスを明示できないのでしょうか? 決定した責任者の中に原子力の大家がいるはずですが、なぜメディアに登場して、数字を決定するに至った科学的根拠を明らかにしないのでしょうか? 
わからないことを、わからないと言ってもらったほうが、住民は安心できると思います。こんな状況にされてしまって、いまさら原子力の専門家が何でも知っているなどと、だれも期待していませんから・・・
だからこそ、最大限安全と考えられる対応をしていただきたいと思います。

大原医療センター敷地内の4月から5月の放射線値

4月から5月の施設内の放射線値です。建物の外(駐車場)の放射線値は減少傾向です。東電原発事故が3月半ばですので、およそ2か月半経過しています。その間、新たな爆発や汚染物の放出はないようです。(少なくとも福島市方向に流れてきてはいないようです。)
1.4
月初旬と比較して3割程度減少しています。 
2.建物の内部は非常に低く、外部の1/101/20です。

測定の値はCPMです。行政公表値のμSv/hとは異なっていますが、この地域の公表値が1.0~1.5μSv/h程度ですので、現在の測定法では600~900cpmが、およそ、その数値に相当していると思います。(今回、電離箱式サーベイメータを購入していただきましたので、近いうちに比較測定してみたいと思います。) 

放射能汚染の植物への影響

東電原子力発電所の事故から3か月になろうとしています。周囲へ飛散・拡散した放射性物質がどの程度、私たちの生活の中に入り込んでいるのかが気になるところですが、残念ながら東電や行政から真実の測定結果がリアルタイムに公表されることはないでしょう。
そういえば、公表値では現在の福島市の放射線量では植物への影響はないといわれていますが、最近、ブロック塀の近くの雑草など妙に黄色く感じられることはありませんか? 気のせいでしょうか? 土埃や雨水が相当濃厚に集中しているとは思います。そのうち線量計で放射線量を実測してみます。
放射線の植物への影響としては、枯れる・変色する・巨大化するなどと言われています。巨大タンポポ畑などがフクシマの新しい観光名物に、なんてことは想定内でしょうか?

呼吸器研修ノート


診断と治療社から発売になりました。分担でCTの項目を書かせていただいています。ハンディサイズです。肺癌検診から最新診断・最新治療・緩和医療まで呼吸器領域に関する話題が広く網羅されている最新本ですので、最新知識を手早くインプットするのに便利です。

2011年5月30日月曜日

新病院検討へ向けたアンケート


職員からアンケート募集中でした。私もいっぱい書いて提出しました。みんなで多くのアイディアを出しましょう。
ちなみに、駅前の某 中合デパート内に掲示してあったポスターです。市内には大原病院のファンがたくさんいるようですね。引っ張りだこですね。

第67回日本放射線技術学会総会学術大会 Cypos 銅賞受賞


画像センター 堀江 常満 技師が、5月の第67回日本放射線技術学会総会学術大会において学術展示賞を受賞しました。
Cypos 銅賞受賞:演題名「LCDモニタの低輝度領域における環境光の影響についての検討」
大会長賞、金賞、銀賞、銅賞が設定されており、「学術的に優れ表現力の優秀な研究発表に対して選考して顕彰します」とされています。全演題数約800題中Cyposは約430題、大会長賞1、金賞3、銀賞7、銅賞12ということです。おめでとうございます。

2011年5月29日日曜日

いつになっても東電事故は隠蔽される


朝日新聞によれば、29日、福島第一原子力発電所5号機で、原子炉と使用済み核燃料の燃料プールを冷やす仮設ポンプが停止して一時的に冷却機能が失われたが、その 後、予備ポンプで復旧した、と発表。停止がわかったのは28日午後9時ごろ、公表したのは29日午前9時。
予備機への切り替え作業は当初計画した3時間を超えて4時間以上かかった。その間、28日午後5時時点で60.8度だった原子炉の水温は復旧時には94.8度まで上昇。松本純一・東電原子力・立地本部長代理は「工事が計画通りに進まなかったことを考えると早めに伝えた方がよかった」と話した。
東電は28日夜の段階で、自治体のほか経済産業省原子力安全・保安院には通報したというが、保安院は「直ちに安全に影響はない」と判断し、保安院として も公表を見送った。西山英彦審議官は「様々なバックアップ手段が用意され十分安全確保できる状態。現時点ではこの扱いでよかったと思う」と話したといいます。
東電は自治体にも通報したといっていますが、福島県は公表の遅れを厳重に注意したといいますので、福島県は通報があっても公表する裁量を持っていないのでしょうか?
原発事故は以前から国にのみ報告し、地元には報告しないルールですが、周囲にこれほどの実害をまき散らしている現状においても、地元を無視し続けるのですね。

会議・検討会などの記録

4月21日 医師会肺癌検診委員会
 新生大原病院プロジェクト キックオフミーティング
27日 寿光会病院カンファランス
28日 連携業務
5月6日 連携業務
9日 寿光会病院カンファランス
 歓迎会 鳥政
12日 東北胸部放射線研究会 打ち合わせ
 肺がん検診用モニター勉強会
13日 ドクターネット遠隔診断打ち合わせ
 市民検診研修会
16日 スタッフミーティング
19日 福島医大学生実習開始 初日欠席
20日 連携業務
 歓迎会 石林
24日 寿光会病院カンファランス
 連携医会・野うさぎ会 幹事会
25日 厚生病院 CT画像・病理検討 
 ~ 仙一
26日 福島医大学生実習
27日 午後、大阪 PACS打ち合わせ 義
28日 第1回アドバンストCT研究会 千里サイエンスセンター
 すべての演題が持ち時間15分で、休憩なく連続する形式です。トップバッターで胸部CTのレクチャーを行いました。15分というのは準備する側にとっては贅肉をそぎ落としてすっきりとさせざるを得ない時間です。わたしも前日夜、資料を作成しながら、重複するものはすべて削除せざるを得ませんでした。また、聞く側にとっては余裕を持って緊張感を維持できる時間で、それぞれのレクチャーを大変面白く拝聴できました。
 それにしても想定外の人気で、会場の席はもちろん、ネームカードやお弁当など、すべて不足していました。

ネットワークの試験的運用


ホテルや新幹線などWiFi環境が珍しくなくなっています。院内でも放射線画像など次々と電子化されています。そこで、画像診断センター(医療センター放射線部内)でも複数のインターネット環境を作り、スタッフが簡便に検索や情報交流できるようにしました。ネットワークの試験的運用を通して慣れていければと思います。

2011年5月22日日曜日

福島県が原発災害情報を止めていた

福島県が原発事故の直後に放射能拡散予測データの公表にストップをかけた件で、生活環境部長が個人の判断で止めたと述べたということです。いったいなぜ、そんな情報を個人が止めることができるのか興味がありましたので、ネットで検索してみました。部長の名前でひっかかった項目を列記すると、福島県の原子力推進関連の根幹に関係されていました。
○ 財団法人福島県原子力広報協会役員 任期:平成23年6月10日
顧問 佐藤雄平 福島県知事/理事長 渡辺利綱 大熊町長/副理事長 佐藤節夫 福島県生活環境部長/理事 荒竹宏之 福島県生活環境部次長(県民安全担当)/理事 小山吉弘 福島県原子力安全対策課長/監事 板垣繁幸 福島県原子力センター所長/その他
○ プルサーマル受け入れ抗議行動 2010年8月11日
福島県のプルサーマル受け入れに抗議し、撤回と「県民の声を聞く会」の開催を求める行動が、8月11日福島県庁で行われた。これは、プルサーマル中止を東京電力に申し入れた県内3団体が、福島県に対して、プルサーマル受け入れ抗議行動を行ったもので30数名が参加した。双葉住民会議の関友幸富岡町議が、福島県の受入抗議・撤回と県民の意見を聴く会の要請文を読み上げ、福島県の佐藤節夫生活環境部長に手渡した。
東京電力は8月21日にMOX燃料の装荷を強行し、9月23日に発電を開始、国の検査を受けたあと10月末には営業運転を開始すると発表しており、福島県の県民に対する説明責任が果たされていないと、参加者が佐藤節夫生活環境部長に厳しく詰め寄った。
○ プルサーマル受け入れ、県議会、県に同調 2010年8月31日
県議会のエネルギー政策議員協議会(エネ協)が開かれ、正副議長を含め14人が出席。佐藤雄平知事が2月、技術的3条件を前提に受け入れ表明後、原子力発電所安全確保技術連絡会で審議や立ち入り検査を重ね、今月6日、プルサーマル計画を受け入れたことを佐藤節夫・生活環境部長が説明した。
共産党の宮川えみ子氏は「県民の意見を直接聞く場を設けるべきだ」などと質問。生活環境部の荒竹宏之次長は「技術連絡会などはすべて公開にしており、その間、県民から要請もいただいた。その疑問を国などにぶつけ、反映させて一定の報告を出した」と県民の意見を尊重してきたことを説明した。
県議会がプルサーマル計画の是非について立場を示したのは、6月定例会でプルサーマル反対の請願を審議したときだけだった。請願は共産党が提出し、企画環境委員会にかけられ、最終的に本会議では不採択となった。本会議で採択に賛成したのは、県議54人のうちプルサーマル反対を掲げる共産党(3人)、県民連合のうち社民党(2人)と同会派のうち無所属(1人)の計6人。県民連合の民主党はプルサーマル推進、社民党は反対であった。
○ 原発事故、最悪「レベル7」 深刻度はチェルノブイリ級。(2011年4月13日 福島民友ニュース)
経済産業省原子力安全・保安院は12日、東京電力福島第1原発事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で、最悪の「レベル7」に引き上げたと発表した。これまでの暫定評価はレベル5。「レベル7」は、史上最悪の原子力事故とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同レベル。県の佐藤節夫生活環境部長は「評価で原発の状況が変わるわけではない。一刻も早い事態の収束を望む」と語った
○(2011年4月30日20時49分 読売新聞)
年間20ミリ・シーベルトの放射線量を上限に福島県の小中学校などの校庭利用を認める政府の方針に抗議して内閣官房参与が辞任をした問題で、原子力安全委員会事務局は30日、共同記者会見で、「線量をできるだけ低くする努力は必要」としながら、基準自体は「国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方に基づいている」と述べ、妥当とする考えを示した。
福島県生活環境部の佐藤節夫部長は30日、「地元は不安が高まり、何を信用していいのか、ということになりかねない」と、政府の混乱ぶりを批判した。
○ 国に測定強化を要望 低濃度水の海洋放出で県-【福島民友新聞】
県は5日、午前の県災害対策本部会議で、佐藤節夫生活環境部長は国から放出の連絡を受けた際、「必要な手段」としか説明されず影響について言及がなかったことを明かした。「もっと悪い事態を避けるためと説明されれば、受け入れざるを得ない」と語り、「県内の漁業者は多く、生活に直結する。海洋への将来にわたる影響をしっかりモニタリングしてほしい」と、国に説明責任を求める考えを示した。
○ SPEEDI予測データ公表せずの判断は福島県 5月19日 18時58分 NHK
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質の拡散予測データを国から受け取った福島県が公表しなかったことについて、福島県の幹部は「信頼性が低いと判断して公表を控えた」と19日の県議会で答弁しました。
「SPEEDI」予測データは1号機爆発の翌日の3月13日に最初のデータが国から福島県に届きました。
福島県議会で、原発が立地している双葉郡選出の自民党、吉田栄光議員は「当時、私を含め浪江町の町民は放射線量の高い津島地区に避難していた。県がSPEEDIの情報を提供していれば、的確に避難誘導できたはずだ」と指摘しました。
これに対して、福島県生活環境部の佐藤節夫部長は国から届いたデータを公表しなかった理由について、「本来は国が公表すべきもので、国が公表しないので県としても控えた。」  「すでに予測時間を過ぎていたほか、放射性物質の放出量を実際よりも少なく見積もっていて信頼性が低いと私が判断した」などと説明しました。
○ 原発の今後、明言避けた福島県…議会白熱  読売新聞 2011年5月19日11時48分
福島県議会の5月臨時会は18日、各常任委員会の審議が行われ、東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って議論が白熱した。 第二原発の廃炉を含めた、原発に対する県の見解や責任について県は「事故の収束が前提」として明言を避けた。原子力政策を主に扱う企画環境委員会では、福島第一、第二原発の再稼働について議論が集中。野崎洋一企画調整部長は現時点で廃炉が確実な第一原発1~4号機以外の原子炉に関しては明言を避け、県議からは「県の立場を示すべきだ」との声も上がった。野崎部長は「今は第一原発の事故を収束させることが大前提。現状では運転の再開はあり得ないとしか言えない」と述べ、同様の答弁を繰り返すにとどめた。
これに対し、斎藤健治県議(自民党)は、県が7月末までの策定を目指している復興ビジョンに絡め、「廃炉にするのか再稼働なのかで復興ビジョンは違ってくる。根っこの部分を決めないなら机上の空論だ」として、県が立場を明確に示すよう強く求めた。
原発事故について、県はこれまで「国と事業者がすべての責任を負う」との見解を示してきた。
神山悦子県議(共産党)が「県は(原発稼働に)OKを出してきて、原発行政にかかわってきた。県民への謝罪があってしかるべきだ」と問いただすと、佐藤節夫生活環境部長は「県の立場で可能な限り安全性の確認を行ってきたつもりだが、結果的にこのような事態になったことを極めて重く受け止める」と述べた。
○結局、当事者感覚のない福島県こそが後手後手の対応になっている根源のように思えます。部長の「地元は不安が高まり、何を信用していいのか、ということになりかねない」という言葉が現在の県民の気持ちにぴったり当てはまるのではないでしょうか。

2011年5月15日日曜日

カード型放射線被曝センサー


仙台のPCショップで700円で売っていましたので、1枚買ってきました。センサー部分の色により積算値を判定するものです。有効期限が1年ほどで、10~20mSv以上積算されないと、色は変わってこないようですので、福島市では色が変わることはないはずですが、ためしに子供に持たせておくことにしました。

原発事故対応は合格点


共同通信によれば、経済産業省原子力安全・保安院や原子力委員会、東電などを中心にチームを組織して原発事故直後の対応について検討した結果、「妥当だった」という報告書をまとめ、国際原子力機関(IAEA)に報告するということです。
「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の試算結果の公表が遅れて批判を浴びたことに は触れず「順次公表が行われている」とするなど、政府や東京電力の取り組みを前向きに紹介しているとのことです。
しかし、これまでの東京電力の対応を仲間うちで「合格点」と評価しあっている政府には情けなくなります。最悪の事態が起きているにも関わらず、あえて公表しなかったことや、基準値設定にも「前例がない」などと決められずに右往左往する姿には、はっきり言ってあきれました。原子力の専門などと名乗って、ふんぞりかえっていた専門家や専門組織は金だけゲットして、結局、有事には真っ先に逃げ出し、役に立たなかった、というのが現実です。この事実から、都合よく情報を削って「合格点の報告書」を作ってしまうところは、さすが優秀なチームだと感心します。この高いIQを暴走原発の制御に回してもらいたいと思います。
良識のある官僚もいると思います。政府もこそこそと傷をなめあうような共犯関係から抜け出して、良識のある官僚を味方につけて、きちんと東電の尻を叩いてくれることを期待します。

文部科学省の再計算で子供の被曝が減りました


文科省は先月、福島県内の小中学校の生徒の年間被曝(ひばく)量の限度を20ミリシーベルトと設定した上で、そこから逆算し、毎時3.8マイクロシーベルトを校庭利用の暫定基準として混乱を招いていましたが、朝日新聞によれば、12日、校庭利用を制限する基準値を超えたことのある福島県内の13の小中学校などについて、年間の積算放射線量を別の計算法(先月の試算時とは異なる子どもの生活パ ターンや最近の放射線量を用いた)で計算しなおしたところ、平均6.6ミリシーベルトで、最大でも10.1ミリシーベルトにとどまることが分かったといいます。
現場の父兄や教師から殺到した苦情をかわすために知恵を絞ったのでしょうが、争点を忘れてしまったとしか思えません。問題は子供の上限を20mSvにしたことの正当性を明らかにしてほしいのであって、「数字が少なくなる計算方法を見つけました」といわれても、いまさら何が言いたいのか? まったく現場を理解していない。
数学の文章問題はお得意なのでしょうが、気持ちを推し量るのは不得意のようです。今後、福島の環境放射線値が上昇したとしても、文科省は上手に計算しなおして、もっと少なくなりましたと、すぐに福島県民を「安心」させてくれるかもしれませんね。

会津の放射能汚染を基準値とする


環境省は15日、放射性物質が付着した福島県内のがれきの処分を検討する「災害廃棄物安全評価検討会」の初会合を開きました。会では、会津地方のがれきの線量がおおむね0.5マイクロ・シーベルト毎時以下であることが示され、他の地区のがれきの放射線量が会津地方と同等と見なされる場合、焼却などの処分を認めることで一致したとのことです。(2011年5月15日19時52分 読売新聞 より)
放射能汚染物の処分について、封じ込めるか、拡散させるかの基準を「会津の汚染程度」を基準にするそうです。いずれ、地球全体が0.5マイクロシーベルトになるのでしょうか? こんな数値を日本の環境省が決めてしまっていいのでしょうか? とはいえ、東電が制御できずにいる、大気や海水への垂れ流しの量と比較すると微々たる数値です。



2011年5月14日土曜日

やっぱりメルトダウンだったのか・・・


と多くの人が思ったのではないでしょうか? 
東京電力は、これまで容器内の水位は燃料棒上端から1.5メートル程度下と報告していたが、水位計を調整したら5メートル下だった。「燃料棒は元の位置にないかもしれない」とのこと。
溶けだしているとすると、容器の底の水により、結果的に安定して冷やされているとしている。
東京電力関係者は、この水位計は調整しないと正しく測定できないので、これまでの報告の「数値は疑っていた」が、こんなに低いのは「予想外だ」とのこと。
保安院は「メルトダウンである可能性は否定できない」としているとのこと。
文科省は原発から62km地点で、テルルとランタンを検出。現在も原発から大気中への放射能汚染の放出が続いていることが裏付けられたとしている。
しかし、福島県は「炉内で変化がない」ので「好転も悪化もしていない」、ただ東電に「一刻も早い収束を図る」ことを一貫して求めていく方針とのこと。
どんな事態でも楽観視させる情報のみを公表しておいて、状況が悪化してから「実は以前からわかってました」と説明する東京電力の姿勢は変わらないですね。

被ばくの長期的影響と福島市の方針


福島民友記事によれば、福島医大が東京電力原発事故の周辺住民への放射線の影響を研究するということです。方法は定期的な健康検査。期間は30年以上ですので、住民に対する長期的影響を調査することが目的です。重要な疫学調査になると思います。
ただし、対象は30キロ圏内と計画的避難区域圏内の全住民ですので、行政が認める被災地域は避難指示を出したこの地域に限定されるのでしょう。30キロ圏内の地域よりも福島市など避難指示のない市町村の方が汚染の濃厚な地域がたくさんあります。また、たくさんの子供たちが居住しています。表土除去など行っている地区は当然、被災地区として対応されるべきだと思います。
避難区域外の市町村でも、定期健康診断などを住民の経済的負担なく行えるシステムを作らないと、子供を持つ住民は離れていくでしょう。安心できる行政サービスの具体的内容を早急に明らかにしないと、日本一汚染された県であり、継続して世界に汚染をまき散らしている県に若い家庭を引き留めておくことはできないのではないでしょうか?
特に福島市の対応は遅く、後手後手です。積極的に市としての方針を明確にしないと次代を担う人材は離れて行ってしまうのではないかと心配です。

東京電力原発事故をめぐる管政権の工程表?


14日朝刊で報道されています。工程表の中に被災者対応も含まれており違和感がありましたので、工程表の意味を調べてみました。
三省堂 大辞林によれば、(1)工事の施工順序を表にしたもの。(2)一個の製品を加工していく過程を示した表。
簡単に考えれば工事の予定表であり、物を作ったり壊したりする場合に使われる言葉だと思いますが、原子炉冷却などの作業と横並びで被災者対応が並んでおり、政府から見れば、被災者や汚染者は「めんどうな物」への対応の一つなのでしょう。
その「被災者対応の工程表」を見ると5月中に住民の健康調査を実施し、その後、こどもをはじめとした地域住民の長期的な健康管理、という工程になっています。でも、これも簡単に考えれば、健康管理が必要になるような子どもを発生させない「工程」を最優先で行っておけば、以降は不要だと思います。
「科学的に冷静に」分析し、子供が長期的に「健康管理の必要なく」生活できる地域を明らかにすることが、工程の第1段階ではないでしょうか? そもそも、学校校庭の20mSv基準など、ぐらぐら揺らいでいる状況を知っている我々からは、この工程表は地域の不安とはかけ離れた「机上の空論」に感じます。
それはそうと被災者の定義はどうなるのでしょうか? 学校校庭の放射線量を下げてしまえば、健康管理が必要な地域ではなくなるのでしょうか? 
放射線量を下げなければならない地域は当然、「東電の過失」によって発生したわけです。もとに戻してもらえばいいだけです。当初、土地の入れ替えなどについて文科省は全く選択肢として挙げていませんでした。しかし、郡山市などの現場対応を受けて、最近になって、放射線を下げるための「一定の効果はある」とは言いました。小規模な「追試」をして、確認したとは言っていますが、それでも、その判断は自治体に任せるとし、「放射線を下げなければならない」とは絶対に言いません。「住んではいけない」とも言いません。とにかく、被災者と定義される人数を増やしたくないように思います。なるべく人数を絞り込み、それ以外は「風評」としてしまうのではないかと思います。
事故直後にパニック防止のために拡散予想を公表しなかったように、「現場の住民の将来のリスク」より優先されるものが、たくさんあるようです。

2011年5月10日火曜日

福島市市民検診講習会

今週から来週にかけて市民検診講習会が開催されます。場所は福島県医師会館、時間は6時半からです。13日(金)は肺癌検診、画像診断センターの森谷医師と堀江技師がレクチャーします。16日(月)は大腸がん検診、大類技師が注腸エックス線検査について、20日(金)は胃癌検診、同じく大類技師がエックス線撮影の撮り方・方法についてレクチャーします。

2011年5月6日金曜日

アスファルト道路の放射線値  土埃が危険です


市内の道路でGM計測器による測定を行いました。空間放射線値が800cpm(先日の新浜公園での測定を基準に考えると 1.25μSv/h程度と思われます)でした。しかし、地面近くに接近すると放射線値は非常に上昇します。道路中央で空間の放射線の7倍程度に上昇、道路の端(側溝や窪み、排水口など)は15倍~30倍ほどに上昇します。おそらく地表に付着した放射性物質によるものと思われます。吹き溜まりのように土埃がたまっている部分は特に放射線量が高いと思います。風で吹き上がった土埃や屋内外を出入りするペットなどは注意したほうがいいでしょう。

2011年5月4日水曜日

東電原発事故の放射能拡散情報公表が遅れた背景

週刊ポスト2011年5月6日・13日号の部分的引用です。
SPEEDIは事故直後の3月11日17時から動き始めたものの、最初に拡散予測図が公表されたのは3月23日、その後4月11日に2枚目が公表されたにとどまっている。
東京電力は地震発生翌日の3月12日に1号機と3号機で炉内の圧力を下げるために放射能を帯びた水蒸気などを建屋外に放出する「ベント」に踏み切り、13日には2号機でも実施。さらに、15日にはフィルターを通さない緊急措置である「ドライベント」も行なった。このタイミングで大量の放射性物質が飛散したことは間違いない。それはモニタリングのデータもはっきり示している。だが、枝野幸男・官房長官は1号機のベント後に、「放出はただちに健康に影響を及ぼすものではない」(12日)と発言し、20km圏のみの避難指示を変更しなかった。センターの証言によれば、枝野氏はSPEEDIのデータを知っていたはずだ。
SPEEDIを担当する文科省科学技術・学術政策局内部から重大証言を得た。「官邸幹部から、SPEEDI情報は公表するなと命じられていた。さらに、2号機でベントが行なわれた翌日(16日)には、官邸の指示でSPEEDIの担当が文科省から内閣府の原子力安全委に移された」
システム通り、福島県庁にもSPEEDIの試算図は当初から送られていたが、県は周辺市町村や県民に警報を出していない。その理由を福島県災害対策本部原子力班はこう説明した。「原子力安全委が公表するかどうか判断するので、県が勝手に公表してはならないと釘を刺されました」
この経緯は、国会で徹底的に解明されなければならない。「政府が情報を隠して国民を被曝させた」とすれば、チェルノブイリ事故を隠して大量の被曝者を出した旧ソビエト政府と全く同じ歴史的大罪である。

細野豪志首相補佐官の二転三転

各種報道によれば、
○文部科学省が公表した年間20ミリシーベルト以下という基準に抗議して小佐古教授が内閣参与を辞任。これに対して、菅総理大臣は「原子力安全委員会の助言を得ながら判断した」と反論。
○細野豪志首相補佐官は29日夜のTBS番組で「政府の最終判断だ。」と変更しない考えを示した。
○ところが、4日朝、この基準 について細野総理補佐官が「年間20ミリシー ベルトの放射能を浴びることが、いいことではないと皆が思っていた。私ももちろん思っています」「(Q.なぜ年間10ミリシーベルトにできないのか)どう しても国際的な基準に準拠せざるを得ない。
○細野豪志統合本部事務局長は、2011年5月2日16時半頃に開いた福島原子力発電所事故対策統合本部の共同記者会見の冒頭説明で、 SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)について、新たに5,000件のシミュレーションデータが見つかったと発表。4月30日の 時点で「いま政府が持っているデータはすべて公開した」としていたことを謝罪した。
○「事故のさまざまな影響を考えれば、SPEEDIというのは当然、本来は役立たなければならないものであったはずで、検証の一部に含まれるべきであると個人的には思う」と答えた。
これまで公開しなかった理由について、細野豪志首相補佐官は「公表して社会にパニックが起こることを懸念した」と説明。

1:ICRP(国際放射線防護委員会)の基準のとらえ方を誤解していると思います。ICRP基準はそもそも参考値であり、他の汚染除去の手立てを行ってもなお下がらない場合の指針として参考にする値です。2:パニックを懸念して拡散予想を公表しなかったということは最前線にいる福島県民を見捨てたということです。

2011年5月3日火曜日

表土の除去による除染の効果

福島県による新浜公園の放射線値の再測定が行われました。芝生の四隅 3.2~3.3μSv/h、中央 3.4μSv/h、近隣の庭 1.3~2.6、中央 2.5 ということです。
私が実測した数値は 
27日18時。新浜公園 砂場 1000cpm、芝生 1600-2000cpm、高さ1mで測定、芝生から10cmほどで4000cpmに上昇。
30日17時。新浜公園 砂場 1200cpm。砂に近接 3000cpm。芝生 1800cpm、芝生に近接 8000cpm。コンクリート地面 1100cpm、地面に近接 6000cpm。生垣 1200-3000cpm。地面の雑草に近接 5000cpm。
装置と測定方法が異なりますが、3.4μSv/h が 1800cpm程度に相当するとして換算すると、地面に近づくと10μSv/hと上昇します。小さな子供ほど地面に接近しますので、公表されている数値より多く被曝します。
宮下町民家の庭は 草のない土の上 600cpm、雑草の生えた地面 800cpm、雑草に近接 2000-3000cpmでした。10日ほど前に庭の半分を除染しました。雨のあと、地面が湿っていましたので5cmほど土をつけた状態で雑草を抜いたのです。その部分が草のない土です。1mの高さで 600cpm、土に近接しても 600cpm でした。この数値はバックグランドだと思います。先に述べた大雑把な換算をすると、雑草に近接すると 5μSv/h ですが、表土を除去した部分は 1μSv/hに減少していることになります。そして、その効果は10日たっても認められていました。

SPEEDIデータを福島県は活用しなかった?

SPEEDIの予測図が5000枚公開されました。4月上旬に2000枚公開されましたが、追及されればされるほど出てくるんですね。3日のNHKニュースでSPEEDIデータが活用されなかったことを批判していましたが、その中で福島県の端末への回線が絶たれたため3月13日にFAXで伝えられたと言っていました。SPEEDIの拡散データは13日には福島県まで来ていたのですね。それでも福島県では国の同心円の基準に異論を唱えなかったのですね。福島県は被害者ではなく、県民に不要の被曝をさせた加害者になっているのかもしれませんね。対策本部でこれらの情報が埋もれてしまったのでしょうか? 知っていて対応しなかったとすれば加害者の一人でしょうね。

隠蔽と責任のなすりあい

政府が設定した学校活動での放射線量の安全基準に批判が集まっている問題で、内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は2日の会見で、「基準を下回ったら、あとは文部科学省は何もしません、という誤解を生むような発信をしていたら、福島県内の保護者が憤慨するのは当たり前だ」と述べ、文科省の対応が不十分だとの認識を示した。
政府が設定した学校の安全基準は、安全委の助言を基に、児童生徒が年間に浴びる放射線量の上限を20ミリ・シーベルト とし、校庭の放射線量が1時間あたり3・8マイクロ・シーベルト以上の場合は屋外活動を制限するとしているが、班目委員長は、放射線量の測定だけでなく、 土壌や空気中の放射性物質の濃度も測定し、対策を示すよう同省に求めた。(2011年5月3日11時19分 読売新聞)

東京電力福島第一原子力発電所の事故対策を巡り、4月30日に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘(こさことしそう)・東京大学教授が2日夕に予定していた報道関係者向け説明会が中止された。民主党の空本誠喜・衆院議員によると、小佐古教授が官邸から守秘義務の指摘を受けたことが、中止の理由だという。小佐古教授は、政府の事故対応に納得できないとして、29日に辞任の意向を表明した。空本氏によると、小佐古教授は2日夕、小学校の校庭利用などについて文部科学省が説明した放射線被曝(ひばく)限度の問題点について詳細な説明を行う予定だった。ところが1日、小佐古教授から空本氏に、「(官邸関係者から)老婆心ながら、守秘義務があると言われた」として、説明会には出席できないと電話で伝えてきたという。文科省は校庭利用の放射線被曝限度を年間20ミリ・シーベルトとしている。空本氏は「小佐古教授は、子供の被曝量はせいぜい年間5ミリ・シーベルトにとどめるべきだという考え。きちんと説明する場がなくなったのは残念だ」と話している。(2011年5月2日23時14分 読売新聞)

2011年5月2日月曜日

いつから放射線はこんなに安全になったのでしょう?


このブログは画像診断センターからの情報発信という目的で始めました。画像診断が主体となるはずでした。しかし、どうしても福島県の放射線汚染による混乱に話題が向いてしまいます。
卒業後、放射線科に入局、毎年、放射線防護講習を受講しなければ、管理区域内への立ち入りを許可されません。また、私自身もいかに放射線を安全に扱うかを学生に講義していました。医療を行うには放射線はいかに危険であるか、いかに正しく扱うかを個人に対して理解させる必要がありました。
現在は高名な先生方が各地で放射線の安全性を繰り返し説いています。「不要な被曝をいかに減らすか」という自分が習ってきた放射線に対する認識とはだいぶニュアンスが異なっています。
現在の基準値やら測定値は測定法や基準設定の考え方がよくわかりませんが、なんだかザル勘定の印象です。震災後の1か月ほどは、真実から住民の目をそらさせ、放射線を安全であるかのように思わせて時間をかせぐことが目的だったようにも感じます。
結局、個人の不安に対して耳を傾ける姿勢が少ないのだと思います。少なくとも、画像診断センターにおける放射線の使用にあたっては、ぶれることなく、従来同様に、個人のリスクと得られる医療上の利益の話をさせていただきます。

福島は放射線管理区域だ


朝日新聞によれば「福島第一原発で、放射線業務従事者ではない女性職員4人が東日本大震災の被災後も発電所内に残り作業を続け、被曝(ひばく)していたことが1日、わかっ た。被曝量は2.27~3.42ミリシーベルトで、東京電力はすぐに健康に影響するようなレベ ルではないとみているが、管理態勢を見直すという。」「被曝する可能性がある作業に就く放射線業務従事者は、労働安全衛生法の規則に基づき、放射線管理区 域で作業する場合には線量計をつける。計測機器で定期的に被曝量を測り限度線量を超えないよう管理されている。」「放射線業務に従事しない人はこうした管 理はされておらず、限度も設定されていない。男性は緊急時にはとりあえず作業すること は認められているが、女性はできない。」「今後、後付けながら放射線業務従事者として登録し管理する。」としているとのことです。
この記事を見ていると、福島県の飯館から福島市は放射線管理区域相当です。まさに放射線管理区域と同等の対応をすべきではないでしょうか? 子供や女性を居住させ続けることは国のルール自体が矛盾しています。東電職員ばかり手厚くしないで、少なくとも長期間居住している子供や女性には線量計を携帯させ、東電社員と同様に限度線量を超えないように管理・指導する必要があると思います。

SPEEDIで予測されていた福島の積算放射線量


震災後のNHKニュースで放医研の研究者が解説していたとき、「数値は公表されているので、それをどう判断するかは住民の自己責任だ」旨の発言をしたことがいまだに忘れられません。悪意はないのでしょうが、説明責任を果たさず、数字だけほうり出して責任を住民に丸投げすることに何の疑問も感じていない研究者がたくさんいるのだと思います。
SPEEDIの拡散試算図が公表されたのが3月23日になってからです。その拡散図は4月26日に発表された周辺地域の実測線量分布とそっくりです。飯館村や川俣町では1歳児の甲状腺等価線量(ヨードによる内部被ばく)の積算量は3月24日までに100mSv~500mSvとなっています。その後、公表された4月5日までの積算推定値では成人の実効線量で1mSv~5mSvとなっています。
政府は当初設定した同心円状の危険区域設定を見直すことなく、約1か月放置し、IAEAが動いたのちに、ばたばたと対応を変えています。
もし、もっとスピーディに事実が公表されていれば、高濃度に汚染されていた時期にこそ避難することができたはずです。そうすれば住民の積算量をはるかに低減できたはずです。
住民が自己判断できるような情報を迅速に公開すべきだったと思います。それを怠った罪は重い。すくなくとも、この隠蔽あるいは怠慢により多くの住民の積算放射線量を増加させており、この過失致傷の犯罪にかかわった(見て見ぬふりをした)行政と研究機関は責任者を明らかにし謝罪と釈明をすべきでしょう。
中国新聞によれば、「SPEEDIは、今回の事故後、原子力安全委員会が運用を監督しているが、元来は文部科学省の所管。(同様の防災システムである)ERSSは経産省の所管で、事故の分析、放射性物質の拡散予測を両システムが連携して行う仕組みなのに一体運用されてこなかった。文科省側が「ERSSの不調で、SPEEDIは本領発揮できなかった」、経産省側が「ERSSのデータがなくても、SPEEDIには使い道があったはずだ」と互いに責任を押しつけ合う姿勢もみられる」とのこと。
他の報道では、細野統合本部事務局長はSPEEDIについて「すでに実測デー タがでているので、そちらのほうがより実態そのものを表している。SPEEDIが本来持つべき機能は『予測』で、十分なモニタリングができない時期にそれ なりの効果があった(はずだ)。その時期に機能しなかったことにおいて、小佐古先生が厳しく評価をされているのは当然だ。」としています。
また、「今から公開をすることにど れくらい意味があるのかということについては、率直に言って疑問があるというか、それほど大きな効果のある情報が期待できない」と語っています。しかし、政府あるいは国立の研究機関がこの国難の最も大事な時期に「役に立たなかった」事実、および、多大の予算がこんなことに使われている事実が明らかになった意義は大きいと思います。

2011年5月1日日曜日

放射能汚染地図


この災害の根底に行政の隠蔽が続いているように思います。原発というもの自体が隠蔽を繰り返してきた産物であり、最初のウソが次のウソを呼び、住民も行政の言葉を信用していなくなっています。隠蔽と時間稼ぎ・専門用語で煙に巻くことが常套化しています。住民の不安・あきらめ・怒りが臨界に達しているように思います。
行政は、責任のなすりあい・たらいまわし・被害者を置き去りにした不毛の議論などばかり報道されています。思考停止状態。
福島県が汚染されたことは事実です。行政は早急に子供のためのハザードマップを作るべきだと思います。生活環境の中でどこが安全でどこが危険なのか、詳細に測定すべきでしょう。いま、現場がすべきことは、責任の所在もわからない数値を鵜呑みにせずに、自分たちの目で現在の汚染の実態を確認することだと思います。
少なくとも加害者側の数値ではない客観的な数値を得る努力をすべきと思います。

子供の20mSv/年は安全なのか?


○ 内閣官房参与の小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東京大教授(61)=放射線安全学=は29日、菅直人首相あての辞表を首相官邸に出した。小佐古氏 は東京電力福島第1原発事故の政府対応を「場当たり的」と批判。特に小中学校の屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベ ルトを基準に決めたことに「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と異論を唱えた。
学校の放射線基準を年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されなかった。「年間20ミリシーベルト近い被ばく をする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズ ムからしても受け入れがたい」。
政府の原子力防災指針で「緊急事態の発生直後から速やかに開始されるべきもの」とされた「緊急時迅速放射能影響予測システム (SPEEDI)」による影響予測がすぐに運用・公表されなかったことなどを指摘。「法律を軽視してその場限りの対応を行い、事態収束を遅らせている」。
○ 首相は「議論の結果に基づく原子力安全委員会の助言で対応している。」
○ 政府は国際放射線防護委員会(ICRP)が原子力事故の収束段階で適用すべきだとして勧告した年間許容量1~20ミリシーベルトの上限を根拠に採 用。毎時3.8マイクロシーベルト以上の学校などで屋外活動を1日1時間に制限する通知を文部科学省が19日に出した。
○ 高木文部科学相は小学校などの校庭利用の安全基準に関し、「この方針で心配ない」と明言。
○ 「子どもを大人と同様に扱うべきでない」として他の放射線の専門家から異論が出ているほか、日本弁護士連合会も反対声明。
○ 枝野官房長官は「20ミリ・シーベルトまでの被曝(ひばく)を許容したものではない。」
○ 佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は「影響が出ることはない」が、「被ばくを減らす努力は必要だ」。
○ 従来のICRP勧告:公衆に対する線量限度は、年あたり1mSv。放射線作業従事者は、任意の5年間の平均で年あたり20mSv。
○ 福島原発に対するICRP声明:緊急時の一般人防護のため、最大でも20-100mSv の範囲になるように国内当局が設定することを勧告する。放射線源制御後の汚染地域に住み続ける場合、1年間に1-20mSv の範囲の参考レベルを選択し、長期目標として年間1mSv となるよう国内当局が設定することを勧告する。